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『いきいき生きる――人間学のすすめ』

早川 一光 19960915 京都新聞社,207p.


■早川 一光 19960915 『いきいき生きる――人間学のすすめ』,京都新聞社,207p. ISBN-10: 4763804030 ISBN-13: 978-4763804037 1456+ [amazon][kinokuniya] ※

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内容(「BOOK」データベースより)
京のわらじ医者・早川一光が、ユーモラスにしかも鋭く、説き明かす「人間学」の解読書。この一冊があれば、人生に希望を持って、百倍楽しく生き抜けられます。

内容(「MARC」データベースより)
京のわらじ医者・早川一光がユーモラスに、しかも鋭く説き明かす「人間学」の解説書。人生に希望をもって、100倍楽しく生き抜くために。

■目次

第1章 ぼけの人間学
第2章 暮らしの人間学
第3章 人間学の探求
第4章 人間学の周辺
第5章 これから「人間する」人たちへ

■引用

 「▽167 延命と安楽死
 これから、医療と倫理の関係が問われてくる時代になってまいりました。倫理委員会などと組織をっくって、どのような冶療をするのか、どのような手当をするのか、これが問われてくる時代に入りました。
 それはなぜかというと、現在の近代医療は延命、一分、一秒でも長生きさせようとするのを目的とする医療です。そのためには手段を選びません。
 薬物と臓器移植と、そして手術を駆使して、一分でも一砂でも延命を図る。そういう医療が、一方では急速に発違してまいりました。
 その結果、本人が望まない延命、あるいは、もはやこれまでと本人が納得をしても、なおわれわれが延命を図るという医療も出てまいりました。
 ここに、患者さんご本人からも、無駄な医療、延命医療をしないように、あるいは自分ここに、患者さんご本人からも、無駄な医療、延命医療をしないように、あるいは自分がが息をひきとる場所、自宅であれぱ自宅、病院であれぽ病院、息を引き取る場所をはっきりとしておくことが必要になってきました。これが実は安楽死、尊厳死の発想の元になり▽168 ました。
 要は、今まで医療に携わる者に一任されていた命、体というものを、もう一度ご本人の手に取り戻す、返すという考え方が出てまいりました。これが医と倫理の関係になってまいります。
 インフォームド・コンセントという言葉があります。とにかく患者さんが飲んでいる薬、検査結果、あるいは受ける術式、それの副作用、あるいは効果、欠陥、そういうものをはっきりと知ったうえで治療を受ける権利が、患者さん側にあるのだということを、医療を担当する者も認め、医療を受ける者も、それを当然の権利として認めていかなくてはなりません。そういう論調が出てまいりました。
 これから二十一世紀は、ますますこの考え方がはっきりしてくると思います。
 特に、医療を受ける側の皆さんが、今まででのように、医療を施す者にすべて一任をするというものの考え方は、今後改めていきたいと患います。
 目分の体は自分のもの、自分の命は自分だけのものだというわかり切った原点に、もう一度立ちかえってみたいと思います。
 ▽169 医者は、痛みをとる努力、研究をもっとすすめていかなくてはなりません。痛ちは、人間が「人間である」ことを阻んでしまうからです。物を考えるカや意志がなくなります。だから、ぺインコントロールは、医者の最も重要な仕事の一つになります。
 医療を担当する私たちも、そのことを医療の基本にして、十分患者さんの意思に応えていく努力を続けるべきだと思います。」(早川[1996:167-169])


UP:20140805 REV:
早川 一光  ◇BOOK
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