『ピープルファースト、一歩前へ!』
全国自立生活センター協議会 19960531 全国自立生活センター協議会,55p.
last update: 20190927
■内容
本書:見返しより
当事者の、当事者による、当事者のための組織が歩み出し始めました。
石毛 ^子
1993年、カナダで開かれたピープルファースト世界会議・話の祝典への参加は、まさに衝撃でした。世界各国から集まった知的障害をもつ人たちの、まさに当事者の・当事者による・当事者のための祝典であったからです。知的障害の人たち自身が、会議を進行し組織しています。思う存分に語りつくしています。楽しんでいます。怒りを発しています。たがいに共感しあっています。指導者として立ち現れる非障害者を批判しています。
知的障害のために抑圧されてきた人たちが、人間なんだ!と対抗する拠りどころ、基盤が″ピープルファースト″であり、差別を共通体験としておたがいを解放しあう関係がピープルファーストなのだと思いました。ピープルファーストは当事者の・当事者による・当事者のための組織です。
カナダでピープルファーストに出会って以来、ピープルファーストに出会う旅がつづいています。一昨年はアメリカ・ワシントンで開かれた全米セルフ・アドボカシー会議に参加しました。ここでもたくさんの当事者組織が、生きいきと会議を運営して楽しんでいました。そして、つぎが、今回のCGPから支援を得ての、カリフォルニア州サポーテッド・ライフ・カンファレンスへの参加となりました。サポーテッド・ライフ、つまり支援された生活、の会議名に表されていたように、援助者の参加も多く、会議はかならずしもピープルファースト主導というわけでもありませんでした。けれども、知的障害をもつ人の自立生活、仕事をさがすのをたすけ仕事の悩みを解決しあうジョブ・クラブなど、いろいろな当事者自身の活動を知ることができました。日本からの参加者も行政との交渉について報告し、アメリカの人たちのつよい関心をよびました。
会議以外でも、カナダでのピープルファースト世界会議より以前に、最初のピープルファーストとの出会いになった、カリフォルニア州サクラメントのピープルファーストのメンバーと再会することもできました。
サポーテッド・ライフ・カンファレンスでの出会いから、ついにダニエルさんを日本に招くことになりました。ダニエルさんが知的障害をもつ仲間をはげまし勇気づけるワークショップは、とてもしなやかで力強く素敵でした。ピープルファーストのリーダー、ダニエルさんを日本に招くことに賛成し積極的であったのは、日本からこの会議に参加した当事者の人たちでした。ダニエルさんは東京で、横浜で、大阪や熊本で、千葉で、ワークショップを開き日本のたくさんの当事者たちと出会いました。きっとダニエルさんと出会った仲間は、元気の素をいっぱい受け取ったこととおもいます。
カナダやアメリカでピープルファーストの人たちに出会って、日本の知的障害の人たちがどんどん元気になるのがわかります。旅の解放感を割り引いても、きっと、自分の意見をはっきり言うのは当たり前なのだと思えるからなのでしょう。出会いは、そうした意味を持ったのだと思います。
ピープルファーストに出会った人たちから、少しずつですが、つながちが広がっています。そのつながりは、昨年秋には当事者が東京都との接渉の機会を持つまでに至り、東京ではピープルファーストはなし合おう会の誕生となりました。当事者の当事者による当事者のための組織が、歩み出し始めました。新しいエネルギーに期待し、応援したいと思います。
■目次
当事者の、当事者による、当事者のための組織が歩み出し始めました。
[First Stage 日本からアメリカへ]
募集要項と申込書
審査結果通知と旅行説明会案内
参加者名簿
日程表
自立生活支援会議プログラム
日本の分科会の発表内容
感想文(当事者)
感想文(援助者)
[Second Stage アメリカから日本へ]
ようこそダニエル"
訪日スケジュール
プロフィール
ダニエルさんのおはなしと自信をもつためのワークショップ
キャシーさんのお話
質問と答え
マスコミ報道
自立生活支援会議参加その後
編集後記
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:安田 智博