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『科学技術という妖怪』

池田 浩士・天野 恵一 編 19900630 社会評論社,検証・昭和の思想 3,207p.

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last update:20200416

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■池田 浩士・天野 恵一 編 19900630 『科学技術という妖怪』,社会評論社,検証・昭和の思想 3,207p. ※ d07d

■内容

本書より

(…)体制化された科学批判が戦後も長く不在であった歴史的根拠を対象化することをも媒介に、この制度としての科学を具体的、現実的に批判する思想視座を確立すること。「科学の体制化の昭和史」の総体を批判的に検証する作業を多様な角度からつめること。これが本書のモチーフである。(池田・天野〔1990:13〕)

■目次



〔巻頭批評〕山崎 カヲル 左翼の優生思想
〔座談会〕中山 茂・天野 恵一・池田 浩士 科学の「体制」史の現在
吉岡 斉 転機に立つ日本の科学技術体制まる
河田 昌東 国境を越えるクライシス
川合 仁 薬害を生みつづける現代医療
太田 昌国 工業化以前の社会における革命の壁
天野 恵一 戦後民主主義思想の科学技術観
池田 浩士 虚構としての科学技術
福本英子 陰画としての「バイオエシックス」
柴谷篤弘 もうひとつの科学
松岡信夫 市民講座「生活と科学」
柏木博 明るい未来を語ることの意味
杉浦昌昭 科学の“客観性” から“主観性”の科学へ
野毛一起 ガリレオを審く!
高島直之 60年代科学・技術への迎合のツケ
小倉利丸 テクノロジーと「日本的なるもの」
〔BOOK GUIDE+文献案内〕
池田 浩士 「闇」に光をあてる科学!?
天野 恵一 平和と民主のための科学!?

■引用

(…)1961年よりの国民皆保険=健保体制はこの傾向(引用者――臨床面での治療偏重、自然治癒力の無視)を助長するものであり、医師に日々の医療行為の点検をせまるものではなかった。*7(…)
 一方製薬企業は健保体制のしくみを利用して、さまざまな形で薬の売り込みをはかった。その中で、医師は口先では健保上の矛盾を指摘しつつも、結局薬づけといわれる医療状況をつくってしまった。

*7 健康保険での医療費支払機構は、現物給付、点数出来高払い制で、医療行為の一つ一つに点数をつけ、それらを累計して請求する方式である。従ってたくさん医療行為をすると点数が増えることになる。薬づけ、検査づけになるゆえんである。薬の場合は、公定価格と購入価格が大きく離れており、その差益収入が医師の大きな収入の一つとなった。
治療の成否に関係なく、医療費が支払われるので、極端に言えば、治療に失敗して、経過が長びけばそれだけ収入が上がることになる。(池田・天野〔1990:88〕)


*作成:松枝 亜希子
UP:20100706 REV: 20200416
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