『安楽死と尊厳死―医療の中の生と死』
保阪 正康 19930320 講談社,199p. 735
■保阪 正康 19930320 『安楽死と尊厳死―医療の中の生と死』,講談社,199p. ISBN:4061491415 ISBN-13: 978-4061491410 735 [amazon] b et ms
■内容(「BOOK」データベースより)
人は死を選択する権利を持ちうるのか。終末期医療と「尊厳ある死」のはざまで死の受容を考える。
著者紹介
1939年、北海道に生まれる。1963年、同志社大学文学部社会学科卒業。出版社勤務を経て、現在、ドキュメントやルポルタージュ執筆で活躍中。著書に、『大学医学部』――講談社文庫、『医学・医療界の内幕』――朝日文庫、『東條英機と天皇の時代』(上・下)――文春文庫――などがある。
■目次
第1章 安楽死とはどのような死か
安楽死はどのように論じられてきたか
問われる安楽死の内容と方向
第2章 尊厳死についての考察
尊厳死理解が普及するまで
「生命の倫理」をめぐる問題
第3章 生命の尊厳と医療現場、そしてこの社会
日本人の死生観をどう見るか
現行医療制度のもとでどう受けとめるべきか
脳死・臓器移植との危険な関連性
第4章 高齢化社会と死生観
老人をとりまく社会環境
次代に継承すべき倫理の確立
おわりに
■引用
「カレン事件のように、人工延命装置が補助手段から目的化した場合、それは『生』だけがつづき、人格はないと判断される。
この『生』を許容するか否か、人工延命装置を外すか否かの分かれ目になる。
父親と担当医は対立し、法廷にまでもちこまれたわけだ。
アメリカでは、これを明確にするためにとにかく法廷で決着をつける。
だが多くの日本の医師が指摘するのだが、日本ではこういう対立が起こらないようにと断言する。
つまり家族は、このようなとき、植物人間となった患者の人格や人権を考えるより、まずはその状態を素直に受けいれる。
そういう人工延命装置による生命を根本から問うことはないというし、医師もそれに応じた姿勢でいる。」(86-87p)