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『片づけられない女たち』

Solden, Sari 1995 Women with Attention Deficit Disorder: Embracing Disorganization at Home and in the Workplace, Underwood Books
=20000531 ニキ・リンコ訳,WAVE出版,392p. ISBN:4-87290-074-X 1680


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Solden, Sari 1995 Women with Attention Deficit Disorder: Embracing Disorganization at Home and in the Workplace, Underwood Books=20000531 ニキ・リンコ訳,『片づけられない女たち』,WAVE出版,392p. ISBN:4-87290-074-X 1680 [amazon][boople][bk1] ※ adhd a07.
 *サリ・ソルデン

■著者 (「BOOK著者紹介情報」より)

ソルデン,サリ
ミシガン大学を卒業後、カリフォルニア州立大学でカウンセリングを学び、修士号を取得。ミシガン州アナーバー市で心理療法士として開業、ADD(注意欠陥障害)の成人とそのパートナーを対象とした個人療法、夫婦療法、グループ療法を専門に行なうかたわら、成人ADDの診断法、治療法の分野で、臨床家の研修・指導にあたっている。

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内容説明[bk1]
持ち物も、頭の中の考えさえも片付けられず、毎日の生活にひどい苦労をしている女性がたくさんいる。プロのセラピストが、ADD(注意欠陥障害)という心の病を現代に生きる女性をベースに分かりやすく解説。〈ソフトカバー〉

(Amazon.co.jp)
自分の部屋を片づけることができず、ゴミの中に埋もれるようにして暮らす女性について、多くのマスコミは半ばおもしろがって取り上げる。本書はその原因が本人のだらしない性格にあるのではなく、神経系の障害である可能性を唱え、全米でベストセラーとなった。
この神経系の障害は、ADD(注意欠陥障害)と呼ばれる。幼いころから兆候が現れていても、見落とされることが多く、大人になるまで本人が気づかないことも少なくないという。さらに、散らかす、なくす、忘れるといった特有の症状は、社会が女性に期待する女性像とのギャップが大きく、「片づけられない女」というレッテルを貼ることで、解決されてしまいがちだ。カウンセラーであり、自らADDである著者は、本書でADD女性が直面する困難に触れながら、ADDを持ちながら充実した人生を送るための意識改革の必要性を説き、同じ悩みを持つ女性たちにエールを送っている。(夢千慕)

(「BOOK」データベースより)
持ちものが片づけられず、部屋が片づけられず、頭の中の考えさえも片づけられず、毎日の生活にひどい苦労をしている女たちがたくさんいる。彼女たちは、雑用の山に圧倒され、すっかり落ちこみ、不安と戦っている。人間関係がうまくいかない人、潜在能力はあるのに、学業や仕事で力が発揮できない人も少なくない。プロのセラピストが、新たな心の病として日本でも注目されているADHD(注意欠陥多動性障害)、ADD(注意欠陥障害)を現代に生きる女性をベースにわかりやすく解説した初の書。

(WAVE出版編集部 小田明美)
整理整頓に負けないで! 読者からの反響がすさまじい。
まるで私のことだった!という驚きと喜びだ。著名な作家さんからも。どうしていつもごちゃこちゃしてしまうのだろう。
決してADD(注意欠陥障害)ではないひとも、そういった悩みは、あなただけではないことが、本書ではわかるだろう。
著者は言っている。
片づけられない女たちは「ピカソの女性像」に似ている。それは、ダヴィンチのモナリザのような、伝統的な女性美とは違っているが、やはり名作であることには変わりない。
ピカソの女性像も、モナリザも、どちらも傑作である。ただ二人の美女はタイプが違うだけなのだ。落ち着いたモナリザと、個性的なピカソの美女。どちらが正しいく、どちらが間違っているわけではない。なのに、もしもピカソの美女が、いつの日かモナリザになることばかりを夢見て生きるなら、一生を無駄にしてしまうだろう。
ピカソの描く女性には、たくさんの顔がある。それでもやはり、一枚の絵、一人の女性、一つのまとまった人格なのだ。数々の矛盾したイメージを統合して、新しい自己像を作り上げてきた皆さんの目には、それがはっきりとわかるだろう。
そうです。 整理整頓で落ち込まず、自分らしく生きる!そんな強さをあなたにもっていただける一冊です。

*ニキ・リンコさんより 200006
 「注意欠陥障害という、微妙な脳機能の障害を扱った本です。前半で主に「私のどこがいけないの?」という未診断の苦しさを扱い、後半で、診断・治療と、新しいアイデンティティの形成、生活の立て直しまでを扱っています。
 なぜ「女たち」に焦点を当てているかというと、この障害は、社会の期待する「女性の役割」と衝突するものだから。注意欠陥障害の主要な症状(?)に、「整理整頓能力の欠如」というものがあり、「本業ができるのに事務・雑用ができない」「仕事はまだしも、家事はなおさらできない」ことになり、同じ障害を持っていても、男性と女性とでは、社会的な制裁の厳しさが違ってくるわけですね。
 また、……「ずっと『普通』になりたかった。」と同様、先天性の軽度障害が診断されないまま成長した人々にとって、人生の中途での診断が「救い」として受け止められることがあるという話が扱われています。」

