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『死とはなにか』

Jankelevitch, Vladimir, 1994, Penser la mort?, Edition Liana Levi
=19950630 原章二訳, 青弓社,152p. ISBN: 478721022X 2000


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Jankelevitch, Vladimir, 1994, Penser la mort?, Edition Liana Levi, =19950630, フランソワーズ・シュワッブ編,原章二訳, 『死とはなにか』,青弓社,152p. ISBN: 478721022X 2000 [amazon] ※ oi=20030118,フランソワーズ・シュワッブ編,原章二訳,『死とはなにか [新装版]』, 青弓社, 152p. ISBN: 4787210343,2520 [amazon][boople] oi

■内容(「MARC」データベースより)[amazon]
あらかじめ経験不能な死。老い・信仰・安楽死・暴力…「死を背負った存在」の永遠のテーマに哲学の光をあて、その逆光のなかに生の意味を浮かびあがらせる対談集。95年刊の新装版。

■目次

編者まえがき
第1章 取り消しえないこと
第2章 死の省察
第3章 安楽死について
第4章 身体・暴力・死
訳者あとがき

■引用

「生命の神聖化の由来はともかくとして、神聖化の政治的仕組みは明瞭です。安楽死の賛成者は進歩的な文化人、そして反対者は頑迷な保守派というわけですが、この両陣営とも、人間の限りなき貴さという観念には参っているのです。そしてこの観念は、結局のところ進歩的なのです。なぜなら、かつての異端審問官はそんなことを思ってもみず、現代の私たちは無条件でそう思っているのですから。私たちはいかなる場合でも、まず第一に守るべきは人間の生命だと思っており、誰もそこに反対できないのです。そして、これが他の諸々のタブーを産み出す原因なのです。人間の生命の値云々というのは、最大の進歩的・人間主義的タブーですよ。」([82])
「私はさっき、延命という思想は進歩的な思想であり、左翼的なものだといいました。つまり、安楽死反対派は容易に人道と進歩の担い手をもって任じることができるのに対し、安楽死賛成派はヒトラーの味方になりかねないということです。現に、その危険は存在します。しかし、これはやはり問題状況をしっかり<0087<見つめて、良識に期待するしかないでしょう。病人の年齢と医療技術の現状を考えて、無益な加療を拒否する医者を、人種改良主義者だ、ヒトラー主義者だといって非難するのは滑稽です。冗談ではありません。
 つまり、すべてに通用するアプリオリな基準はないのです。逆に言えば、あらゆる立場に伴う危険を見ないふりをするわけにはいきません。[…]結局こうしたことがらにおいては、良識、つまり微細なちがいを見分ける感覚、具体的なものに対する鋭敏さが決め手だと思います。それが私たちを導き、九十歳で手の尽くしようのない病人に安楽死を処方する医者と、役に立たないと称して人間を抹殺することに手を貸す冷酷な医者とを弁別させるのです。自ら欺瞞的な態度を取らない限り、ことは良識の、わずかなちがいを見分ける感覚の問題です。」([87-88])

■言及

◆鷲田 清一 20040421 『教養としての「死」を考える』,洋泉社,新書y,222p. ISBN-10: 4896918088 ISBN-13: 978-4896918083 756 [amazon] ※ d01

 「最近、ジャンケレヴィッチの『死とは何か』(青弓社)というインタビューの新装版が出たので、参考になると思って読んでみました。さしたる予断もなく読み始めたのですが、後半になって意外なことが語られていたのでちょっと怖くなってしまいました。安楽死が、あっけないほど簡単に、むしろ肯定的な語り口で述べられていたからです。
 […]
 だから、ヨーロッパのキリスト教圏では生命を操作する技術に厳しく、日本では建て前はいろいろあっても根本はいい加減なものだという思い込みがあったのですが、ジャ<0144<レケレヴィッチを読んで、これはちょっと考え直してみないといけないかなと思いました。私たちはああいう人たちの言葉で自己形成し続けてきたのに、精神とか肉体とか自己といった哲学の基本的なコンテキストについて、とんでもないミスリーディングをしてきたような気がしてしまったのです。ショックを受けて、やや放心状態に陥っているというところです。で、そんなことも念頭に置きながら、死と共同体の問題を基点に考えを進めてみたいと思います。」([144-145])


REV:20071114
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