『虚構の時代の果て――オウムと世界最終戦争』
大澤 真幸 19960620 ちくま書房,302p.
last update:20110311
■大澤 真幸 19960620 『虚構の時代の果て――オウムと世界最終戦争』,ちくま書房,302p. ISBN-10:4480056734 ISBN-13:978-4480056733 \693 [amazon]/[kinokuniya] ※ d/mw b1990/9611sp m/nhk01wv
■内容
内容(「BOOK」データベースより)
われわれにとってオウムとは何か。なぜ彼らは毒ガス・サリンを生成し、使用しなければならなかったのか。なぜ彼らは、近代の資本システムを貫通する。永遠に終わらない時間の対極に、破局的な終末論を求めなくてはならなかったのか。まさしく地下鉄サリン事件とは虚構の時代の果てに勃発した世界最終戦争だったのだ。虚構と現実が交錯する現代社会の機制を鋭く撃つ、気鋭の社会学者による渾身の冒険的論考。
■目次
第一章 妄想の相互投射
1 半世紀後の二つの戦争
半世紀後の戦争
もう一つの戦争
2 妄想の相互投射
妄想の相互投射
あらん限り近い他者
新新宗教としてのオウム真理教
第二章 理想の時代/虚構の時代
1 理想の時代と虚構の時代
二つの可能世界
理想の時代の現実主義
虚構の時代の反現実主義
オウムの虚構世界
2 両方向からの越境
理想を否定する理想
虚構への反転
哲学的レッスン
反対方向の反転
3 終末論という倒錯
終末論の氾濫
オウム真理教の終末論
近代的な時間
第三章 サリンという身体
1 毒ガスの恐怖
サリンの恐怖
腐海を譲るオーム
2 極限的な直接性
浮揚する身体
身体の微分
身体の「ここ」性と「そこ」性
極限的に直接的なコミュニケーション
シャックティ・パット
3 家族の無化
イエスの方舟
家族性の肯定
家族の根源的否定
家族否定の歴史的文脈
4 クンダリニー=サリン
クンダリニー=サリン
サイバーパンク的想像力
第四章 終末という理想
1 二つの終末論
二つの終末論
有限の時間
永続ということ
2 決して終わらない時間
「不可能な教養」としての予定説
千年王国論
追いつかないことと追い越すこと
止揚された終末論
3 資本の背理
資本の原理
〈超越性〉の消耗
4 破壊する神
空しさ
絶対の否定
否定的な終末論
第五章 虚構=現実
1 アイロニカルな没入
アイロニーの意識
空虚な言葉
天皇ごっこ
2 「ごっこ」の存立構造
右翼=左翼
他者の想定
〈超越性〉の生成
3 〈内在〉と〈超越〉
不可能性の実態化
真我の理論
視野狭窄
4 虚構=現実
虚構=現実
他者として生きる
ホロコーストのような
終章 ポアの思想を越えて
「総括」と「ポア」
権力構造の転換
共存の技術
あとがき
文献
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志