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『骨髄移植マニュアル』

高久 史麿 編 19961015 中外医学社,181p. 4410


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高久 史麿 編 19961015 『骨髄移植マニュアル』,中外医学社,181p. ISBN:4498052064 ISBN-13: 978-4498052062 4410 [amazon] m32

■目次

 T. 基礎的知識

  A. 白血病の骨髄移植
  B. 再生不良性貧血,骨髄異形成症候群の骨髄移植
  C. 自家骨髄移植
  D. 小児の骨髄移植
  E. 末梢血幹細胞移植

 U. 移植の実際

  A. 無菌室
  B. ドナーの検査
  C. 前処置
  D. 骨髄採取と移植
  E. 末梢血幹細胞採取
  F. GVHDの観察,検査,治療
  G. 移植後感染症の特徴と治療
  H. 骨髄移植患者の看護
  I. 骨髄バンク


■引用
◆ドナーの選択
 「骨髄移植では移植細胞が免疫担当細胞であるため、他の臓器移植に比べHLAの適合性がかなり厳密に要求される。患者とHLA-A、B、DRが一致し、DNAタイピングでDRB1が一致した血縁者が見出された場合は、その人をドナーとして問題ない。DRB1抗原の不一致は、急性GVHDの頻度を増加させないし、生存率にも影響を与えないとされている(Petersdolfら、1993)ので、ドナーとしてよいが、最近非血縁者からの移植ではDP抗原の違いを無視できないという成績も得られはじめており、今後変わってくる可能性もある。」(p.66)

 「HLA-A、B、DR一致の血縁者がいない場合には、患者と1つのハプロタイプを共有し、残りのハプロタイプ上のA、B、DRの3抗原のうち2抗原が一致する血縁者を探すことになる。Beatty PGら(1985)は、1抗原不一致の移植では急性GVHDなど合併症は増加するものの、生存率に有意差が認められないことを報告している。この場合、異なる抗原がA、B、DRのいずれであってもその成績には差が認められない。1抗原不一致の血縁者がいても、骨髄バンクへの登録は可能である。」(p.66)

 「2抗原以上の不一致ドナーからの移植は血縁者であっても成績はよくない(Bortinら、1992)。2抗原以上不一致の血縁者しかみつからない場合には、骨髄バンクにドナー検索を依頼するか、自家骨髄移植を考慮すべきであろう。」(p.67)


◆骨髄提供意思の確認
 「HLA検査で骨髄移植可能と判断した場合、ドナー候補者に対して以下のことを説明し、骨髄提供の意思を確認する。血縁者であっても積極的意思を有しているとは限らず、意思確認は重要である。
   a. 術前検査の目的とその内容
   b. 自己血採取の目的と採取方法
   c. 入院期間
   d. 骨髄採取と麻酔の方法
   e. 骨髄採取の合併症の内容と発現頻度
   f. 術後検査の目的と内容
   g. 患者に全処置が開始された後の意思撤回は、患者にとって致命的であること」(p.67)


◆骨髄バンクとは
 「同種骨髄移植を当面最良の治療法とする患者はわが国だけでも毎年2000〜2500人程が新たに発生していると考えられるが、このうちHLAの適合する骨髄提供者を血縁者に有する者は約3割であり、残りの7割、数にして1400〜1800人の者は同種移植を必要としつつも提供者がいないために移植が受けられないというのが最近までの実情であった。骨髄バンクとは、<159<このような患者のため、不特定の患者に無償で骨髄を提供する意思を有する篤志家を募ってそのHLA型をあらかじめタイピングして情報として蓄積しておき(ドナー登録)、移植を必要とする患者が発生した時それを主治医を介して受付け(患者登録)、両者間のHLAの照合ならびに移植可能な組み合せが現れた時に非血縁者間骨髄移植の実施に至るまでを仲介する(コーディネート)機構である。」(pp.159-161)

