『大衆長寿時代の死に方』
濱口 晴彦・嵯峨座 晴夫 編 19950530 ミネルヴァ書房，278p.
■濱口 晴彦・嵯峨座 晴夫 編 19950530 『大衆長寿時代の死に方』，ミネルヴァ書房，278p. ISBN-10: 4623025330 ISBN-13: 9784623025336 \1942 [amazon]／[kinokuniya] ※
■内容
内容（「BOOK」データベースより）
流動化する社会のなかで、さまざまな視点から死の周辺をさぐる。
内容（「MARC」データベースより）
現代における死のあり方を、死の文化相、死の看とりと場所、死をめぐる人間関係、死と向かい合うの4つに分けて論じた、「大衆長寿時代の生き方」「大衆長寿時代の老い方」に続く三部作最終巻。〈ソフトカバー〉*
■目次
はしがき
序章 生と死の人口学
1 死すべきものとしての人間
ホモ・モルタリ
死のイメージ
現代社会の四つの特質
キーワードとしての死
死が語られる音楽
2 人口学における生と死
死へのマクロ・アプローチ
生命方程式
神の秩序
人口の原理
3 人口革命
4 生と死の人口問題
人口爆発
少子化と人口減少
将来人口
新しい人口の原理
I 死の文化相
第1章 死の歴史人類学――ヨーロッパの死生観
1 死の始源
死の意識
埋葬の特徴
家族墓の原型とカニバリズム
洞窟壁画の死
巨石文化と「死者の家」
2 死者と葬送
「葬送」の意味
古代の葬送
墓地と都市
贖われる死・見られる死
3 死の民俗
死の告知
旅立ち
出棺・葬列
教会ミサ・埋葬
葬宴と服喪
想像力としての死
死の変容
第2章 死の文化的多様性
1 死の文化的多様性とは
死にまつわるエピソード
死の多様性を見る際の分析視角
2 日本における伝統的な葬送儀礼
通過儀礼としての葬送儀礼
死者の処置をめぐって
葬儀のプロセス
死後の供養
3 日本の葬送儀礼にみられる特質
4 中国における死のあり様
死は家族と関わっている
日本では、イエがあの世と祖先観の媒介となる
中国では、家族があの世と祖先観の媒介とはならない
5 〈一家子〉の構造と祖先祭祀
6 祖先観と陰間（あの世）
死についての観念の比較
〈一家子〉が、祖先と陰間を結びつけない理由
7 死の研究についての将来的展望
現在の中国における祖先観は変化しつつある
今後の研究のありかた
第3章 スポーツにおける死
1 スポーツと死
「スポーツ」と死は結びつくか
問題の所在
スポーツ観と死
プレイ論と死
日本人的スポーツ観
2 スポーツにおける死
スポーツと近いところにある死
スポーツにおける死の諸相
3 スポーツマンの死と生――円谷幸吉とモーリス・エルゾーグ
規矩の人――円谷幸吉
二つのアンナブルナ‐モーリス・エルゾーグ
II 死の看とりと場所
第4章 死に場所づくり――新潟県大和町における医療・保健・福祉の連携
1 大和医療福祉センターの活動
大和町の概要
大和医療福祉センターの概要
大和病院の活動
農村検診センター
特養ホーム・八色園
ヘルパースティション
利用者が選ぶ在宅メニュー
2 大和町は長寿の町になった
住民の意識が変わった
医療費が抑制された
医療費が抑制されたわけ
3 死に場所づくりのために
4 地域が生きなければ、地域医療も地域福祉も生きない
第5章 光り輝いて星になる――特別養護老人ホームの介護と看とり
1 ありがとうの日々――ガンと闘ったTさんへの終末ケア
102歳Tさんの入所
こめかみの傷はガンだった
敬老の日の大役
摂水食チェック
息絶えた時、ガンも萎えた
2 天からの贈物――脳梗塞後遺症右片マヒAさんの死
クリスチャン・ファミリーの祈り
左手で書いたメモ
黄疸の悪化による入院
前夜祭の来訪者
3 鎮魂歌――心臓発作で急逝したYさんの愛
養護老人ホームからの措置変更
痴呆症状に対するケア
『レクイエム小林秀雄』
モーツァルトとパンとコーヒー
大腿骨骨折
最後の桜
お気に入りの品に囲まれて
4 ゴール――死を待っていたKさんの生き方
長期入院廃止制度
郵送されてきた自分史『後衛』
思い出は人生最高の恩恵
ゴールはある
用意されていた「別れの挨拶」
5 特別養護老人ホームの介護と看とり
特別養護老人ホームへの入所
特別養護老人ホームの役割
特別養護老人ホームの看取り
「死に方」ではなく「生き方」を支える
第6章 死の形――病死・事故死・自殺
1 大衆長寿時代の死
2 病死
3 事故死
男性高齢者には不慮の事故が多い
高齢者に交通事故死の増加
4 自殺
高齢者に自殺が多い
「病苦から」が多い
人生の伴侶はいつも大切
自殺と職業
自殺の方法
5 大衆長寿時代の死から学ぶ
III 死をめぐる人間関係
第7章 死と地域社会
1 配偶者との死別経験者の調査から
配偶者の死の影響
調査の概要
配偶者との死別の実態
死別後の生活変化
死別後の援助
2 死別後一年以内の経験者の事例
3 死別後三年以上の経験者の事例
4 新たな生と地域社会
第8章 ひとりになるとき、なったとき――取材ノートから
1 「二人だから大丈夫」!?
