HOME > BOOK

Rights Across Borders: Immigration and the Decline of Citizenship

Jacobson, David 1996 Johns Hopkins Univ Pr, 200p. ISBN: 0801857708


このHP経由で購入すると寄付されます

作成:能勢桂介(立命館大学大学院先端総合学術研究科
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/g/nk01.htm

■Jacobson, David 1996 Rights Across Borders: Immigration and the Decline of Citizenship, Johns Hopkins Univ Pr, 200p. ISBN: 0801857708 ; Reprint 版 (1997/10/01) [boople]

1 世紀の新世界秩序

・人権などの諸権利、ネイションに限定。人権は本来、国民、外国人に関係ないが、政治的、公民的、社会権は国内のみ。
・西欧、米では民族自決から国際的人権にシフトしている。2
「脱国境的な挑戦に直面する国家の戦略の結果として、国際人権が出現してきている」3

ネイションを定義する
主権的な人民
・トランスナショナルな移住は、「国民」を枠付ける国家の能力に疑問をもたらす。脱国家的な移住は、国民であることが権利の完全な実現のために必要であるという了解に挑戦するのである。4
 James Hollifield 「国家が人びとの移動の増大にどう対応するかが、我々に世界の政治の将来や平和でリベラルな世界秩序のための見通しについて多くを示唆するであろう」7
市民権
仏革が、nation=stateと市民権を生んだ。7

「もし国民(citizen)と外国人の区別がなくなり、結果として国民共同体を枠づける境界が曖昧になれば、国家と社会の国民的(civil)な紐帯はすり切れていく。」8
議論
「ナショナリティの観念は、(国家に国民を枠づける卓越性を与えることによって)国家主権と自己決定を強める原則から人権としてのナショナリティの観念への変更のプロセスのなかにある。つまり国家は国際人権法に基づいて、あらゆる居住者に責任をもちつつあるのである。」10
・国際人権は、3点において国家の性質を変えている。1.国家:人民自決でなく、人権の担い手。2.司法の果たす大きな役割3.官僚の増大
・国家の国家・司法・国家官僚
この本の計画

2 欧州の移民と市民権

移民の歴史
WWT、ナショナリズムの頂点として。
フランスとドイツの国民性:フォルクガイストと友愛
A,Dスミスの2類型
領域型:フランス、生地主義
エスニック型:ドイツ、血統主義
これは帰化率にもあらわれる。仏13%、独6%
逆説的に、独の方が国際人権法取り入れている。

ヨーロッパ:定住するゲストワーカー
・ゲストワーカーの歴史
移民3期、@1945−1970、A70年代の家族再結合B移民の永住者への変質28
・西欧のダイナミックに駆動する移民
・きずなの織物:「なぜ取り締まりができないのか?」
一度、きずなの織物が形成されると、社会の一部になる。移民と労組などと葛藤しつつ、権利獲得へ34

移民の権利と市民権の価値
「外国人居住者のメンバーシップの地位と権利は、市民と非市民の区別があまり重要ではない点に達した。」38

3 アメリカ合衆国の移民と市民権―1986の移民改良と統制法案(IRCA)

 歴史的背景
移民改革
・IRCAの立法の歴史:利益の微妙なバランス
・移民と市民権:IRCAの効果を評価する
移民、IRCAそして市民権の価値

4 西欧と諸権利の時代

人権と国家主権
国際的人権手段
ECHR(ヨーロッパ人権会議)
OSCE(欧州安全保障協力機構)

ECHR(ヨーロッパ人権会議)
成立 反ナチ、冷戦
・外国人と国民
文章により、外国人/国民の区別なくす方向に83
・仕組み:国家行為から脱国家的規範へ
・脱国家的移民と人権のヨーロッパ合意
・国家再編:国籍と国際法

EUと移民

5 アメリカ合衆国と移民の時代

憲法と国際法
・国家を再編する:国際法の変化する役割
国際法、憲法そしてアメリカの政治的アイデンティティ
 結論

6 国民なき国家

・国家、国内/国外政治の交差上にある。
・国際人権によって構成され、各国それにしたがい行動する。このような意味で、ヨーロッパ安全保障・協力機構はヨーロッパコミュニティを代表する。
ヨーロッパ安全保障・協力機構
 OSCEの存在理由、人権の制度化108、1990より。NGOも参加している。
・国家の正当性
1990のパリ憲章(34カ国参加)でも、人権第一を確認109
・移動する国家権威の場所
NGOの役割を評価
・国家官僚の拡大
国家の役割の増大→人権擁護のため(積極的是正とか)
・民族的少数派
国家のトランスナショナルな基礎→「三つの局面すべて非国民が永続的に増加することによって強調され、強化されている。」113
 ナショナルマイノリティ、マジョリティと同一の権利。同化の拒否。115
新しい地を示すこと
国家:リアルポリティックスから人権レジームへ。
・新しい国家の国内的側面
「個人は国際的制度と法の目的である一方で、国家はこれらの権利を強制するための国際的メカニズムとフォーラムである。」117
・トランスナショナルな結びつき(環境、経済)→NGOや個人によって国際秩序形成、119
「結果として、国家は要求や信念を競合させるためのフォーラムになる。国家は今や、人民やネイションの一般意思を体現するものとして企図されるのではなく、しばしばトランスナショナルな結社や問題に関しての、いわばフォーラムなのである。」119
・国際的実体としての国家
国家が国際規範に埋め込まれるつれ、人権の名のもとの「国際的介入」が次第に正当化される。120、たとえば、チェチェン

・集団安全保障
これから国家は、広い共同体の一部であり、安全は集団的関心になる。123

7 国家なき諸国民―変わりゆく景観についての省察

・ディアスポラ状態で生きることは、共通の経験になっている。p.126
信仰の領土化
国民国家はプロテスタントの領土性に端を発している

新しい開拓地
 国民国家=領土、聖化だが、
「不法移民の侵入、つまりゲストワーカーの定住は、たんに受入国の法の侵害だけではない。それは聖なる空間や原初的な範疇を侵害することなのである。」131
           ↓ ↓

「脱聖化された世界にはどんな準拠点も確立しえないし、世界の方向性はまったく明らかではない」132断片化するのだ。

新しい拡張
 「人々の脱国家的移民の衝撃のもとで ・・・国民国家は解かれている。」、
133 
文化はイマジネーションの産物などで領土要らない。
また、人々が求める世界の中心(アイデンティティ)は居住にはない。つまり、帰属は重要でないのだ。
・「文脈に応じて個人はいろいろなイマジネーションに切り替える」ことさえ出来るかもしれない。たとえばドイツに生きるムスリムのトルコ人は多様な(参照)準拠点をもつかもしれない。p.134

新しい市民性


UP:20050922 REV:
国家BOOK
TOP HOME(http://www.arsvi.com)