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『ジェンダーと社会階級』 牛島 千尋 19950515 恒星社厚生閣,178p. ASIN: 4769907974 2625 ◆牛島 千尋 19950515 『ジェンダーと社会階級』,恒星社厚生閣,178p. ASIN: 4769907974 2625 [boople]/[amazon] ※, e05 f/w01 内容(「MARC」データベースより) ネオ・マルクス派のライトが提唱し、世界20数ヵ国のチームが参加した「階級構造と階級意識に関する国際比較研究プロジェクト」。ここで扱われたテーマのうち、女性と階級に関わる問題を取り上げ、一冊にまとめた。* 目次 第1章 ゴールドソープの階級論とライトの階級論 第2章 「女性の階級」研究 第3章 職業移動と労働市場移動 第4章 労働市場分断、職業分断と女性就労者 第5章 階級構造と女性就労者の階級状況 第6章 階級と意識 第7章 家族と階級 掲載:20020806 第一章:ゴールドソープの階級論とライトの階級論 第二章:「女性の階級」研究 第三章:職業移動と労働市場移動 第四章:労働市場分断、職業分断と女性就労者 第五章:階級構造と女性就労者の階級状況 第六章:階級と意識 第七章:家族と階級 まとめと展望 第一章 ゴールドソープの階級論とライトの階級論 1、 階級分析と「階級」の用語をめぐる問題 「現在のところ、「階級」の概念は、それを使用する研究者の立場によって大 きく異なっており、まず、この点について少しばかり触れておきたい。」p1-2 −マルクス派とウェーバー派の概念の違いについて 2、 階級構造の不透明さと「新中間層」の問題 「近代産業社会の階級構造を問題とするとき、争点となるのは、直接的な生産 に携わらない職務、流通、分配、金融、行政部門などの組織の中で事務的作業を 行う一群のノンマニュアル層である。」p2-26 −「新中間層」と呼ばれるこれらの階級の位置付けのあやふやさについて 3、 ゴールドソープの階級論と階級分類 「ゴールドソープの提示する階級分析の目的とは、次の3つに集約される。第 一に、階級がどの程度まで相対的に安定した集合体として形成されてきたかを確 定すること。第二に確定された範囲での集合体間の社会文化的差異と、この差異 が階級間の移動によってどの程度まで形成されているかを検討すること。第三 に、階級分析の視点から、社会行動・社会関係の違いをせつめいすること。」 p7-21 − ネオ・ウェーバー派であるゴールドソープの階級分析について。 4、 ライトの階級論と階級分類 「ライトの階級論は、基本的には、伝統的なマルクス派の中心にある生産関係 概念によって展開される。」p12-21 「ライトの新モデルは、搾取中心の階級概念への転換を図ったものとはいえ、 支配概念が完全に拭い去られたわけではない」p21-20 − ネオマルクス派であるライトの階級分析について。 第二章 「女性の階級」研究 1、 伝統的階級研究への異議申し立て 「このように、長年にわたって、階級研究はジェンダーと階級とのかかわりを 意識的に、あるいは無意識的に、無視しつづけてきた。しかしながら、1970年代 半ばから、フェミニズム運動の高まりを背景として、これまでの階級研究に対し て多くの疑問と批判が投げかけられた。」p27-17 −階級研究が男中心だったことに対する新たな研究例の投げかけ。 2、 女性の階級研究に関する第三と第四の方法 「これまでの階級研究の分析単位は、2つの次元に整理される。第一は家族 で、第二は個人である。」p28-20 3、 女性の階級研究をめぐる問題点 「異なる階級的位置を持つ夫と妻は、研究の射程に取り入れる必要があるだろ う。(クロス・クラス家族)」p36-24 「女性の労働市場へのコミットメントがどのようであれ、使用する階級分類が どのようなものであれ、最終的に残された問題はやはり階級分類の単位にかかわ るものである。」