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『福祉は経済を活かす――超高齢社会への展望』

滝上 宗次郎 19950625 勁草書房,289p.


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■滝上 宗次郎 19950625 『福祉は経済を活かす――超高齢社会への展望』,勁草書房,289p. ISBN-10: 4326798955 ISBN-13: 978-4326798957 [amazon][kinokuniya] ※ a06

■内容(「BOOK」データベースより)
快刀乱麻を断つ処方箋。高齢化の論点すべてに本音で答える。

内容(「MARC」データベースより)
福祉社会の青写真をどのように描くか。福祉の政治的、社会的役割とは何か。財源の調達は。老人医療、老人福祉とは何か。高齢化が進展していくなかで、その論点すべてに本音で答え、これからの福祉のあり方を考える。*

■目次

第1部 福祉ビジョンと政治
第2部 福祉ビジョンと経済
第3部 老人保健法と公的介護保険制度
第4部 福祉拡大のための行政改革
第5部 市場メカニズムの可否
第6部 老人医療とは何か
 第10章 末期医療、尊厳死、老人福祉(対談) 243-284

■引用

 横内 正利・滝上 宗次郎 19950625 「末期医療、尊厳死、老人福祉」(対談),滝上[1995:243-284]
 インフォームド・コンセントとは
 医師の役割
 治療をしないという医療
 「五年前にデンマークに行ったときに、私は大変なカルチャー・ショックを受けました。「延命治療は国民のコンセンサスの中にない」という説明を受けたことです。では仮に延命治療を願い出た患者や家族に対しては医療の反応は如何かという私の質問に対して、「延命治療はしない方向で話し合う」という返事がかえってきたことです。
 その代わりに、福祉は手厚い。」(滝上、[249])
 「デンマークでは、医師の方から積極的に延命治療をしない方向で話し合うようですが、延命治療をしないことに国民的合意が成立しているのであれば、それでよいでしょう。ただ、現在の日本でそれと同じことをするとすれば、かなり問題です。延命治療をしないことが、必ずしも国民のコンセンサスが得られているとは考えにくいし、日本人の倫理観では、延命治療を希望する患者は家族に、それを思いとどまらせるように説得することが許される、とは思えません。」(滝上、[250])
 話し合うルールがないから安易に他国を模倣したがる
 尊厳という価値観
 「ヨーロッパ諸国では高齢化に伴う医療費の高騰から、医療サービスの制限を強化していますが、とりわけ末期に顕著です。ヨーロッパのある国の医師から、ヒトが末期にあるか否かは判別できるし、末期ならば治療は控えると聞いたことがあります。私は、治療して治らなかったばあいに、すなわちヒトの死の後でしか、末期であったのか否かは判別できないと思うのですが。」(滝上、[254])
 非高齢者と異なる高齢者の末期
 死をみつめていない医療
 「日本でも高齢化が進展するにつれて、なぜ北欧諸国で延命治療がないのかを、財政事情や価値観や福祉国家の中身などの点から歴史的に検証していく必要がありますね。北欧は、今後の日本の医療の在り方について多くの示唆を与えてくれると思います。しかし、現状は、北欧諸国の老人福祉の情報は日本にたくさん知らされていますが、老人医療の実態、ことに末期については、何も知らされていないに等しい。
 北欧諸国の痴呆の高齢者のためのグループホームはよく情報が入りますが、そこで住めなくなった<0260<高齢者はどこに行くのかは知らされていない。また、グループホームでの医療がどうなっているかも日本に情報が入りませんね。痴呆の高齢者は急性疾患にかからない、ということはありませんからね。
 北欧の福祉を日本に紹介してくる人々の中には、意図的な情報操作があるのではないでしょうか。」(滝上、[260-261])
 治療した後でなければ、末期と分からない
 みなし末期
 「北欧諸国では延命治療はやらないということですが、それは単に延命治療の放棄ということに止まりません。疾患の治癒の可能性までも放棄しているのではないでしょうか。
 よく北欧の高齢者事情を紹介した本では、老人ホームにおいて、徐々に衰弱し、食事もとれなくなり、水もとれなくなり、静かに息をひきとります。これが「みなし末期」です。一見、老衰に似ていますが、全く違います。衰弱し食事も水もとれなくなった原因は、多く脱水か急性疾患にありますから、その原因を取り除けば元気な姿に戻ります。実際、点滴一本だけで回復する場合もよくみられるはずです。決して、老衰死ではありません。
 つまり、北米では、食事をとれなくなった状態を意図的に末期とみなして治療しないという、国民の合意が成立しているのです。私は、末期には三つあるといいましたが、第一の「老化の末期」、第二の「生命の末期」に対して、これを第三の「みなし末期」と呼んでいます。日本では、「生命にとっての末期」にどのような医療をとるかという問題でさえも社会的合意は得られていません。まして、「みなし末期」については、議論さえ始まっていない。北欧と日本との、老人医療に対する価値観の落差は、我々の予想をはるかに越えているのです。」(横内、[264])

■言及

◆立岩 真也 2008 『…』,筑摩書房 文献表


UP:20080311
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