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『農政・税制・書生――私の履歴書』

小倉 武一 19920702 日本経済新聞社,206p.


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小倉 武一 19920702 『農政・税制・書生――私の履歴書』,日本経済新聞社,206p. ISBN-10: 453216060X ISBN-13: 978-4532160609 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
 *おぐら・たけかず

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内容(「BOOK」データベースより)
農地改革(昭和21年)から消費税導入決定(昭和63年)まで、戦後史の大きな変わり目を、その舞台裏で支えた男の率直な自叙伝。

内容(「MARC」データベースより)
昭和21年の農地改革から消費税導入決定まで、戦後史の大きな変わり目をその舞台裏で支えた著者の率直な自叙伝。

■目次

第1部 私の履歴書
 書斎人
 武生中学
 ハノイ駐在
 第一次農地改革
 レッドパージ
 農業総研
 農業基本法
 税調会長
 林芙美子さんと福岡孝成君について
 ほか
第2部 老書生論
 新しい視点を求めて
 同時代の人々
 米〈美〉国とのパートナーシップ
 農業の立直しのために
 こうして米の値段を半額にする

■引用

 「税調会長の仕事というのは、それほど多忙なわけではない。普通なら年に数回、晩秋の総会がある時に顔を出すだけで、そこに二時間ほど座っているだけでいい。発言を求める委員の名前を呼び上げるのが仕事の大半である。陳情客が訪れることもあったが、皆さん紳士的だった。」(小倉[1992:88])

 「税調会長の十六年間は、ほとんどが大型間接税の導入論議にかかりきりだった。二転三転の末、結局は平成元年四月の消費税導入となるのだが、私の個人的な意見としては、最初から大型間接税の導入には気乗りがしなかった。
 昭和三十年代から四十年代前半にかけて私が最初に税調会長をしていた時代の税調は、大型間接税に否定的であった。低所得者層ほど税負担比率が高い(逆進性)、税務の執行が困難、企業の垂直統合を促す、物価上昇を招く、などの理由を挙げ、間接税は個別間接税の望ましいとしていたはずである。それなのに私が会長として復帰してきた時には、大型間接税の是認論が優勢になってきた。この変化はどうして起きたのか。税負担の逆進性問題が解消さされたというなら理解できるが、そうでないのなら変節である。
 だが次第に所得の階層別配分格差が縮小してきた。それに財政事情が大型間接税なしではやっていけなくなったのである。」(小倉[1992:90])

 「十六年間の税調会長も最後の五年間ほどになると、例えば、税制改正で自民党税制調査会の主導権が目に見えて強まってきたことにも、こだわりが薄らいできた。私は税調会長の独自性には気を使い、山中貞則氏ら自民税調の首脳とは会わないようにしてきたほどだった。」(小倉[1992:93])

 「なお、税調の委員ではなかったが、大阪大学社会経済研究所の八田達夫教授のことにふれて感謝の意を表したいと思う。それは同教授の「新型間接税は本当に必要か」と題する論文のコピーを送っていただいたことである。その論文はいきとどいた新型間接税導入の反対論であった。」(小倉[1992:96])

■言及

◆立岩 真也 2008-2009 「税制について」,『現代思想』 資料

◆立岩 真也 編 2009 『(題名未定)』,青土社


UP:20090424 REV:20090614
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