p39-11 −上の二つの問題点について主にネオウェーバー派とネオマルクス派の視点か ら解説。 4、 「女性の階級」研究の冠する分析上の問題と課題 「本書では、主として市場労働を対象に、階級社会が個人や家族に対して持つ 結果の分析を展開していく。その際、現代の資本主義社会において連動した二つ の不平等、すなわちジェンダーによる不平等と階級による不平等を、分析上は別 の不平等としてとりあげていく。これは、ジェンダーによる不平等が労働と階級 の中で構造化された側面と、労働と階級による不平等がジェンダーの中で構造化 された側面とみなすことができる。」p47-19 第三章 職業移動と労働市場移動 1、 女性就労者の職業移動 「女性の非単線的な就労経歴の背景となる労働市場とのかかわりを、職業移動 と労働市場から探っていく。」p52-11 −労働状況に関する首都圏調査のデータを基に、女性就労者の職業移動につい て分析。 2、 労働市場分断と労働市場間の移動 「『労働市場分断論』は企業の規模格差にもとづく二重構造論の発想を産業の 集中の度合いから捉えなおしたものである。」p61-7 −調査データを、労働市場分断論に女性労働を視野に入れた構造論的展開に基 づき研究。 3、 女性の就労経歴 「以上のような女性の移動の特徴は、女性就労率のM字パターンに象徴される ように、結婚期や出産期に労働市場から完全に撤退し、一定期間を経て再び就労 する者が多いという女性の就労経歴に起因している。」p66-18 第四章 労働市場分断、職業分断と女性就労者 1、 3つの労働市場と女性就労者 「女性就労者は、周辺労働市場、自営業市場(自営業主と家族従業者)、中核 労働市場にほぼ三分されている。以下ではこれらの労働市場にある助成の就労状 況を見ていこう。」p71-2 2、 ジェンダーによる職業分化と労働市場分断のもうひとつの側面 「ここでは、ジェンダーによる職業分化と労働市場分断の構造化のもうひとつ の側面として、近年、拡大してきた専門・技術系職業分野の特徴とその意味を探 っていきたい。」p83-1 第五章 階級構造と女性就労者の階級状況 1、 ジェンダーと階級構造 「両概念の違いが最も顕著に現れるのが、ライトのプロレタリアートとゴール ドソープの労働階級である。〜女性で不一致率が高い。」p95-8 − ゴールドソープとライトの両階級分析を使って首都圏調査データの階級構 造の特徴を検討した上で明らかになったその違いについて。 2、 女性就労者の階級状況 「女性就労者の多くについていえることは、就労先事業所は小規模で、臨時雇 用やない章句などが多く、従って不安定な雇用形態にあることである。」p109-9 −女性就労者の市場状況・職場状況に基づき雇用形態を分析。 第六章 階級と意識 1、 階級認識と階級意識 「ギデンズは、階級意識を、特定の階級への所属を意味することを認識した り、異なった態度、信念、及び生活様式により特徴付けられる他の階級を認識し たりすることとして、また、これに対して階級認識を、こうした階級意識を含ま ず、階級の存在または実在性の肯定と否定に関する意識として概念化している。 これら階級意識の形成は、これに先立って、階級が存在することが認識されてい なければならない。」p113-1 2、 階級意識と階級帰属意識 「階級帰属意識は、階層帰属意識と密接な関係があり、階層帰属と同様、生活 水準は階級帰属の判断基準となっている。しかし特に女性については、階層帰属 意識とは異なり、失業・転職経験や労働組合参加が階級帰属意識と強く関連して いた。」p124-14 −上述したように一般的な所得や富の分配の不平等に関する意識である「不平 等意識」は階級帰属意識と強く関連しているが、性別による社会的差別や職業分 業に関する意識である「ジェンダー意識」は独立したものである。 3、 客観的階級、階級状況、階級に関する意識 「客観的な階級は研究者が与えた位置であり、階級状況を反映したものとみな される。他方、階級帰属意識は回答者が自らの階級状況から判断した位置であ り、同様に階級状況を反映したものとみなされる。」