第2章 公平性についての政策選択
1 何が公平か
2 公平性の実現
オレゴン州の試み (池上[1992:49-52])
「明確な資源制約の下に医師に最大の裁量権を与えているのがイギリスの国営医療であり、イギリスではプライマリ・ケアのレベルの開業医が患者が病院を選択できるかどうかを決めており、さらに病院レベルの専門医には予算制約を設けている。たとえば50歳以上で腎不全になった患者には通常透析治療を開始していない(但し、これは新規に開始する場合であり、50歳以前から腎透析を行っている患者についてはもちろん透析を継続している)。このような配給基準はどこにも銘記されておらず、あくまでも50歳以上に開始した場合には予後が悪いという医師の「医学的判断」による裁量権が前面に立っており、医師を守るために医療訴訟やインフォームド・コンセントのあり方について一定の制限を設けている(Aaron & Schwartz, 1984)。」(池上[1992:51])
Aaron, H. J. & Schwartz, W. B. 1984 The Political Prescription: Rationing Hospital Care, Wahshington, D. C.: Brookings Institution
3 日本の場合