『友愛のポリティックス 1・2』
Derrida, Jacques 1994 Politiques de l'amitié, Galileé.
=(1)20030210 (2)20030220 鵜飼 哲・大西 雅一郎・松葉 祥一 訳,みすず書房,298p.+298p.
■Derrida, Jacques 1994 Politiques de l'amitié, Galileé. =20030210 鵜飼 哲・大西 雅一郎・松葉 祥一 訳,『友愛のポリティックス 1』,みすず書房,298p. ISBN-10: 4622070235 ISBN-13: 9784622070238 \4410 [amazon]/[kinokuniya] =20030220 鵜飼 哲・大西 雅一郎・松葉 祥一 訳,『友愛のポリティックス 2』,みすず書房,298p. ISBN-10:4622070243 ISBN-13:9784622070245 \4410 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
出版社/著者からの内容紹介
ここ十年間も、デリダは数多くの著書を世に送ってきたが、これは中でも重要な大著。アリストテレスの言葉として伝わる「おおわが友たちよ、一人も友がいない」という、謎めいた呼びかけ、その呼びかけをデリダもまた最初におこなうことで、この書物を開始する。この言葉は、ある巨大な風説の、暗誦され詠唱される再引用として西欧の哲学を夢見ながら横切っていく。モンテーニュからカントへ、ニーチェから、バタイユの友であるブランショへ。
ギリシャ語で友愛を意味するフィリアは「知への愛」としてのフィロソフィアの成立に直接にかかわる。デリダは、プラトン、アリストテレス、キケロにおける友愛を徹底的に検討したあと、こんどはニーチェによる転倒「おおわが敵たちよ、一人も敵がいない」に向かう。敵と友が絶えず反転する狂気と不可分であること、『善悪の彼岸』における「おそらく」という副詞に託された潜勢性の新たな思考。 そしてカール・シュミット。極右と極左にともに影響を与えたシュミットの思考。公敵と私敵、戦争と内戦などのシュミット的二分法が、プラトンと対比される。『政治的なものの概念』における諸概念の抗争的使用、敵の「実在的可能性」、戦闘の「偶発性」などを問い詰めていくデリダの強靭な読み方、その思考の精度と密度は、読んでいて息詰まるほどである。あえて今日の世界状況に具体的に触れないでいるこのテキストが、どれほどラディカルにそれを考えるための鍛錬になることだろう。驚くほどに。
本論十章に加えて第2巻に収められた「ハイデッガーの耳」は、「あらゆる現存在が自己の傍らに担い持つ友の声を聞く」という『存在と時間』の一節を出発点に、ハイデッガーによるフィリア解釈の検討であり、本論と深くかかわっている。
この本を読み進む人は、デリダのセミネールの力と速度を感じ取るだろう。これだけのまとまったデリダの著作が翻訳刊行されるのは久しぶりのことでもある。
内容(「BOOK」データベースより)
歴史を兄弟化の過程とみなす思想と、そこから排除される女性たち。戦争と平和の変質をめぐる言説。カントの徳論の読解。付論の「ハイデッガーの耳」は『存在と時間』中の一文を出発点に、そのフィリア解釈を検討する。デリダの主著。
内容(「MARC」データベースより)
「おお、わが友たちよ、ひとりも友がいない。」 アリストテレスの言葉に発して、西欧思想を貫く友と敵のテーマを鮮やかに論じる待望の新著。戦争、内戦、来るべき民主主義に及ぶ。
■著者
- ジャック・デリダ (Jacques Derrida)
- 1930年アルジェに生まれる。フランスの哲学者・思想家。現在、社会科学高等研究院教授.『グラマトロジーについて』(1967)『エクリチュールと差異』(1967)『絵画における真理』(1978)など、つねに時代に刺激を与えつづけているデリダは、1990年代にも『他の岬』(1991)をはじめ続々と問題作を発表している。Du droit a la philosophie (Galilee, 1990) Jacques Derrida (Seuil, 1991) La Fausse Monnaie(Donner le Temps I) (Galilee, 1991)は小社より刊行予定。最新著作にVoyous (Galilee, 2003)。
- 鵜飼 哲(うかい・さとし)
- 1955年東京に生まれる。京都大学大学院文学研究科卒業。フランス文学・思想専攻。現在、一橋大学大学院言語社会研究科教授。著書『抵抗への招待』(みすず書房、1997)『償いのアルケオロジー』(河出書房新社、1997)ほか。訳書 ジュネ『恋する虜』(共訳、人文書院、1994)『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』(編訳、現代企画室、1999)デリダ『他の岬』(共訳、みすず書房、1993)『盲者の記憶』(同、1998)ほか。
- 大西 雅一郎(おおにし・まさいちろう)
- 1955年大阪府に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科仏語仏文学博士課程中退。パリ第一大学留学。フランス文学・現代思想専攻。現在、成蹊大学教授。訳書 コフマン『窒息した言葉』(未知谷、1995)ナンシー他『共同‐体』(松籟社、1996)ナンシー『哲学の忘却』(同、2000)『神的な様々の場』(同、2001)ルナン他『国民とは何か』(共訳、インスクリプト、1997)ほか。
- 松葉祥一(まつば・しょういち)
- 1955年大阪に生まれる。同志社大学大学院文学部哲学・倫理学専攻博士課程単位取得退学、パリ第八大学大学院文学部哲学科博士課程単位取得退学、現在神戸市看護大学教授。著書『哲学者たちは授業中』(共著、ナカニシヤ書店、1997)、Immersing in the Concrete (Co-editor, Kluwer Academic Publishers, 1998)、『普遍性か差異か』(共著、藤原書店、2001)ほか。訳書 デリダ他『現象学のデフォルマシオン』(共訳、現代企画室、1988)ナンシー編『主体の後に誰が来るのか?』(共訳、現代企画室、1996)ベン・ジェルーン『娘に語る人種差別』(青土社、1998)バリバール『市民権の哲学』(同、2000)ほか。
■目次
第1巻 目次
訳者はしがき
友愛のポリティックス
前書き
第一章 寡頭制――名づけること、枚挙すること、数え上げること
第二章 友愛によって愛すること――おそらく 名詞と副詞
第三章 この狂った「真実」――友愛という正しい名
第四章 再来する亡友(「民主制」の名において)
第五章 絶対的敵対について――哲学の原因にして政治的なものの幽霊
第六章 誓約、共謀、兄弟になること、あるいは「武装せる」問い
第七章 私に連れ添う者
第2巻 目次
友愛のポリティックス(続)
第八章 折り返し
第九章 「人間の言葉では、兄弟愛……」
第十章 「人類の歴史において初めて」
ハイデッガーの耳 フィロポレモジー(ゲシュレヒトIV)
第一章 声の射程。友愛の修辞学
第二章 持つこと、あること、他者――耳を傾けること、持っていないものを与えること
第三章 「何者かたち」(天国と地獄の結婚)
第四章 トートロジー、モノロジー、オトロジー。ハイデッガーの犠牲
引用参照文献
訳者あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:角田 あさな