『講座 差別の社会学 第2巻 日本社会の差別構造』
栗原 彬 編 19961215 弘文堂,304p.
■栗原 彬 編 19961215 『講座 差別の社会学 第2巻 日本社会の差別構造』,弘文堂,304p.
ISBN-10: 4335501528 ISBN-13:978-4335501524 \3,465
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■内容
現代日本社会の現実を、社会学、医学、政治学、教育、環境、人類学など各分野の一級の執筆者が、差別と共生の視点から報告し、論じる、読みごたえのある力作19編の書き下ろし論考。日本の現在を理解するための必読の書。
■目次
差別とまなざし―栗原彬
在日韓国・朝鮮人のアイデンティティと差別―福岡安則・金明秀
一 アイデンティティを脅かす差別
二 民族差別が民族的劣等感を生む
三 エスニシティの獲得・継承を保証するもの
四 共生社会の実現のために
戦略としての生活―桜井厚
* 被差別部落のライフヒストリーから
一 差別的なカテゴリー化
二 認識枠組み
三 アイデンティティ
四 対抗的なアイデンティティ
五 戦略としての生活
六 個人主義的な才覚
七 生業の多義的意味
八 隠された世界
九 頻繁な社会移動
十 生活世界の変化
十一 結語にかえて
部落問題の社会学―八木晃介
一 社会過程としての<部落民>
二 部落の構造変動と<部落民>アイデンティティ
三 <ハビトゥス変換>と運動の二重規範
四 おわりに
障害児と家族をめぐる差別と共生の視角―要田洋江
* 「家族の愛」の再検討
一 はじめに―障害者による異議申し立て
二 親たちの葛藤と障害児をとりまく差別の仕組み
三 「国家のエージェント」としての親性から「子どもの代理人」としての親性へ
四 親子の愛情―さまざまな愛のかたち
五 親のライフスタイルの変更
六 おわりに―真の「家族の愛」の獲得と共生のネットワークづくり
公害、労災の中の差別の構造―原田正純
* 水俣、三池をつなぎもの
序 水俣と三池
一 水俣病は弱者から始まった
二 見舞金契約
三 被害拡大の責任
四 救済と認定制度
五 水俣における差別の背景
六 三井三池炭じん爆発
七 三池における差別
八 公害の前兆は伝統的文化の破産
九 おわりに―共生への模索
共生と隔離をめぐる社会学的実態―奥田道大
* <池袋>の自画像をいかに描くか
一 池袋の地域現場から/へ
二 多様性にむけて
三 「コミュニティとエスニシティ」のモデルで読みとくと
四 実態面での「共生」と制度面での「疎遠」
五 「日本人らしくない『日本人』の生きかた」への問い
現代日本社会における構造的沖縄差別としての日米安保―新崎盛暉
一 はじめに
二 沖縄戦・日本国憲法の成立・対日本平和条約第三条
三 安保条約下の日本と軍事占領下の沖縄
四 六〇年安保改定と沖縄
五 "本土並み"返還の実態
六 おわりに
非婚をめぐる差別―庄司洋子
一 はじめに
二 不平等・不公平の源泉としての家族
三 家族「多様化」のなかの「非婚」問題
四 非婚出産者の社会的位置
五 婚外子差別の解消と非婚出産女性の支援体制の確立に向けて
虚構としての男と女―山崎敬一・山崎晶子
* 性別カテゴリーのエスメドロジー
一 はじめに
二 MIRカテゴリーとしての性別カテゴリー
三 性別カテゴリーによるカテゴリー化
四 性別カテゴリーに基づく対立関係
五 対立回避のメカニズムと性別カテゴリーの逆説
六 結語
共生へのユートピアとその挫折―佐藤学
* 学校改革運動の「近代」と「反近代」
一 共生と差別の装置
二 脱学校論の基盤=共生のメディア幻想
三 学習権の思想=ルサンチマンの民主主義
四 共生ユートピアの挫折=脱構築への教訓
指紋と国家―渡辺公三
一 ひとつの社会像
二 南アフリカの教訓
三 「満州国」とその遺産
近代日本における病者の差別―成田龍一
一 はじめに
二 家庭医学のなかの「病気」
三 「病人」の構造
四 おわりに
フィールドノート1
患者と医療者の新しい関係へ―辻本好子
一 COMLについて
二 COMLの電話相談
三 変わり始めた患者の意識
四 インフォームド・コンセント時代の幕あけ
五 新しい動きで医療と連携
六 相談から―交わらない「患者のおもい」と「医療のこころ」
七 法的な解決策を求めての相談
八 さいごに
フィールドノート2
障害をめぐる差別構造―野辺明子
一 はじめに
二 「五体満足」へのこだわり
三 正常と異常の区分―医学部教育の現場で
四 優生思想と障害児対策
五 非認定という差別
六 市民運動やマスメディアの中の差別
七 新しい人間観をつくりあげるために
フィールドノート3
ケア・システムの差別構造―佐藤登美
* 医療サービスのなかの"ケア"の葛藤
一 はじめに
二 病院という組織
三 cureとcare
四 ふたつの場面(事例)から
五 おわりに(改革へ―受け手との協同)
フィールドノート4
わた史の中の「共生」の風景―柳田耕一
一 熊本の村でみた共生の風景
二 水俣でみた共生の風景
三 タンザニアでみた共生の風景
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:影浦 順子