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『仕事の経済学』

小池 和男 19910620 ,東洋経済新報社,275p.

last update:20101006

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小池 和男 19910620 『仕事の経済学』,東洋経済新報社,275p. ISBN: 4492260420 \3700 [amazon][kinokuniya]

■内容

■目次

第1章 さまざまな労働者グループ
第2章 「年功賃金」の吟味
第3章 「終身雇用」の吟味
第4章 大企業労働者のキャリア
第5章 知的熟練
第6章 現代の理論
第7章 解雇と失業―変化への対応
第8章 中小企業労働者
第9章 高年労働者と女性労働者
第10章 日本方式の海外通用性
第11章 大卒ホワイトカラー
第12章 働く場での労働組合
第13章 賃金水準の変動と失業
第14章 基礎理論と段階論
おわりに 日本の仕事方式の将来

■引用

「統計的差別の理論
 男女間差別については、すでにきわめてすぐれた理論が存在している。いうまでもなく統計的差別の理論(Theory of statistical doscrimination)であり、女性の働く能力になんの偏見もなくとも、企業が効率をもとめて行動すれば男女差別が生じる、という理論である10)。しかも、ふつう考えられているより、はるかに現実的基盤があり、ぜひとも吟味しなければならない。もともとは1960年代アメリカ社会をゆるがせた白人と黒人の差別を説明する理論として構想されたが、男女差にも十分適用できる見事な理論である。この理論をよくわきまえないと、すぐさま日本の特殊性やおくれといった、まったく不生産的な議論に終始し、差別のいちじるしい合理性をふまえて始めて(ママ)みえてくる対策が、まったくわからない。
 男女差別について展開すれば、統計的差別の理論とは、つぎの3条件を前提する。第1、平均して女性は男性より勤続がみじかく、それは統計的に明白だ。第2、女性のなかにも長くつとめる人はもちろんいるが、それを事前に見分けるのはむずかしく、かなりコストがかかる。第3、必要とされる熟練がたかく、その形成に企業内での中長期のOJTを要する。ときに企業特殊熟練という条件を強調する見解もあるが、うえの条件さえあれば十分成立する。
 第3の条件、中長期のOJTからはじめよう。そのもとでは、労働者が途中でやめては、それまでのOJTが損失となる。それをさけるため、経営側は定着の見込みのたかいひとを選ばざるをえない。ところが、第2の条件によって、個人別に定着の可能性を調べるコストがたかい。コストのかからない方法として、みやすい特徴をもつグループごとにえらぶ。みやすいとは、統計的に歴然としていることで、白人黒人の別、男女別、出身校別などである。第1の条件によって男性の方が定着的だから、中長期のOJTコースに男性をつける。当然男女間に技能差が、したがって賃金差が生じる。企業が合理的に効率をもとめて行動するかぎりそうなる。そうしないと競争に生き残れない。

 重要なのは、この3条件が、ふつう考えられているより、はるかに広く存在して .0144<いることだ。まず第1条件は、出産、子育てがある以上、どの国にも存在す。とくに先進国ほど妥当する。家事手伝いがえられず、えられてもその賃金がたかい、学歴別賃金格差が小さいからである。第2条件、質にかかわる情報がわかりにくいのも、これまた一般的である。とりわけ第3条件が、先進国途上国をとわずひろく存在している点は、すでに、そしてこれからも、くりかえし見るところである。
 これほど3条件がひろく存在していては、男女の雇用均等等は容易ならざる困難に逢着する。第1条件は、家事手伝いの得られる途上国の中層以上がまぬかれるにすぎず、第3誌条件を無視すれば企業があぶない。第2条件をいかに変えるかが、差別問題の鍵となろう。それを日本はいかにおこなっているか。
 昇格テスト方式」(小池[1991:144-145])

「10)Phelps[1972]、またPhelps[1972]。さらにStiglitz[1973]。」(小池[1991:149]、表記の方法は変更してある。)

◆小池 和男 19990506 『仕事の経済学 第2版』,東洋経済新報社,349p.
「<統計的差別の理論>
 どの国にもみられる男女間格差の説明には、すでに見事な理論が存在する。道義的な視点からしばしば反発されるが、その説明力はあざやかである。いうまでもなく統計的差別の理論 Theory of statistical doscrimination であり、女性の働く能力になんの偏見もなくとも、企業が効率をもとめて行動すれば男女差別が生じる、という理論である(Phelps[1972]、Stiglitz[1973])。しかも、ふつう考えられているよりはるかに現実的基盤があり、ぜひとも吟味しなければならない。もともとは1960年代アメリカ社会をゆるがせた白人と黒人の差別を説明する理論として構想されたが、男女差にも十分適用できる。この理論をよくわきまえないと、すぐさま日本の特殊性やおくれといった、まったく不生産的な議論に終始し、差別のいちじるしい合理性をふまえてはじめてみえてくる対策が、まったくわからない。<0193<」

 下方硬直性  失業が増えても貨幣賃金が下がらないこと ケインズ 「ただし、なぜそうかはあまり語らず、経験のしめすところでは、というにとどまった。」(小池[1999:304])
 この説明として「暗黙の契約理論」があるという。危険回避的 「不況になってもその分賃金を下げず、雇用も切らない。そのかわり、好況になってもそれに乗じ賃金を上げない、という態度」(小池[1999:163])

■書評・紹介

■言及



UP: 20101005 REV:
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