HOME > BOOK

『考える皮膚』

港 千尋 19930813 青土社,294p.


このHP経由でamazonで購入していただけたら感謝。
(購入額の約3%が、下の[amazon]からなら5%が、寄付されます。)

■港 千尋 19930813 『考える皮膚』,青土社,294p. ISBN4791752627 2400 [amazon] ※ st

■内容
(「BOOK」データベースより)
棘の芸術、タトゥー・ブーム、皮膚の色の政治化、ヴァーチャル・リアリティ、都市の触覚地図。視覚の覇権がいたるところで崩壊の兆しをみせ始めた。いま世界は皮膚感覚へと向かう。エスニック芸術から最先端テクノロジーに至るまで、あらゆる領域を渉猟してさぐる、新たな文化の胎動。

(「MARC」データベースより)
棘の芸術、タトゥー・ブーム、皮膚の色の政治化、ヴァーチャル・リアリティなど、エスニック芸術から最先端テクノロジーに至るまであらゆる領域を渉猟してさぐる、視覚から皮膚感覚への新たな文化の胎動を探る文化論。

■目次

現実の棘
痛みのイコノグラフィー
色素政治学
ポストヒューマン
触ることと語ること
夢の皮膚
盲目論1
盲目論2

■引用・紹介
「消えつつあるあるの手はのほうなのか、それとも現実のほうのだろうか。皮膚は不感症にかかっているのか、それとも過敏症なのか。一体われわれの触覚に何が起きているのか。とりあえず「なにもできない」かどうかの判断は、保留することにしよう。まず世界に触れて現実を感じる。その感じ方から始めたい。」(p10)

「身体の<周縁>を構成する皮膚は、人間の本質には関わらない。皮膚は人間の表面であり、その本質はその奥深いところに隠されている。皮膚は非本質的である。これから考える触覚文化とはこのモデルを逆転するものだ。そこでは皮膚は単なる袋でも、また中枢に仕える末端でもない。皮膚と脳は階層的な関係ではなく、トポロジックな関係としてとらえられる。皮膚は従属的ではない。皮膚を脳の広がりとして、脳を折りたたまれた皮膚として考えてみなければならない。本質は皮膚にある。」(P17)

「流動する関係のなかに手がかりをつかむため、ある関係の連鎖が彫刻機械によって入墨というというコードに変換され、皮膚に記録される。そのとき痛みは生きる時間のなかでの、ある結節点を形成する。痛みは数日して消えるが、結節点は残る。砂糖菓子のかけらから壮大な記憶の伽藍が呼び起こされるように、当人の身体でしか理解することのできない言語なのではないだろうか。」(p47)

「皮膚の色の多様性はすなわち、人間という種が何の因果からこの地球上に生まれ、太陽系のシステムの中で奇跡的に生き長らえてきたことを示している。同時に、それは人間の移動能力、より正確にいえば歩行による拡散能力と、新しい地理的環境への適応能力の最大の証でもある。したがって、その多様性は、もうひとつの多様性である言語とともに、人類最大の財産以外のなにものでもない。色素政治学とは、自己破産の思想にほかならない。」(p96)

*作成:近藤 宏 
UP: 20080609

BOOK身体×世界:関連書籍  ◇身体  ◇盲ろう(者)
 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)