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『盗まれた手の事件――肉体の法制史』

Baud, Jean-Pieree 1993 L'affaire de la main volee: Une histoire juridique du corps, Editions du Seuil
=2000407 野上 博義 訳,法政大学出版局,りぶらりあ選書,298+54p. ISBN:4-588-02223-7 3780


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■Baud, Jean-Pieree 1993 L'affaire de la main volee: Une histoire juridique du corps, Editions du Seuil=2000407 野上 博義 訳,『盗まれた手の事件――肉体の法制史』,法政大学出版局,りぶらりあ選書,298+54p. ISBN:4-588-02223-7 3780 [amazon][boople][bk1] ※

□内容説明[bk1]
体から離れた部分はいったい何なのか、そして誰のものなのか。切断された他人の手を奪うというフィクションを考えるなかで、この観念の歴史的歩みを明らかにし、肉体をめぐる新しい法論理の道を追究する。
□著者紹介[bk1]
〈ボー〉1943年仏サヴォワ地方生まれ。パリ第10大学で法学博士号を取得。72年法学アグレガシオン(教授資格)に合格。ストラスブール大学教授等を経て、現在、パリ第10大学教授。

1 判決―フィクション
2 体、この厄介なもの
3 終末…まえもって
4 ローマ的シヴィリテが法の非肉体化を求めるということ
5 人格、その演出家による創造物
6 体、有形な物―見いだせない明白な事実について
7 狂気とグロテスクに関する逸話
8 ゲルマン人には角が生えているのか
9 肉体の教会法的定義―権利の対象
10 肉体の教会法的定義―手当ての対象
11 公衆衛生の起源にさかのぼって
12 労働者の肉体という新しい法的事実
13 暴力がシヴィリテを脅かすところ
14 ある日、血が
15 血の事業
16 人間にとっての肉体、そして別の「物」


1 判決―フィクション
 「自分の肉体に対する所有権を個人に認めることが、肉体的侵害に対するもっとも有効な保護であると考えられるようになるのは、肉体の一部が切り離されたとしてもふたたび接合されることが可能になり、接合される機会を奪われた手という事件がもはや科学的フィクションの世界ではなく、ただ判例的フィクションの世界の出来事にすぎなくなって以降のことである。」(8)

2 体、この厄介なもの
 ジョン・ムーア事件
 「1988年7月31日、「ジョン・ムーア事件」で出されたカリフォルニア控訴院判決[…]は、判決−フィクションという私たちの練習問題が現実の世界にきわめて近いことを示している。この場合には、残忍な憎悪という動機を三〇億ドルの魅力に代えるだけでよかった。
 白血病が、患者の体内に世界に類のない細胞を作りだしたことに気がついた医者がいたとしよう。それを取りだし、保存し、増殖させることかできるということを、彼らは知った。そして、それからつくられる製品がきわめて高く売れるということも。七年もの間、行なわれたことがこれであり、このことは、ジョン・ムーアが真実を知り、自分の細胞の返還要求を起こすまで、彼には何も告げられなかった。カリフォルニア控訴院は、人間には自分の肉体から作りだされたものに対して完全な所有権があるという原理を認め、彼を勝訴させた。」(p.20)

3 終末…まえもって
4 ローマ的シヴィリテが法の非肉体化を求めるということ
5 人格、その演出家による創造物
6 体、有形な物―見いだせない明白な事実について
7 狂気とグロテスクに関する逸話
8 ゲルマン人には角が生えているのか
9 肉体の教会法的定義―権利の対象
 「肉体は市民法から排除された。しかし、非規範的な管理に移されたのではなかった。肉体はノーマ的シヴィリテの外部で、宗教と医学の二重の規律に服した。」(129)
10 肉体の教会法的定義―手当ての対象
11 公衆衛生の起源にさかのぼって
12 労働者の肉体という新しい法的事実
13 暴力がシヴィリテを脅かすところ
14 ある日、血が
15 血の事業
16 人間にとっての肉体、そして別の「物」

 「1990年7月9日にカリフォルニア最高裁判所でひとつの判決が下された。控訴院の判決をつくがえし、例の細胞の所有権を認めるように求めた、ジョン・ムーアと彼の相続人の訴えを却下する判決であった。判決文にはこうある。

 人間の尊厳の名において、ジョン・ムーアは自分の肉体の所有者ではない。
 人間の尊厳の名において、ジョン・ムーアの(生きている)肉体から採取された細胞は、その商品的価値を生みだした者の財産である。
 人間の尊厳の名にといて、この細胞に関する特許を登録し、その商品開発を行なうことは許される。

 要するに奴隷制度も肉体の商品開発も正当化する人間の尊厳というアイディアの前では、「盗まれた手」という私たちのフィクションなど、まさに平凡なものに思えてくる。」 (p.279)

UP:20040907
遺伝子/ヒト細胞・組織/ES細胞/クローン…  ◇BOOK
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