『閉鎖病棟の憂鬱――「分裂病者」私の手記』
松本 真一 19891215 批評社,247p.
■松本 真一 19891215 『閉鎖病棟の憂鬱――「分裂病者」私の手記』,批評社,247p. ISBN-10: 4826501099 ISBN-13: 978-4826501095 1800+ [amazon] ※ m.
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幻視、幻聴につきまとわれ、入・退院、服薬を繰り返しながらも働き続けた末、余儀なくされた退職。母親の献身、幸せな結婚をも病いは脅かす。10余年にわたる闘病生活の波間で、真実を求めて克明に書き綴られた手記。
■目次
第一回・発病
三日三晩―わが魂の遍歴
病床日記―続三日三晩
第二回・発病
闘病断章
第三回・発病
真実の手記
第四回・発病
病床枕頭の記
闘病日記
第五回・発病
病臥譜
続闘病日記
あとがき
■引用
「あとがき
この手記は、すべて私が発病直前、入院中及び自宅療養中に書き込んだノートプック、手帳、メモ用紙などから、そのまま記述したものです。
昭和五十一年(一九七六年)十二月を最後に、以来十数年再発していません。しかし、私は生涯、精神障害者として今日の世界に行き続けねばならぬ人間です。たった一回、精神病院に入院したことがあるだけで、その者は一生、重い鎖に繁がれ、これを引きずって歩まざるを得ぬのが現状です。<0246<
私の体験した精神病が現実にどんな症状を起こし、どのように進行して、遂に一人の人間を社会的な死に至らしめたか、その事実を、現在精神病棟に収容、拘束されている患者とその家族、退院した者、そして社会復帰に励む人たち、あるいは精神医療関係者のため少しでも知って頂き、これが参考になれば、と思い立って一冊の本にまとめました。
あからさまに活字化した私の経験とその中に隠された真実とを多数の方々に広く読まれることを強く希望しております。
出版に際して、デザイナーの吉村貞廣さん、批評社のスタッフの
みなさんから色々と助言を頂き、大変お世話になったことに深く感謝の意を表します。
平成元年(一九八九年)十一月六日 松本真一」(松本[1989:246-247]、あとがき全文)