『現代思想としての環境問題――脳と遺伝子の共生』(中公新書1075)
佐倉 統 19920525 中央公論社,187p.
■佐倉 統 19920525 『現代思想としての環境問題――脳と遺伝子の共生』(中公新書1075),中央公論社, 187p. \693 ISBN-10: 4121010752 ISBN-13: 978-4121010759 [amazon]/[kinokuniya]
■内容(「BOOK」データベースより)
環境問題はいまや世界的関心事であり、政治・経済・文化(倫理)、科学等の次元から論じられるが、〈自然対人間〉という二項対立を越える議論は数少ない。本書は「環境と人間は生物の進化の織りなすDNAメタ・ネットワークとして一体化する」という立場から、環境問題とは情報の肥大化した文化によって人間が危機に立っていることを意味するとして、コンピュータに希望を見る。生命をめぐる現代思想を軽快に駆け抜けて展開する論考。
■目次
まえがき
第一章 見取図 1
1 現状 2
2 思想的背景(1)――自然と人間 10
3 思想的背景(2)――さまざまなる二項対立 19
第二章 環境 33
1 環境問題複合体における環境、あるいは人間にとっての環境 34
2 生態学の環境、あるいは人間を含んだ環境 41
3 進化論の環境、あるいは人間に織り込まれた環境 48
第三章 エコロジー 59
1 二つのエコロジー 60
2 エコロジーと環境問題 65
3 さらばガイア 78
第四章 人間 85
1 さまざまな環境世界 86
2 霊長類の環境 97
3 環境の誕生 102
第五章 DNAと文化 111
1 DNAメタ・ネットワーク 112
2 文化の生物学 119
3 人間の文化師 126
第六章 コンピュータ 137
1 コンピュータと環境の三角形 138
2 コンピュータと生命 151
あとがき 158
謝辞 165
参考文献 167
■著者紹介(*「奥付」より)
佐倉統(さくら・おさむ)
1960(昭和35)年、東京に生まれる。1985年、東京大学文学部心理学科卒業。1990年、京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学。1992年、同大学理学博士。進化生物学、行動生態学。科学論が主な関心領域
現在、三菱化成生命科学研究所特別研究員。
論文「霊長類社会生物学に関する理論的覚え書」『霊長類研究』第3巻
"Troop variability in contact calls of Japanese macaques: a possible case of neutral evolution of animal culture" Animal Behaviour, vol. 38
「進化論論争――傾向と対策」『ライフサイエンス』第16巻
「社会生物学論争,日本の現状」『生物科学』第42巻
「環境の誕生」『現代思想』第19巻
"Flexibility of wild chimpanzee nut-cracking behavior using stone hammers and anvils: an experimental analysis" Ethlogy, vol. 87(共著)
「人間言語の起源に関する試論」奥井一満監修『ディスプレイの情報世界』(NTT出版)ほか
訳書『野生チンパンジーの世界』(共訳、ミネルヴァ書房、1990)
『科学とその彼方へ』(共訳、産業図書、近刊)
*作成:植村 要