p129-6 第七章 家族と階級 「これまで、「女性の就労は差異をつくる」という共通のテーマをめぐって、 ネオウェーバー派のみならずネオマルクス派から、それぞれの立場にたった分析 が展開されてきた。既婚女性に関しては、妻が就労することが家族の経済的位置 や、本人あるいは家族成員の意識へどのような影響をもたらしているかの検討を 通して応えてきた。」p137-13 1、 既婚女性の就労の諸条件と就労の効果 「これらの結果は、既婚女性の就労は配偶者の階級に影響されるというゴール ドソープの指摘を裏付けるものといえよう。」p141-13 「もし、女性が就労することによって獲得する収入が、家族間の経済的な階層差 を変える事が明らかとなるなら、女性の就労は、階級社会における経済的資源の 分布に影響を及ぼしていることになる。それはまた、階級分析にとって、女性の 就労が重要なテーマになることを示している。」p141-21 2、 家族と階級 「ヒースとブリテンの合成分類の方法を用いて、夫と妻それぞれの階級を組み 合わせた家族類型を構築してみよう。」p147-3 −家族類型ごとの経済水準と妻が働くことによる経済効果を分析、分類してい る。 3、 デュアル・キャリア家族とクロス・クラス家族 「女性は、夫の収入が低いという家族の経済状況を一つの条件として就労す る。彼女たちが就労することによって獲得した収入は、低い経済階層を引き上 げ、結果的に、夫が同じ階級的位置にある『共稼ぎ家族』を上回る経済水準を達 成することができる。また、妻がサービス階級である家族や妻が夫より高い階級 の場合には、妻の家族経済への貢献は大きい。この見地から、注目される2つの 家族類型、『デュアル・キャリア家族』と『クロス・クラス家族』を取り上げ、 そのプロフィールを見ていこう。」p151-8 4、 既婚女性の階級帰属意識 「既婚女性の階級アイデンティティが、配偶者の階級によって説明されるとい うことは、女性の階級状況と階級帰属意識との間に配偶者の階級状況が介在し、 それが大きく影響することを意味している。」p157-9 まとめと展望 「残された課題は多いが、次の3点を指摘しておこう。」p171-17 @ 女性の階級をめぐる論議の中で最も注目された、女性の階級が配偶者より高 い「クロス・クラス家族」は調査データの中では極めて少数なため、他の家族類 型と比較検討できなかった。クロス・クラス家族は、女性の階級と家族状況との 関係を知るための手がかりとして重要な意味を持っているため、事例調査などイ ンテンシブな研究を通じて明らかにしていく必要があるだろう。 A 女性の就労は差異を作り、女性の階級は差異を生む、ということは本書の分 析結果から明らかになった。しかし、女性間の差以上に大きな違いを示したのは 女性と男性の間においてである。女性と男性のジェンダー意識の差は、市場労働 に関するものだけではなく、家庭内の労働にも見られたため、家庭内の労働も取 り上げて分析していく必要がある。 B 分析にかかわる技術的な問題として。本書で多用されたゴールドソープ・ラ イト両階級理論を分析に使用する際のこれからの留意点について、様々な注意が 必要だということ。 感想 「社会階級」という言葉・意識は普段我々が生活している中では、ほとんど感 じないようなことだと自分では思っていた。それはもしかすると自分が男性であ るためなのかもしれないが、本書を読んだ中で、経済学者であるゴールドソープ やライトの理論が、近年なにかと話題にのぼるジェンダーの問題にあてはまって いることから、労働(経済)に関する分野ではまだまだ階級的な考え方で社会を 捉えるというのが一般的であり、特に女性に関しては、男性から見るとわかりに くいところで、階級的な様々な差異があるのかということを考えさせられたよう に思える。 UP:2003 REV:20061006 ◇女性と労働 ◇ジェンダー gender ◇家族 ◇フェミニズム ◇2002年度講義関連 ◇平等/不平等/格差 ◇BOOK |