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『ヒト不足社会――誰が日本を支えるのか』

NHK取材班 19910920 日本放送出版協会,235p.


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■ NHK取材班  19910920 『ヒト不足社会――誰が日本を支えるのか』,日本放送出版協会,235p. ISBN-10:4140087943  ISBN-13:9784140087947  \1200 [amazon][kinokuniya] ※ w0114 n04

■内容
ここまできた人手不足のニッポン! いかに乗り越えるか、マンパワー・クライシス。高齢化社会、女性パワー、外国人労働者…。その現況を追跡(「BOOK」データベースより) 。

■目次
第1章 経済大国の赤信号
     1 コンピューターは人食い虫
     2 空前の労働力不足が始まった
     3 追い詰められた農村
第2章 「働きばち」が消えていく
     1 超売り手市場
     2 “転職先進国”アメリカ
     3 迫られる労働時間短縮
     4 1600時間を達成したドイツ
第3章 見直しを迫られる企業社会ニッポン
     1 開発競争の舞台裏
     2 サービス化社会の功罪
     3 “戦力”として期待される女性パワー
     4 女性の社会進出先進国スウェーデン
第4章 外国人労働者受け入れで揺れる日本――だれが巨大プロジェクトを支えるのか
     1 急成長・台湾の決断
     2 入管法改正と研修生制度
     3 新たな火種を抱え込んだドイツ
     4 日系人労働者のあふれる町、浜松
     「ヒト不足社会」へのメッセージ

■引用
◇「時短」と「ヒト不足」のジレンマ
「だれもが必要と認める労働時間の短縮を進めようとすればするほど、新たな人手が必要となり、人手不足に拍車がかかるというジレンマに陥る。」(p88)
「労働時間短縮を達成すると、日本経済にどんな影響力があるのか、三菱総合研究所でシュミレーションを試みた。まず、総労働時間を1995年に1800時間に削減〔引用者註:1989年の日本の総労働時間は2159時間〕した場合、人手不足で賃金が上昇し、>89>自働化、省力化に向けて設備投資が活発になる。また、時短で働く人の余暇時間が増え、レジャーなどサービス産業への消費支出が増加する。こうした結果、マクロ経済にはプラスの要因となり、経済成長率は時短をしなかった場合に比べて高くなり、年率4.1パーセントになる。
 物価は、賃金の上昇などで3.2パーセントの上昇となり、かなりのインフレ感が出る。そして労働力不足は、時短をしなかった場合にに比べて約160万人増え、650万人が不足するとしている。
 労働時間短縮は、時代の大きな流れである。小手先の対応では、いずれ行き詰まる。会社人間に頼り、強引に目標を達成するような時代は終わった。ゆとり社会に沿って発想を大きく変えていかないと、国内的にも国際的にも生き残れない。
 日本の企業は、これから若者の就労感の変化、売り手市場による労働力の流動化、そして時短とヒト不足の三重苦と闘っていくことになる。」(p89-90)

◇1991年における看護婦・看護士の人手不足
「平成元年の厚生省の調査では、看護婦の不足数は4万9000人。高齢化社会に突入する日本に赤信号がともっている。日本看護協会が全国の特別養護老人ホームの医療や看護の実態をアンケート調査したところ、90パーセントの施設で看護職員が4人以下。1人で平均25人の入居者の看護に追われていることがわかった。(中略)
 白衣の天使は疲れ切っている。休暇はなかなか取れないし、夜勤回数は月平均9~10回が35パーセントを超え、11~12回が13パーセントも占めている。
 離職の理由は、「仕事内容への不満」をあげる人が多い。忙しい中、自分のめざすケアがなかなかできないことへの不満が離職に走らせている。」(p22)

◇外国人労働者の受け入れ
「労働省が設置した、外国人労働者問題をめぐる研究会では、外国人労働者の受け入れ肯定論の論拠を、>172>次のように整理している。
 経済成長のためには労働力人口の増加が必要であること、短期的・長期的労働力不足解消に有効であること、送金などを通じ開発途上国の発展に有効であることなどである。しかし、結局この研究会が平成3年1月にまとめた報告書でも、単純労働者の受け入れを認めるまでには至らなかった。労働力不足に対しては、設備の機械化や労働条件の向上など、外国人労働者に頼らない工夫が必要だとし、単純労働者については、社会的コストを負担してでも受け入れるべきか、国民の合意をえるための議論が必要だとしている。
 単純労働者には依然として門戸を閉ざしている中で、人手不足に悩む中小企業や建設業が注目している、外国人受け入れのルートがある。「外国人研修生」と「日系人」の2つのルートである。
 「外国人研修生」とは、受け入れる企業や機関を限定した上で、一定人数の外国人を一定期間、技術や技能を研修してもらうという目的で受け入れようとする制度である。外国人労働者という枠ではなく、あくまで技術や技能を修得してもらう「研修生」であり、発展途上国の援助の一環だとして、政府はその制度の拡充の方針を打ち出している。」(p172-173)
「初めは大企業中心の研修生制度に注目が集まったのは、改正入管法の施行からさらに>176>2か月余り過ぎた平成2年8月のことであった。改正入管法と法務省令では、研修生制度は、法務省が入国審査の際に内規としていたものを明文化した程度で、従来と内容的にはそう大きな変化はなかった。このため、人手不足に悩む企業経営者の間には、「不法就労者が締め出されただけで、この法改正には雇用面では何のメリットもない」と失望感が広がっていた。
 ところが、8月17日付の法務省告示では、研修生受け入れのできる範囲を商工会議所または商工会、それに中小企業団体にまで拡大したのである。これは、大企業でなくとも、窓口を一本化してまとめて受け入れるという形をとれば、中小企業でも研修生を受け入れられるというものであった。しかも、法務省令では、研修生受け入れが従業員20人について1人の割合でしか認められなかったものが、この告示で、従業員50人以下で3人、100人以下で6人といった割合で拡大された。これまでは、従業員20人以下の企業では研修生受け入れの道が閉ざされていたのが、この告示によって3人までは受け入れができるようになり、中小企業、なかでも零細規模の企業に、研修生受け入れの道を開いたのである。」(p176-177)
「研修生の目的は、技術や技能の修得である。しかし、実際に研修生が受け入れ企業の現場で実務研修として働き始めると、研修なのか、工場での労働なのか、果てしなくあいまいになってくる。」(p189)

■書評・紹介

■言及



*作成:角崎 洋平 
UP:20090219
非正規雇用 ◇看護・看護者・看護師(看護婦)   ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK  
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