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『魔法の手の子どもたち――「先天異常」を生きる』

野辺 明子 199303 太郎次郎社,252p.


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野辺 明子 199303 『魔法の手の子どもたち――「先天異常」を生きる』,太郎次郎社,252p. ISBN-10: 4811805526 ISBN-13: 978-4811805528 2100 [amazon]  b e01


■出版社/著者からの内容紹介
絵本「さっちゃんのまほうのて」の著者が、その後の魔法の手の子どもたちの姿を描く。親たちや家族に何が起こり、子どもたちはどのように成長していったか。この冷たい効率社会に生きる人たちを絶望からよびさまし、人びとの心にやさしさをとりもどす。

■内容(「BOOK」データベースより)
たくさんの『まほうのてのさっちゃん』の家族と生き方を描く。


■目次
プロローグ 電話の向こうの人生 「障害」を心に閉じこめて
1 麻衣子の誕生から思春期まで
2 魔法の手の子どもたち
3 「障害児」は生みたくない
エピローグ いのちを商品化する医療技術
あとがき 子ども受難の時代の子育てを求めて


■言及
◆立岩真也, 19970905, 《私的所有論》
(p405)
 けれども、これだけに尽きない。死がもたらされ苦痛がもたらされることがある。そしてその死や苦痛は、大抵の人にとってマイナスであることがある。(「近代」が死に対して否定的な価値を与えたというような主張もあることはある。当たっている部分があることを認める。しかし私はそれを受け入れることができない。)病であるとは何か。簡単にしよう。病とは苦痛であり、死をもたらすものである。そしてその苦痛は、他者の価値を介することのない苦痛である。それは、まずはその人にだけ現れるものである。様式の違い、及び(自身に委ねられる場合の)不都合さとして現象する「障害」と、苦痛を与え死を到来させるものとしての「病」とは異なる。もちろん、両者が同時にその人に入りこんでいる場合はあるだろう。しかし、両者の違いは曖昧で、境界は定められず、両者を区別する意味はないとまで言うのだったらそれは違う。私達は区別することができるし、区別している。(*21)
(pp438-439)
 (*21)「原発や放射能の恐さについて、『女たちの反原発』では「生態系のバランスがくずれること」と抽象的なことを書いたが、最近の私は「自分の健康がそこなわれること」と考えている。/そういうとすぐに「ほら、やっぱり障害者でない方が、いいんじゃないの」という声が聞こえてきそうだ。/しかし、「障害」と「健康」は、はたして対立する概念なのだろうか。」(堤愛子[1989:34-35]、なお本に収録されているのは堤[1988]、生命倫理研究会のシンポジウムでの発言(生命倫理研究会生殖技術研究チーム[1992])も参照のこと)古川清治[1988]が近いことを述べている。原発に反対するのは、それが障害児を産み出すからではなく、命を奪うことがあるからだと言う。先天性の障害の原因究明を求めると同時に(正確にはこの主張の少し後から)障害があって生きるあり方を探っていった「先天性四肢障害児父母の会」の活動の軌跡が注目される(先天性四肢障害児父母の会編[1982a][1982b]、野辺明子[1982][1989a][1989b][1993]、等)。

野辺 明子  1982 『どうして指がないの?』,技術と人間 <439>
─────  1989a 「インタヴュー・障害ってなに?」,グループ・女の権利と性[1989:12-131] <439>
─────  1989b 「インタヴュー・いのちの選別」,グループ・女の権利と性[1989:132-134] <439>
─────  1993 『魔法の手の子どもたち──「先天異常」を生きる』,太郎次郎社,252p. <439>


◆e-AT利用促進協会 監修, 20031120, 《詳解 福祉情報技術T 障害とテクノロジー編》角川書店.
(pp21-22)
 (2) 否認期
 自分の障害を、「誤診に違いない」、「障害であるはずがない」といったように認めようとしない時期にあたります。ショックを和らげる意味で重要な時期であるともいえますが、訓練などには積極的でなく、あまりこの時期が長く続くとリハビリテーションにも影響がでてきます。一般的には、様々な情報が入ってきたり、隣に寝ている自分と同じ病気の儲さんの症状が変化しないことなどから、次第に障害を否認しきれなくなっていきます。人によってすぐに状況を理解する人もいれば、以下の例のように長期間にわたって障害を認められない人もいます。

 「先生、私のこの両手の障害は生まれつきのものではないでしょうか」
 医師はややあってから「自分は専門ではないから断定的なことは言えないが、赤ちゃんのときのケガなどではなく、これは先天性のものだろうと思う」と答えたという。
 自分でも先天性ではないかとなかば確信し、ある種の覚悟を決めて医師に尋ねてはみたものの、やはり先天性であるということをはっきり告げられると、ショックでかなり動揺してしまったという。
 「28歳にもなって、自分で自分を認めようとしない、認められない、そんな生き方をしてきてしまったのです。ほんとうの私をいつもごまかして、否定して……」
 彼女は本当に辛そうに、電話の向こうですすり泣いている。
(野辺明子著「魔法の手の子どもたち」(太郎次郎社)より)


*作成:植村要 追加者:
UP: 20080514 REV:20081104
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