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『虚構の「近代」――科学人類学は警告する』

ブルーノ・ラトゥール 〔Latour,Bruno〕 1993 We have never been modern,Harvard University Press,
=20080805 川村 久美子 訳 ,新評論,324p

last update:20120322

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■ブルーノ・ラトゥール 〔Latour,Bruno〕 1993 We have never been modern,Harvard University Press,
=20080805 川村 久美子 訳 ,『虚構の「近代」――科学人類学は警告する』新評論,324p ISBN-10:4794807597 ISBN-13:978-4794807595 JPY 3200+tax [amazon][kinokuniya] ※

■目次

凡例
英語版への謝辞

第1章 危機
1 ハイブリッドの増殖
2 ゴルディアスの結び目を再び結ぶ
3 近代論に訪れた危機
4 一九八九年――いくつもの奇跡が押し寄せた年
5 近代であるとはいかなることか

第2章 憲法
1 近代の「憲法」
2 ボイルと対象としてのモノ
3 ホッブズと人民
4 実験室を架け橋に
5 非人間による証言
6 実験室とリヴァイアサンという二重の人工物
7 科学における代理制と政治的代理制
8 近代憲法における保証
9 第四の保証――なかば抹消された神
10 近代論の威力
11 近代人の無敵ぶり
12 「憲法」は何を明らかにし何を隠蔽するのか
13 弾劾の終焉
14 かつて私たちが近代人であったことは一度もない

第3章 革命
1 自らの成功の犠牲になった近代人
2 準モノとは何か
3 拡大する亀裂の上に引き伸ばされた哲学
4 両端の解消
5 記号論的展開
6 誰が《存在》を忘れたのか
7 過去の始まり
8 奇跡の革命
9 「過ぎ行く過去」の終焉
10 優先順位と多重の時間
11 コペルニクス的反転回
12 仲介から媒介へ
13 告発と因果関係
14 多様な存在論
15 近代の四つの作用を繋ぐ

第4章 相対主義
1 アシメトリーをいかに解消するか
2 拡大シメトリーの原則
3 二つの分水嶺を伴う輸出入システム
4 熱帯から人類学が戻る
5 文化など存在しない
6 大いなる相違
7 アルキメデスのクーデタ
8 絶対的相対主義と相対的相対主義
9 世界の脱魔術化に関する些細な間違い
10 長大なネットワークもすべての結節でローカルであり続ける
11 リヴァイアサンはネットワークのもつれ
12 周縁への偏狭な嗜好
13 古い扉に新たな罪を重ねないために
14 いたるところに見つかる超越性

第5章 配分のやり直し
1 実現不可能な近代化
2 最後の吟味
3 再配分される人本主義
4 非近代的な「憲法」
5 モノの議会

参考文献一覧
訳者解題 普遍主義がもたらす危機
総索引

■引用


■書評・紹介

新評論ブログ » 『虚構の「近代」−科学人類学は警告する』
http://www.shinhyoron.co.jp/blog/48.html
近代人の自己認識の虚構性とは。先鋭的分析に基づく危機の処方箋。

 本著は異彩を放つ近代論であり、近代社会に対する警告の著である。科学的事実と、社会や人間についての議論を混合してはならないというのが「近代の常識」とされている。《科学とは真実を発見する作業だから社会から離れて行わなければならないし、社会は個々人の意思を集合させることで作られるからモノの世界から自由なはずである。私たちはこの二つを混合する不分明な時代から進化してきた》。これが近代人に特徴的な自己認識である。著者はこれを近代人の誤った自己認識であると断言する。近代人の自己認識と実践は乖離している。近代人が実際に行っているのは、むしろ自然と社会を結びつけてハイブリッドを生み出すこと、そしてその後でそれを純化し、存在論的に異なる二つの領域に分類整理することである。もし自然と社会を分断するような実践が近代人の特徴だというのなら、それは虚構であり、地上にはそのような近代人など一人もいないことになる。ではなぜ近代人は、実際の行動とは裏腹の誤った自己認識を持ち続けているのか。それは、科学の命題を「真実を発見する作業」として立てておけば科学の自律的発展を当然視でき、科学技術開発というものを社会のくびきから解き放つことができるからである。それがハイブリッドの異常増殖の原因である。となれば現代の危機を脱するにはどうすればよいか。それは「近代」というものが実は自然と社会を混合することで成り立ってきたという事実を認識し、現代の危機の根源となっているハイブリッドの異常増殖を少しでも抑制していくことである。こうして著者は危機の処方箋を描くのであるが、この十分に説得的な著者の近代分析は目が覚めんばかりに先鋭的である。

■言及



*作成:渡辺 克典
UP: 20120322 
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