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『90年代の医療と診療報酬』

二木 立 19921015 勁草書房,251p. ASIN: 4326798815 2415


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■二木 立 19921015 『90年代の医療と診療報酬』,勁草書房,251p. ASIN: 4326798815 2415 [amazon][kinokuniya][boople] ※, me


内容(「BOOK」データベースより)
1992年4月の診療報酬改定の検証を通して、医療費抑制1辺倒の厚生行政の限界を明らかにする。更に、著者独自の全国調査による老人病院等の保険外負担と私的病院チェーンの実態は、官庁医療統計の虚構(過小推計)を如実に示し、多くの論議を呼ぶであろう。

内容(「MARC」データベースより)
1992年4月の診療報酬改定の検証を通して、医療費抑制一辺倒の厚生行政の限界を明らかにする。また、著者独自の全国調査による老人病院等の保険外負担と私的病院チェーンの実態は、官庁医療統計の虚構を如実に示している。

目次
I 1992年4月診療報酬改定の検証
 1 厚生省の「賭け」は成功するか?
 2 看護料大幅アップの明暗
II 90年代の医療と診療報酬を考える
 3 90年代診療報酬と病院経営を考える
 4 80年代の医療経営分析の視角
 5 90年代の在宅ケアを考える――何が変わるか、何を変えるべきか
 6 医療ソーシャルワーカー資格制度化問題の混迷
III 官庁医療統計の盲点
 7 老人病院等の保険外負担の全国調査
 8 私的病院チェーンの最近の動向


II 90年代の医療と診療報酬を考える
 5 90年代の在宅ケアを考える――何が変わるか、何を変えるべきか
  はじめに――「在宅医療」でなく「在宅ケア」
  一 九〇年代の「在宅ケア」の普及の予測
  二 在宅ケアへの一般営利企業の参入の予測と評価
  三 在宅ケアの医療費節減効果をめぐる論争の決算
  四 九〇年代の在宅ケアの理念
  五 開業医・医療機関に期待される役割
  おわりに――在宅ケアは「開業医療の復権」をもたらすか?

  四 九〇年代の在宅ケアの理念

  家族介護依存の枠内でも改革すべき二点
  家族介護の積極的意味の再評価
  単なる延命医療の再検討 142-144 *以下、この項目全文引用
 「第二は、在宅障害老人地対する単なる「延命」のための医療の再検討である。
 わが国は世界に冠たる「延命医療」の国であるから、在宅の寝たきり老人の状態が悪化した場合には、病院のICU(集中治療室)に入れられることも少なくない。このことの「再検討」とか「制<0142<限」などというと、「医療費の抑制」とか「患者の人権無視」といった非難をたちどころに浴びせられる可能性がある。
 しかし、ここで考えなければらならないことは、多くの医療・福祉関係者が理想化している北欧諸国や西欧諸国の在宅ケアや施設ケアでは、原則として延命医療は行われていないことである。
 この点に関しては、有名な老人病院である青梅慶友病院院長の大塚宣夫先生の著書『老後・昨日、今日・明日』(主婦の友社、一九九〇)がもっとも参考になる。同書によると、大塚先生はヨーロッパ諸国を訪ねて「次の二点の真偽」を確かめたかったそうである。「第一は、ヨーロッパの老人施設にはわが国でいういわゆる『寝たきり老人』が極めて少ないこと、第二は、ヨーロッパの国々では高齢者に延命のための医療行為がほとんどなされていないということ」(一一四頁)。そして結論は、二つともその通りであったとのことである。
 あるいは、ドイツの老人ホームを実地調査した『ドイツ人の老後』(坂井洲二著、法政大学出版会、一九九一)によると、ドイツでは人々がホームに入る時期を遅らせ、死期が近づいた状態になってはじめて入る人が増えてきたため、「三〇〇人収容の老人ホームで一年間に三〇〇人も亡くなった」例さえあるという(一〇八頁)。わが国でこんなホームがあったら、たちどころに「悪徳ホーム」と批判されるであろう。
 わが国では、ヨーロッパ諸国の在国ケアや施設ケアという、なぜか「寝かせきり」老人がいない<0144<ことに象徴されるケアの水準の高さのみが強調される。しかし、単なる延命のための医療を行っていないという選択もきちんと理解すべきである。
 誤解のないようにうと、私は障害老人に対する単なる延命のための医療を一律禁止すべきだ、といっているのではない。しかし、事実として、延命治療よりもそれ以前のケアを優先・選択する「価値観」「文化」を持っている国があることを見落とすべきではない。
 そして、わが国でも、今後は同じような「選択」が必要になるであろう。デンマークの福祉に詳しい有名な有料老人ホーム経営者は、「わが国で、一方ではデンマークやスウェーデン並みのケア、他方で効果の非常に疑問な末期の延命医療を無制限に行うとなると、どんな立場の政府でも、その財政負担に耐えられない」といわれている。」(二木[1992:142-144])
 →『「福祉のターミナルケア」に関する調査研究事業報告書』(1997)〜

■言及

◆立岩 真也 2008 『…』,筑摩書房 文献表


UP:20061201 REV:
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