■目次

はじめに(ニキリンコ)
原書まえがき
ADD早わかり

第一部 生きのびる
 第一章 散らかったクローゼットから
 第二章 女の子とADD
 第三章 「片づけられない少女」が大人になったとき
 第四章 私は誰?何がいけないの?
 第五章 「片づけられない」という障害

第二部 隠す
 第六章 女性の役割とADD
 第七章 足をひっぱるマイナスイメージ
 第八章 二次障害(一)目標達成・感情
 第九章 二次障害(二)人間関係

第三部 開く
 第十章 診断からもれる女たち
 第十一章 診断を受けに行く前に
 第十二章 成功への道
 第十三章 治療

第四部 認める
 第十四章 乱雑さを受け入れる
 第十五章 キャリアと三つのR
 第十六章 生活設計の見直し――家庭で、私生活で
 第十七章 人間関係の見直し
 第十八章 自己イメージの作り直し

■引用

「本書では、「片付けられないという障害」と、社会が女性に期待する「女の役割」との関係を中心に扱っていく。整理整頓能力の欠如という症状が、社会の決めた「女らしさ」の枠にADD女性がはまれなくなっていく大きな原因になっている。そして、社会の決めた理想の女性像に追いつけないために、本来の実力を発揮できなくなったり、鬱状態に陥ったり、人間関係に苦労したりといった二次的な障害につながってしまう」(p.14 「整理整頓」から「つながってしまう。」まで太字)

「ADDの原因はまだ確認されていませんが、今のところ、先天性の中枢神経の代謝障害ではないかと考えられていて、ある種の神経伝達物質(いわゆる脳内物質)の不足により、落ちつきがない、物忘れが激しい、ころころ気が変わる、一つの課題に集中できないなどの症状が現れます。(…)この障害を持った人々は、脳の中の「やりかけた仕事を確実に続ける」「先を読んで手順を考える」「雑多な用事の優先順位をつける」という部分だけが正常に機能しません。(…)そのため、同じ障害でありながら、男性と女性では、社会の風当たりがまったく違うというのが本書の主張です。ADDとは「雑用ができない」障害なので、社会が女性に求める「こまやかな気配り」の部分に影響するからです。」p.6-7[ニキ]

「私にとってADDをかかえたまま豊かな生活を送るということは、〈欠点にばかり囚われるのをやめて、自分の長所や得意分野を中心に考えるようになり、選択肢が広がった〉ということを意味する。また、〈投薬のおかげで、ほぼ一日じゅう意識がかすむことがなくなり、エネルギーレベルも集中も保てるようになった〉ということを意味する。さらに、〈神経が原因の問題と、心の問題とを混同せずにすむようになり、自力で解決できる問題と、共存するしかない問題とを区別できるようになった〉ということ、〈長所も短所も自覚して、どちらも自分の一部として受け入れられるようになった〉ということを意味する。(…)私は学んだ。ADDをかかえたままで実りある人生を送ろうと思ったら、生活を徹底的に見直し、立て直さなくてはならない。恥や罪の意識を克服し、手放さなければならない。治療を受けても、やはりまだ少しだらしなく、忘れっぽい自分を受け入れなくてはならない。そのためには、目標となる〈理想像〉の方も見直す必要がある。何をもって〈自信もあり、実力もある、大人の女性〉とよぶのか?という条件も考え直さなければならない。」p.44-45

「恥ずかしい、後ろめたい、誰にも話せない――これらの要素が重なると、深刻な二次障害につながっていく。ADDの一時的な症状(集中力がない、思いつきに流される、活動レベルが高すぎる、または低すぎる)で冒されるのは、家事や学業、仕事、それに何より、雑用や掃除という分野だが、二次的障害では主に、目標達成、感情、そして人間関係という三つの分野が影響を受ける」p.144
→著者は、ADDによる一次障害が社会生活における二次障害を引き起こすと述べる。著者はADDと診断を正しく受け、自身で了解することによって自己イメージを書き換え、二次障害を克服するよう促す。

■言及

◆香山 リカ 20030728 『「こころの時代」解体新書2』,創出版,228p. ISBN-10:492471853X ISBN-13:978-4924718531 1575 [amazon][kinokuniya] m.

