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『変光星――ある自閉症者の少女期の回想』

森口 奈緒美 19960218 飛鳥新社,318p.


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■森口 奈緒美 19960218 『変光星――ある自閉症者の少女期の回想』,飛鳥新社,318p. ISBN-10: 4870312603 ISBN-13: 978-4870312609 1700 [amazon][kinokuniya] ※ a07.

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内容(「BOOK」データベースより)
知的で極度に内向的な自閉症の女性が、独特な精神的世界と学校時代にいじめられた日々を、感受性豊かな文体で初めて本格的に綴った衝撃のメッセージ。

内容(「MARC」データベースより)
知的で極度に内向的な自閉症の女性が、独特な精神的世界と学校時代にいじめられた日々を、感受性豊かな文体で初めて本格的に綴った衝撃のメッセージ。社会というものの中で「異邦人」と見なされてしまった著者の壮絶な葛藤。

■目次

1 幼年時代
2 小学校低学年時代
3 小学校中・高学年時代
4 中学校時代

■引用

2 小学校中・高学年時代

 小学校6年生 自宅にあった『小児自閉症』を読む。
 「今までの、氷河のような層をなした疑問の堆積は、奔流となって全身を駆け巡った。
 
 その本には、今までの自分の軌跡が、まるでそのまま、こと細やかに、鏡の中の自分の姿を見るように、鮮やかに描き出されていたのだった。
 本を読み終わって、私はその本の背表紙の表題を改めて見た。
 そして、その語の「症」の字に怯えた。
 私は病気だったのだ。普通ではない。”みんな”の言うとおり「変」なのだ。
 どうしたら、その「変」なのを、直していけるのだろうか、真剣に考えた。しかし、治癒までの結論はなかったし、いくら考えても、どうすればいいのだか、よくわからなかった。」(森口[1996:166→2004:166])

 「以前、ある新聞で『自閉症だったわたしへ』(ドナ・ウィリアムズ著、新潮社)に関する書評を読んだことがあるが、そこでも彼女の自閉症は、あたかも母親の虐待の結果であるかのように書かれていた。[…]
 本来ならば、ハンディのある子供を持ってしまった母親を思いやり、手を差し延べるというのが、愛のある社会のはずなのに、現実には世間では、「社会」でも「学校」でもなければ、「母親」に責任を負わせる、つまりは「母原病」として片付けられてしまう。これが、自閉症を取り囲む、最初にして最大の関門なのである。
 特に一九七〇年代は、自閉症は一般にはほとんど知られていなかっただけに、特に活動過多の<0291<子供の場合、周囲との軋轢は相当なものだったように思う。以前、ダウン症などの他の障害児を持つ母親の自殺率に比べて、自閉症の子を持つ母親の自殺率が非常に高い、というある統計を見たことがあるが、さもあらん、と肯定できる。
 そんな世間に向かって私は声を大にして言いたい。「悪い」のは母親ではなく、自分の「頭」なのだ、と。」(森口[1996:191-192])

◇Williams, Donna 1993 Nobody Nowhere=19931025 河野 万里子 訳,『自閉症だったわたしへ』,新潮社,297p.ISBN:4-10-526801-5 1942 [amazon] ※ a07.

■言及

◆立岩 真也 2008- 「身体の現代・1」,『みすず』2008-7(562)より連載 資料,

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※


UP:20090430 REV:20090502
森口 奈緒美  ◇自閉症  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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