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『犯罪の現代史――犯罪白書の分析から 〈増補版〉』

宮野 彬 19940530 三嶺書房,427+xp.


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宮野 彬  19940530 『犯罪の現代史――犯罪白書の分析から 〈増補版〉』,三嶺書房,427+xp. ISBN-10: 4914906503 ISBN-13: 9784882940555 \4500 [amazon][kinokuniya] ※ c0132 c0106 l05
=19861125 〔初版〕宮野 彬『犯罪の現代史――犯罪白書の分析から』,三嶺書房

■内容
本書では、犯罪現象の推移を明治期から現在までの時代の動きと関連させ、犯罪白書を素材として犯罪のありのままの姿を紹介し、治安対策を考える。
また、犯罪者の社会復帰をもう一つのテーマとしてとりあげ、刑務所の生活の実態、保護観察など民間の協力体制、さらに、少年非行の特質と社会復帰についても検討する。

■目次
まえがき

序 章 二つの主題 (3)

第一章 犯罪の動き (7)
 第一節 犯罪の動きの分析 (7)
 第二節 外国の犯罪の動きとの比較 (16)
 第三節 刑法上の犯罪の推移 (22)
 第四節 特別法上の犯罪の推移 (37)
 第五節 古くから注目された犯罪の実態 (48)
 第六節 新しく注目された犯罪の実態 (92)
 第七節 地域の犯罪の特質 (127)
 第八節 外国と関連のある犯罪の取扱い (139)

第二章 犯罪者の社会復帰 (147)
 第一節 社会復帰のための改革 (147)
 第二節 国の基本政策の変遷 (151)
 第三節 刑務所等における収容の状況 (161)
 第四節 受刑者の生活 (166)
 第五節 死刑の確定者等の生活 (181)
 第六節 未決拘禁者の生活 (183)
 第七節 刑務所等からの仮釈放 (184)
 第八節 一般社会における保護観察 (190)
 第九節 保護観察の対象外の犯罪者の救済 (196)
 第一〇節 社会復帰に寄与する恩赦 (198)
 第一一節 社会復帰に対する民間の協力 (199)

第三章 累犯の問題と犯罪の被害者の救済 (211)
 第一節 累犯の問題 (211)
 第二節 犯罪の被害者の救済 (225)

第四章 少年の非行の特質 (231)
 第一節 少年の非行の動き (231)
 第二節 少年の非行の特質と背景 (237)

第五章 非行少年の社会復帰 (247)
 第一節 社会復帰のための制度の変遷 (247)
 第二節 少年院の生活 (255)
 第三節 少年刑務所の生活 (259)
 第四節 非行少年の仮釈放 (260)
 第五節 非行少年に対する保護観察 (262)

終章 むすび (269)

〔追補〕 昭和六〇年から平成三年までの七年間の犯罪の動向と犯罪者の処遇 (273)
 一 犯罪の動向 (273)
 二 矯正 (331)
 三 更生保護 (357)
 四 少年の非行と処遇 (382)
 五 昭和の時代の犯罪の動向と犯罪者の処遇の総括 (424)

■引用
「犯罪は社会現象の一つである。」(宮野 1994:4)

「治安状況をできる限り良好に保つためには、その対策として、犯罪者の社会復帰を万全なものにする必要がある。そこで、まず、犯罪者の改善・矯正をおこなうための訓練の場をどこに定めるべきかが問題になる。従来は、専門的な訓練の場として刑務所等の施設内での処遇に重点が置かれていたが、最近では、日常の生活をつづけながら改善・矯正をめざす社会内処遇へと移行しつつある点を指摘しておきたい。
 それにしても、人間を更生させて犯罪の世界と縁を切るようにさせるのは難しい。一般の社会には誘惑が多い。犯罪者に対しては、どうしても偏見が伴う。生活の場の確保のために一般社会の人々の協力を求めるにあったては大変な苦労がつきまとう。……。
 刑務所の施設は、長くとどまるところではない。施設の雰囲気を一般社会のそれと同じようにすることは無理である。したがって、必然的に別世界になる傾向は避けられない。施設の雰囲気に同化する気持を受刑者に起こさせないようにする必要がある。
 施設内の処遇については、累進制度を抜きにしては考えられない。受刑者の改悛を促し発奮努力される刺激材〔まま〕として、制度は有効に作用するものといえよう。しかし、そのマイナス面には目をつぶるわけにはゆかない。一般に、教育がからんでくる場では優等生の存在が不可欠である。問題は、刑務所等の施設における優等生が一般社会においても優等生でいられるかである。いわゆる監獄太郎や監獄花子でとどまってしまったのでは、施設内での処遇の効果は失われることになろう。」(宮野 1994:5-6 〔 〕内は引用者による)

「……つぎに、犯罪者の社会復帰という第二の主題のまとめ〔第一のまとめ:日本での犯罪の動向〕に移ることにする。ここでは、刑務所内における模範囚が、実社会においても模範的な人間になれるかという問題が、真先につきつけられる。犯罪者の改善と更生を目標にした、同種の人間の集団で構成される、保護を建前の、特殊な刑務所社会と異なり、一般の社会においては、当然に自立が大原則になる。また、犯罪の経験をもつ者に対して常に理解を示してくれる者だけが存在するわけではない。もともと、意志が弱いために犯罪の道に進むことになってしまった経緯を有するところから、現実の社会は極めて厳しいものといえる。」(宮野 1994:271)

■書評・紹介

■言及



*作成:野口 陽平 
UP:20081105 REV:20090724
宮野 彬  ◇犯罪/刑罰 死刑   ◇犯罪/犯罪学   ◇法/法学   ◇身体×世界:関連書籍 1990'  ◇BOOK  
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