 「生物学的決定論をすんなり受け入れる彼らの傾向を、単純に今の精神科医への不信任票だと考えることはできない。変化はもう少し体局的な次元で起きているようである。最近、出版されて話題になっている本にも同様の傾向が認められる。たとえば、ソルデン・サリというセラピストが書いた『片づけられない女たち』(WAVE出版)。」p.42
 「著者は、こういう“症状”を呈する女性たちの多くは、ADHD(注意欠陥多動性障害)とかADD(注意欠陥障害)と呼ばれる器質性障害を患っている、と主張するのである。一般の人にとっては「AC(アダルト・チルドレン)」も「ADD」も同じように聞こえるかもしれないが、どちらも精神化領域で扱われる問題とはいえ、前者と後者には決定的な違いがある。すなわち、「AC」は育っていくプロセスの中で生じた目に見えない心の問題であり、乗り越えることも解決することも可能だ。(…)雑な言い方をすれば、「いかようにもできる」のだ。ところが、「ADD」や「ADHD」はまったく別。定義や用語もまだ統一されていないが、幼児期から落ち着きがない、ウソをつくことや乱暴を平気でする、情緒的交流がむずかしい、といったさまざまな特徴を持つこれらの疾患は、現在のところ脳の微細な機能障害だとされている。つまり、遺伝性なのか突発性なのかはわからないが、彼らは避けようのない生物学的刻印が押された人たちなのだ。」p.43
「これが本当に仮説通り何らかの“脳の異常”だとしたら、もちろんまわりがヒューマニスティックな理解や同情を示しただけで患者の問題がすべて解決するわけではない。(…)それだけに「この子はADHDですよ」という診断は慎重になされなければならない。(…)それなのに、「片づけられない女性はADHD」と言い切ってしまうこの本のおおらかさには驚かされた。」p.44
 「おそらくここには、「心のケアでどんな人間も癒される」というメッセージに背中を向け、「迷惑な人や反社会的な人は脳がやられているんだ」というメッセージの方により共感を覚え始めている人々のムードが反映されているのだと思う。それを果たして「世の中がより科学的になった」と肯定的にとらえてよいのだろうか。私はむしろ、ここに優生学的な発想につながりかねないような非常に危険な動きの萌芽を感じている」p.45

◆泉 流星 20031206 『地球生まれの異星人――自閉者として、日本に生きる』,花風社,262p. ISBN: 4907725574 1680 [amazon][kinokuniya] ※ a07.

 「この頃、テレビで「片付けられない女性」というのが流行になっていた。ある種の人たちは、考えがまとまらなくてパニックになりやすく、うまく部屋を片付けられないという。理由として考えられるのは、脳のある種の障害だという。テレビに出てくる部屋の持ち主たちはどうもそれとは違うようだったが、精神科医の話と、そこで紹介された、片付けられない脳の障害というのをわかりやすく紹介した『片付けられない女たち』という本のことが、私の興味を引いた。片付けられない、掃除が苦手なのは子どもの頃からの私の大きな弱点で、料理をする時の手際のよさと好対照をなしていたからだ。もしかすると、私も<0230<、それかもしれない。私は早速近所の図書館へ行って、その本を読んでみた。
 それは正確にはADHD(注意欠陥多動性障害)とかADD(注意欠陥障害)といい、私が八十年代にアメリカに留学した頃、ハイパーシクティヴ・キッド、多動児という名前で呼ばれていた障害と同じものだとわかった。当時は、主に子どもの障害で、じっとしていられず常に騒ぎ立てるのが特徴。リタリンという薬に効果があり、大人になると自然に落ち着くものと思われていたのだが、実はそれは注意力と衝動性のコントロールがうまくいかないという脳の神経系の問題で、大人になっても目立たなくなるだけで問題は続くのだということが、最近の研究でわかってきたのだという。
 たしかに、私は多動こそあまり見られないものの、注意力のコントロールや衝動性には大いに問題がある。注意欠陥多動性障害には、私があてはまる項目がたくさんあった。[…]<0231<
 けれど、待てよ、この本の訳者はまえがきで、「自己判断は危険だ」と書いていた。訳者のプロフィールを見ると、この本を原書で読んでADDを疑い、専門家を訪ねたら高機能自閉症=アスペルガー症候群と診断された、と書いてある。そんなに似ているのなら、そっちも調べた方がいいかもしれない。私は、高機能自閉症についても読んでみることにした。[…]<0232<」(泉[2003:230-232])

◆立岩 真也 2004/04/25 「ニキリンコの訳した本たち・1」(医療と社会ブックガイド・37)
 『看護教育』45-04:(医学書院)

◇立岩 真也 2004/06/25 「ニキリンコの訳した本たち・2」(医療と社会ブックガイド・39)
 『看護教育』45-06:(医学書院)

◆立岩 真也 2008- 「身体の現代」,『みすず』2008-7(562)より連載 資料,

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※


作成:山口 真紀
UP:20040826(ファイル分離)REV:20080710, 20140825
Solden, Sari  ◇注意欠陥障害(ADD)  ◇自閉症  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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