「わが国では、1989年に設立され55例の非血縁者間移植を仲介した東海骨髄バンク、1991年に設立され9例の非血縁者間移植を仲介した九州骨髄バンク等民間骨髄バンクの経験を経て、1991年12月厚生省の指導の下に骨髄移植推進財団が発足し、日本赤十字社と併せて日本骨髄バンク(Japan Marrow Donor Program, JMDP)となった。」(p.161)

「海外では1976年に設立された英国のAuthony-Nolan骨髄ドナーバンク、1986年に設立され150万人のドナープールを持つ米国のNational Marrow Donor Programをはじめとして表40に示すような骨髄バンクが欧米、アジアの各国に存在する。ことに欧米の各国のバンクは“hub to hub”とよばれるドナーの相互検索システムができているので、白人系社会は合計250万人のドナープールを有することになる。」(p.161)


◆日本骨髄バンクの機構
「データバンク事業を受持つ日本赤十字社は、中央血液センターが中央データセンター、各都道府県72の血液センターが地方データセンターとなっている。」(p.161)

◆地方データセンターの役割
「地方データセンターの役割はドナー希望者のHLA class-Tのタイピング(一次検査)と、後程、患者とclass-1の適合したドナーのHLA class-Uのタイピング(二次検査)である。これらドナーのHLA情報はコンピューターシステムにより、中央データセンターへ集積される。最近一次検査のための採血は各地の保健所でも可能になってきている。」(p.161)

◆中央データセンターの役割
「中央データセンターの役割は各地から送られてくるドナーのHLA情報を蓄積し、骨髄移植推進財団(以下財団)事業部から依<161<頼された患者HLAと照合することならびにHLA class-UのDNAタイピングである。照合は全登録ドナーと全登録患者との間で毎週1回行われ、1患者宛最大5名のclass-T、U、血液学的タイピングが一致したドナーのリストが財団へ送付される。ドナーのclass-U抗原の血液学的タイピングは、class-T抗原の一致した患者がいた時、地方データセンターを介して再度ドナーから採血して行う(二次検査)が、これらはドナー情報として蓄積されるので、最近ではこのclass-T、U抗原一致ドナーリストを得るまでの時間は短縮されてきている。」(pp.161-162)

◆骨髄移植推進財団と中央調整委員会の役割
 「骨髄移植推進財団はこれらデータバンク事業以外の日本骨髄バンクの事業のすべてを行うが、骨髄の採取と移植ならびにコーディネート業務に携わる医療関係者にとって直接の関りがある部門は中央調整委員会である。同委員会は全国8地区(北海道、東北、関東、甲州越、東海・北陸、近畿、中・四国、九州)の移植医の代表である中央調整委員20名程からなり、これら中央調整委員はそれぞれ8地区の地区調整委員会の運営に責任を持ちつつ、ドナーコーディネート部会・移植部会・ドナーフォローアップ部会・組織適合性小委員会・データ管理小委員会・国際協力小委員会等、中央調整委員会内部に設けられた様々な役割を分担している。これらの実務には中央事務局内の業務部あたる。8地区の地区調整委員会事務局にも実務担当の専属事務局員が配置されつつあり、調整医師ならびにコーディネーターの業務を統括する体制になっている。」(p.163)

◆コーディネーターとは
「コーディネーターとは、財団が定めたコーディネーター養成研修コース(実地研修を含む)を履修し、かつ適正があると財団が認定し委託した者であり、現在100名以上の者は活動中である。」(p.163)

「日本骨髄バンクのシステムでは、ドナーのいる地区の地区事務局が司令塔になり、調整医師/コーディネーター、そして採取チームが、相互に連絡を取り合いながら<168<コーディネート業務、骨髄採取、採取後のドナーフォローアップを完遂する仕組みになっている。」(pp.168-169)

「調整医師/コーディネーターの業務は地区事務局からの依頼によりドナーの適格性判定と三次検査を実施するところからはじまり、骨髄提供後のドナーの無事を確認して終る。調整医師は主として採血や検査結果の判定等医学知識、医療技術を必要とする部分を担当し、コーディネーターはドナーとの連絡をはじめコーディネート業務の細目すべてを担当する。」(p.169)


UP:20080208 REV:

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