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『「寝たきり老人」のいる国いない国――真の豊かさへの挑戦』

大熊 由紀子 19900920 ぶどう社,171p


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大熊 由紀子 19900920 『「寝たきり老人」のいる国いない国――真の豊かさへの挑戦』,ぶどう社,171p. ASIN: 4892400955 1500 [amazon][kinokuniya] ※, b a01 n01

■言及

◆立岩 真也 2009/03/25 『唯の生』,筑摩書房,424p. ISBN-10: 4480867201 ISBN-13: 978-4480867209 [amazon][kinokuniya] ※ et.

「「寝たきり」という言葉自体は以前からある。例えば有吉佐和子の『恍惚の人』(有吉[1972])にも見える☆08。また寝たきりにならないための策を説く書物も出ている(田中[1976]等)。ただ、一九八〇年代になって、新聞や集会で、外国、ヨーロッパ、北欧の事情を知り、かの地に寝たきりの人がいないことを知った人によって、寝たきりが克服されるべき、また克服可能な事態であることが説かれるようになる。本としては、岡本祐三の『デンマークに学ぶ豊かな老後』(岡本[1990])、大熊由紀子の『「寝たきり老人」のいる国いない国――真の豊かさへの挑戦』(大熊[1990])等が出され、読まれる。

「注目すべきことは、朝日新聞論説委員の大熊由紀子氏が、早くから(なんと一九八五年から)「寝たきり老人」(彼女の表現を用いると「寝かせきりにしてしまっていたお年寄り」)が多数見られるのは、先進諸国の中では日本だけなことを発見し、これがわが国の老人医療・福祉の立ち遅れの産物であることを、鋭く指摘してきたことである。この事実は、その後厚生省の委託研究でも確認され、その結果は『厚生白書一九九一』(六三頁)にも掲載された。」(二木[1994 : 12])

「「寝たきり老人」をゼロにするという高い理念がある[…]すなわちただ単に要介護者のお世話が大変だから、介護福祉を充実するということにとどまらず、要介護者の自立を支援するということが目標とされている。/筆者の知る限り、この理念が日本で重要な意味を持つようになったのは、八〇年代のはじめ頃からデンマークをはじめとする北欧諸国の実態を調査し、「寝たきりはゼロにできるのだ」というキャンペーンを展開した大熊一夫氏、大熊由紀子氏、岡本裕三氏らの努力によるところが大きい。彼らの啓蒙活動が次第に普及するなかで、スウェーデン大使館勤務の経験を持つ厚生省若手官僚たちがこれに呼応して、九四年に「高齢者介護・自立支援システム研究会」が設置された。同報告書はこのような彼・彼女らの長い努力の結実である。」(西村[1997 : 63-64])」


UP:20070403 REV:20090524
大熊 由紀子  ◇老い  ◇「寝たきり老人」  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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