『人生のドラマトゥルギー』
■栗原 彬 19941222 『人生のドラマトゥルギー(シリーズ 生きる)』,岩波書店,8+220p. ISBN:4000038214 ISBN-13: 978-4000038218 [amazon] ※
■内容説明(「MARC」データベースより)
長いライフサイクルにおいて人が直面する課題は何か。様々な抑圧から逃れ出ようとするいのちの営みを柔軟な感性で掬い上げ、人を生かす力について根源的に究明。生き方のオルターナティブを構想する新鮮な人生論。
◆目次
はじめに
一 子どものドラマトゥルギー
1 原風景――子ども時代の幻景
2 プログラム化された子どもの行動
3 関係のドラマトゥルギー
4 「動けない」「歩けない」
5 能力主義/管理主義のシナリオ
6 「でもその魂は別です」
二 若者のドラマトゥルギー
1 若者へのアプローチ
2 青年期と社会との出会い
3 青年小説の中のアイデンティティ
4 戦後世代の社会参加
5 構造的なやさしさの方へ
三 おとなのドラマトゥルギー
1 おとなになること
2 五五歳の歩んだ時代
3 市民社会の廃墟から
4 自己決定と共生の方へ
四 老年のドラマトゥルギー
1 デンデラ野の<他者>
2 「老い」の制作と排除
3 「老い」の管理化
4 <老いる>の上演
あとがき
◆メモ
「…人生という現象は、人間の生命と、お仕着せのライフサイクル表を含む社会規範、「…らしさ」、「人並み」、心の習慣、制度などとのやりとりや闘いの軌跡として己れを露わにする、と言える。
人間の生命の振動と制度の振動。人生は、そのどちらかにではなくて、その間にある。生命も制度も不動の実体ではなくて縫い留め点のようなもので、人生はそれに係留するドラマトゥルギーとして現われる。ドラマトゥルギーとは、演劇構成法、上演の方法論のことで、本書では、人々が人生を演じ、かつ演じさせられる「文法」を意味する。」(p5)