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『大学教授になる方法』

鷲田 小彌太 19950315 PHP研究所,248p.

last update:20140513

鷲田 小彌太 19950315 『大学教授になる方法』,PHP研究所,248p. ISBN-10:4569567452 ISBN-13:978-4569567457 \524+税 [amazon][kinokuniya]  ※

■内容


内容紹介
 大学大衆化時代における就職ガイド。実名と匿名の実例を織りまぜ、大学教授になるためのさまざまなコースを紹介。審査なし、無資格、コネなど意外な裏技も一挙公開するモラトリアム人間必読の書、「国家試験なき知的専門職のすすめ」。

内容(「BOOK」データベースより)
医者や弁護士と違い、大学教授になるのに資格はいらない。しかも「知的」な活動を行ない、その地位が特権的に保証されており、社会的評価も極めて高い。そんな職業に誰もが就けるとしたら…。本書はそれを実現するための最短のパスポート。偏差値50前後の人なら、方法さえ間違わなければ誰でもなれることを様々な実例で紹介。いままで誰も書かなかった異色の就職・転職ガイダンス。

■目次

0・0 はじめに
1・0 モラトリアム時代における職業としての大学教授
 1・1 階層としての大学教授
 1・2 教授の仕事
 1・3 「仕事」以外の活動
2・0 無資格の世界−−大学教授になる方法1・資格
 2・1 「普通」コース−−研究者養成機関を経る
 2・2 「中級」コース
 2・3 「特殊」コース−−大学を出て助手から始める
 2・4 「超特殊」コース−−大学を出ないで大学教授になる
3・0 審査対象のない世界−−大学教授になる方法2・教育・研究内容
 3・1 助手になる−−教育歴・研究歴も業績もいらない
 3・2 非常勤講師になる−−教育歴・研究歴なしに教育歴をうる
 3・3 専任教員になる−−研究論文はいる。しかし……
4・0 広き門より入れ−−大学教授になる方法3・就職先
 4・1 高専・短大の教員になる
 4・2 私立「無名」大学教員になる
 4・3 「辺境」大学の教員になる
5・0 コネで入る−−大学教授になる方法4・就職方法
 5・1 公募で入る
 5・2 コネで入る
 5・3 「特殊」で入る
6・0 「業績」いろいろ−−大学教授になる方法5・昇格方法
 6・1 「論文」を書く
 6・2 「研究発表」
 6・3 「教育活動」
 6・4 「学内行政」
 6・5 「年齢」
7・0 おわりに−−21世紀における大学教授

■引用

◆…どんな場所で、どんな給与で出発するかは余り問題にせず、自分の課題を自分のえた環境に適合させるというのが、大切なことであるといいたい。日本国中、あるいは海外でも、職があったらどこにでもゆくという見切りも、必要なのである。[1995:31-32]

◆大学教員の「仕事」は大別すると、教育活動、研究活動、学内行政の三つである。/大学の教員もサラリーマン(勤労者)である。自由営業者ではない。しかし、就業規則の根幹をなす「勤務時間」の規定がないのである。…/もとより、教育活動の中心である自分の持ち分の授業はこなさなければならない。…/それに、隔週の教授会に出席しなければならない。/さらに選ばれれば、隔週の各種委員会に出席しなければならない。/特に、「授業実施」と「教授会出席」は「義務」である。…/授業の中心は、講義と演習である。講義を、一年間、濃い内容で行なうことは、考えられている以上に大変である。一回、原稿用紙で四十―五十枚分しゃべるとしても、年に千枚以上準備しなければならないのである。講義の内容がそれぞれ違う授業を三コマこなし、その一つ一つに毎年新しい内容を付け加えてゆく形の授業をしようとするなら、講義だけでほとんどの精力を費やすほどの重労働なのである。…研究活動は、大学教員の本分である。それがなければ、大学教員ではないのである。勤務時間が特定されていないのも、自宅研修等で自由に研究活動をするためのものなのである。…大学教員にとって、不可避ではないが、重要な仕事が、「学内行政」と呼ばれているものである。…さまざまな役職がある。…大学教員には、「勤務時間」なるものがなかった。授業以外の時間は、まったく自由に使ってよいということである。/ただし、アルバイト等で、他校に講師に出るときは、届け出ることと、一週間に担当するコマ数は制限されるのが普通である。つまり、本務校の仕事にさしつかえるような「仕事」は手控えるようにという内規はあるということだ。/しかし、その他のことは、本務校の仕事にさしつかえないなら、どのようなことをしても自由ということである。[1995:32-39]

◆大学教員は、教育能力とともに研究能力をもつことが条件とされている。その教育能力が研究能力に裏づけられてのものであることを、である。したがって、採用にあたって、審査対象になる最も大きな要件が、研究能力ということになるのである。/では、研究能力は、何をもってはかるのか。研究成果である。それは、普通、研究論文や学会研究発表等で客観的に提出したものに限定される、著書、論文、研究発表要旨等、客観的に審査の対象になるものがなければ、どれほど潜在的研究能力を誇っても、審査の対象から外されるのである。/論文は、いうまでもないが、専門研究論文でなければならない。学術専門研究誌に発表された論文なら、特によい。…/論文は、厳密な意味なら、オリジナリティを要求される。それに、過去の研究成果をどれほど消化しているのかも重要な審査の対象になる。特に、過去の研究成果をふまえ、それを参照文献等という形で反映させることが重要視されるのだから、いわゆる素人筋にはおいそれと書けないのが研究論文なわけである。[1995:73-74]

◆そして、何よりも、実際の採用にあたって、審査対象の重要部分をしめるのが、年齢、性別、そして、いうところの「人柄」である。/「人柄」を、一口にこうであるということは出来ない。採用する側にとって都合のいい「人柄」ということになるからである。[1995:75]

◆非常勤講師とは、大学の専任ではないが、大学で授業科目を担当する教員のことである。単年契約で、報酬は時間給である。身分は不安定だし、報酬は安く、もとより、研究室や研究費の支給はない。教育・研究能力をパートで「売る」という性格を強くもっている。…/しかし、なぜ、非常勤講師などというものがあるのだろうか。大学は、専任教員の数だけでは、とうていその教育・研究活動を消化できないような体系になっている。一人の非常勤講師も採用せずに、大学を運営しているような所は、まったく皆無である。数からいえば、一大学は、その専任教員と同じだけの非常勤講師を必要とするというのがごく普通なのである…/身分の保証もなく、報酬も安く、研究条件がゼロに近い…非常勤講師という職は、しかし、教育歴という立派なキャリアーがつくため、専任職をえる時におおいに有利に働くのである。…/非常勤講師も、名前の上だけからいうと、大学で教える者、つまり大学教員である。たんに潜在的に教育能力がある者としてではなく、すでに教育能力をもつ者とみなされる。つまりは、即戦力として評価されるのである。…非常勤講師に求められているのは、教育活動である。教えることである。研究能力や、研究活動は、直接には求められない。したがって、担当する科目を「教える」ことが出来さえすればよいのである。…一般的にも、非常勤講師の資格審査は、書類上の処理に近い場合がほとんどなのである。…非常勤講師採用担当科目が属する学科やコースの誰かが推薦し、教授会で形式的な報告手続きを踏んで決定されるのが普通なのである。[1995:86-89]

◆「大学教授になる」ということをめざすならば、銘柄を選ぶな、ひとまずはどこでもいいから入りなさい、ということを奨めたいわけである。[1995:103]

■書評・紹介

■言及




*作成:片岡稔
UP:20121210 REV:20140512 0513
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