老夫婦は単独世帯の予備軍
連れ合いが倒れた
私の方はいいから……
2 自分からはいえないSOS
3 イザといっても
老人の街・東京
「妻は夫に頼れない」
援助と自立の狭間で
4 「はいれない」「帰りたい」「帰れない」
昨今老人医療の周辺
パニック
あの家には帰せない
はいずっての在宅で
自立というより……
自宅退去を迫られて
5 退院したらどうしよう
6 たかがホーム、されどホーム
7 そして、ひとりに
迷い
帰るところが
申請主義
とっかかり
1人→0.5人になるときに
第9章 二十一世紀の結縁と葬送を考える
1 昨今の葬送事情
葬送への関心の高まり
"死後の自己決定"志向と"結縁"
2 市民運動と葬送ブーム
お墓の跡継ぎ問題が突破口
永代供養墓の出現（1990年）
環境問題から散骨のすすめ（1991年）
人々の関心は「墓」から「葬儀」へ
葬送に関心を持つ人々
3 家族の変化とお墓
跡継ぎのいない者の増加
女性に不利な家意識を引きずる墓
実家の墓に入りたがる妻たち
男女双系的家族意識
扶養家族化が「家」から「個」の時代をもたらす
4 二十一世紀の葬送を考える
人々が望む葬送とは
地縁・血縁に代る新たなネットワーク（結縁）
「死後の自立」システム
業者も行政も新たな方向へ
IV 死と向かい合う
第10章 末期ケアにおけるバイオエシックス――生と死を支え合う
1 医療と「善い行い」の原則
2 自己決定の原則とインフォームド・コンセント
患者の自己決定
インフォームド・コンセントとは
患者の「知る権利」
3 専門化の義務と責任・倫理
4 公正と平等の原理
5 生命の神聖性と生命の質
6 こころのケア
7 末期ケアとボランティア
コミュニティの中の支え合い
ホスピス・ケアとボランティア
関わりの中の自己決定
全人的ケアのバイオエシックス
第11章 若者の死生観
1 看護学の立場から「ターミナル・ケア」を考える
「介護概論」を出発点として
生・病・老・死のケア
あなたが望むターミナル・ケアとは
2 身近な死――学生のレポートから
癌の告知、そして専門家に問う
父の死は私を福祉の道へ導いた
死は誰にでもやってくる
介護者の精神的苦しみ
切り離された死
身近な死の体験
生きることを教えてくれた祖母の痴呆
3 ターミナル・ケアを考えて――学生のレポートから
父の過労から、家族によるターミナル・ケアの課題
生活コーディネーターを
人間関係で介護チームを
最後まで看取ることの難しさ
4 学生のレポートから若者の死生観をみる
「二人称」の死を通してのターミナル・ケア
ターミナル・ケアの意味するところ
現代社会の問題
5 看護学からみた「ターミナル・ケア」
看護の立場から
老人医療の現場から
あなたと私のケア
第12章 クスリはリスク――死なないために
1 くすりの起源
薬は脇役、主役は病人
病気は悪魔の仕業？
くすりの語源
2 くすりの歴史
東洋における歴史
西洋からの影響
アラビアの錬金術
3 くすりの本質
4 くすりの研究
新薬のできるまで
新薬の製造承認許可
有効性、安全性の追跡調査
5 くすりの流通
6 これからのくすり
DDSへの期待
オーファン・ドラッグ
薬剤疫学の進展
全人類の健康目指して
終章 大衆長寿時代の死に方
1 なぜ死が語られるようになったのか
65歳以上人口のピラミッド比べ
65歳以上人口の住所録
事実としての死と象徴としての死
都市化にともなう生活条件の変化
向都離村による集合離散
葬式の様変り
宗教と科学の間で
死からの回復と癒し
2 生と死のタイポロジー
死ぬべき理由の有無
自殺の四類型
生と死の四類型
メメント・モリ
3 スフィンクスの謎
人間は病むようにつくられている
健康マップ
死に場所の変化
スフィンクスの謎の正解は何か
4 死に方をめぐる二つのシナリオ
若年と高齢者の死亡割合の変化
二つのシナリオ、二つの老化モデル
人間の証明
親からもらった三つのもの
大衆長寿時代の三つの必修科目
人生への省察
老境はかりがたし
死への恐怖について
死のプライバシー化
■引用
■書評・紹介
■言及
＊作成：樋口 也寸志