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『グローバリゼーションの時代──国家主権のゆくえ』

Sassen, Saskia[サスキア・サッセン]1996 Losing Control?: Sovereignty in an Age of Globalization, Columbia University Press
=19990520 伊豫谷 登士翁 訳,平凡社,221p.

last update:20100726

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Sassen, Saskia[サスキア・サッセン]1996 Losing Control?: Sovereignty in an Age of Globalization, Columbia University Press
=19990520 伊豫谷 登士翁 訳,『グローバリゼーションの時代──国家主権のゆくえ』,平凡社,221p. ISBN: 4582841910 2100 [amazon][kinokuniya] ※

■内容

ブックレビュー社
  グローバル化は国家権力の衰退を意味するわけではなく,これまで国家間を隔ててきた制度や機構の溶解と説くこの書では,国家権力そのものを扱っているわけではない。「グローバル」と「ナショナル」という構図が崩れる中で,国家権力という装置の再構築と国民国家的な枠組みを超えた世界政治経済の構造を明らかにし,グローバリゼーションに対抗する枠組みを設定することをテーマとした書である。
  (1)経済の統合による世界のバーチャリゼーション(仮想実質化),(2)法の世界のアメリカナイゼーション,(3)国境を超える人の移動がもたらす「国民」の再定義――などグローバリゼーションが先鋭になるさまざまな側面が,すでに進行している。そこで,人権や民主主義などといった錆びついた近代的概念は,グローバルな権力にいかに対抗できるのかを問う。
  移民研究や世界都市研究で著名な筆者が,精密な分析にもとづいて,世界レベルの政治経済の構造変動を明確に提示する。グローバリゼーションは,国家権力の衰退を意味するわけではない。むしろ,ナショナルな支配装置がグローバル化し,これまで国家間を分け隔ててきた制度や機構が溶解してきていると訳者は説く。 (ブックレビュー社)
 (Copyrightc2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)

■目次

第1章 近代国家と権力の新しい地理学
 グローバル経済における領土性
 新しい法律制度
 アメリカナイゼーション
 経済活動の仮想実質化
 再編された国家機構
第2章 経済的市民権について
 グローバル資本市場
 グローバル資本市場と国家
 正統性の新しい領域?
第3章 新しい秩序の試金石としての移民
 規制の場としての国境と個人
 主権を超えて―国家の政策形成に対する制約
 個別を超えて―経済の国際化と地政学的な連関
 移民政策にとっての含意
 人権と国家主権
 移民、人権、国家主権

■引用

・アメリカナイゼーション
 企業法における「アメリカナイゼーションを引き起こした理由は、仲裁ノウハウの合理化、英米の超国家的サーヴィス企業の優位、紛争処理における新しい専門性の出現など、多少なりとも相互連関的である。」(p.69)

・グローバル資本市場と国家
 「ますます多くの高度発展諸国において利子率の規制緩和が進むにしたがって、中央銀行が経済の需要水準を規定するには、いまや利子率の変化に頼るほかはなくなっている。中央銀行は、もはや利子率の上限規制を用いることはできない。しかし、利子率が経済におよぼす影響力は、金融派生商品の発明と拡大によって、逆に弱体化してきた。」(p.106)


◆2001 The Global City: New York, London, Tokyo , Princeton University Press=200811 伊豫谷登士翁 監訳, 大井由紀, 高橋華生子 訳, 『グローバル・シティ──ニューヨーク・ロンドン・東京から世界を読む』, 筑摩書房, 477p. ISBN-10: 448086718X ISBN-13: 978-4480867186 5775 [amazon]

■書評・紹介

【書評掲載】
http://book.asahi.com/review/TKY200901130193.html

■言及



UP: 20100726
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