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『なぜ貧困はなくならないのか――開発経済学入門』

Eswaran, Mukesh & Ashok Kotwal 1994 Why Poverty Persists in India: A Framework for Understanding the Indian Economy, Oxford University Press
=20000719 永谷敬三訳,日本評論社,191p. ASIN: 4535551960 1995

Eswaran, Mukesh & Ashok Kotwal 1994 Why Poverty Persists in India: A Framework for Understanding the Indian Economy, Oxford University Press=20000719 永谷敬三訳,『なぜ貧困はなくならないのか――開発経済学入門』,日本評論社,191p. ASIN: 4535551960 1995 [boople][amazon] ※,

著者:ムケシュ エスワラン,アショク・コトワル

内容(「BOOK」データベースより)
アジア諸国で貧困が消失しつつあるなか、インドではいまだに多くの人々が貧困にあえいでいる。インドが陥った開発の落とし穴とは何か。途上国の貧困層がそこから脱する道筋とはどのようなものか。経済発展の本質を説き明かす。

内容(「MARC」データベースより)
アジア諸国で貧困が消失しつつあるなか、インドではいまだに多くの人々が貧困にあえいでいる。インドが陥った開発の落とし穴とは何か。途上国の貧困層がそこから脱する道筋とはどのようなものか。経済発展の本質を説き明かす。

目次

第1章 序章
第2章 基礎概念
第3章 閉鎖経済の基礎的枠組
第4章 農業における技術進歩の重要性
第5章 工業の進歩が必ずしも貧困を緩和しない理由
第6章 奢侈財部門の経済的帰結
第7章 国際貿易は貧困層を窮乏化させるか
第8章 成長のエンジンとしての貿易
第9章 発展政策と工業生産性の成長
第10章 結論


第10章 結論

 「貧困緩和の鍵は労働を農業から他の収穫逓減法則が働かない生活活動に移転することである。これを実現ずる効果的方法は農業における急速な技術進歩を促進することである。興味深いことであるが、工業における技術進歩が貧困緩和に貢献するのは、経済が国際貿易に関して開かれており、かつインドが工業品輸出国になりうる場合に限られる。国内工業の生産性成長が急速である場合に限り、貿易は貧困緩和の鍵でありうる。貿易に対して門戸を閉じる国粋主義的製作も、先進世界に対する原材料輸出国の地位に永久に甘んじる政策も、貧困層の利益にはならない。規制体制の抜本的自由化と輸出主導型成長を標榜する右翼派の主張は貧困層の立場から見ても、理論社的正当性をもっている。反面、土地改革および基礎教育、灌漑施設等への公共投資の増加を求める左翼派の主張も理論的正当性をもっている。本章で行なわれた分析は、人的努力に対する報酬を増やすことが望ましい理由――右翼のテーマ――を説明する。われわれの分析はまた、レントを増やすことが望ましくない理由――左翼のテーマ――をも説明する。」(p.187)


REV:20061002
平等/不平等/格差  ◇BOOK
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