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河西 宏祐 19891110 日本評論社,456p. ■河西 宏祐 19891110 『企業別組合の理論――もうひとつの日本的労使関係』,日本評論社,456p. ISBN-10: 453557832X ISBN-13: 978-4535578326 5912 [amazon] ■目次 序章 研究課題 一 研究目的 二 研究史的位置 三 研究視点 四 分析の枠組み 五 本書の構成 第T篇 企業別組合の理論 第一章 「企業別組合」論の形成史――「出稼型労働」論を中心に 一 研究課題 二 "通説"の形成(一九五〇年代)――「出稼型労働」論 三 "通説"の発展(一九六〇年代)――「企業別組合」論の定着 四 現在の"通説"(一九七〇〜八〇年代)――「内部労働市場」論 五 結論 第二章 新たな企業別組合論の提起――「内部労働市場」論批判をとおして 一 研究課題 二 "通説"批判(一)――組織形態について 三 "通説"批判(二)――機能について 四 新たな研究視点 第三章 労働組合の〈活性化〉の構図――本書の研究史的位置 一 研究課題 二 高度経済成長期の企業別組合 三 民間大企業労働組合の〈活性化〉 四 官公労の〈活性化〉 五 少数派組合論 六 〈新型労働組合〉論 七 「自主生産」論 八 結論 付章 企業別組合の〈起源〉論――戦前期企業別組合をめぐる研究史 一 研究課題 二 "通説"=〈不存在〉説 三 "新説"=〈存在〉説 四 今後の課題 第U篇 企業別組合の限界――〈中枢型労働組合〉の特質 第四章〈協調的労使関係〉の形成過程――戦後労働争議史をとおして 一 研究課題 二 労働争議の定義 三 第T期=戦後動乱期(一九四五〜五〇年) 四 第U期=戦後復興期(一九五〇〜五五年) 五 第V期=高度経済成長期・前期(一九五五〜五九年) 六 第W期=高度経済成長期・後期(一九六〇〜七二年) 七 第X期=低経済成長期(一九七三〜八七年) 八 第Y期=新国家主義期(仮称)(一九八七年〜 ) 九 結論 第五章 職場組織の〈空洞化〉過程――高度経済成長期の職場史をとおして 一 研究課題 二 職場の労使関係史 三 〈組合攻勢期〉の労使関係 四 高度経済成長期の労使関係 五 結論 第六章 企業別組合の成立過程――電算争議(一九五二年)論 一 研究課題 二 研究対象 三 時代背景=〈産業別主義〉の時代 四 前提=電産の〈産業別主義〉 五 争点=産業別単一組合の解体 六 経過=経営攻勢・電源スト 七 結果=組合分裂・電産解体 八 結論 第七章 労働協議制下の職場労働組合――日立製作所日立工場の事例 一 研究課題 二 分析の枠組み 三 研究対象 四 〈従業員組織的機能〉の実態 五 職場活動の規定要因 六 結論 第V篇 企業別組合の可能性――〈辺境型労働組合〉の特質 第八章 労働組合の新たな動向――〈辺境型労働運動〉論の視座から 一 研究課題 二 〈辺境型労働運動〉とななにか 三 少数派組合の現状 四 〈新型労働組合〉の登場 五 〈辺境型労働運動〉の思想 六 結論 第九章 少数派組合の存続条件――電産中国地方本部の事例 一 研究課題 二 研究対象 三 対外的機能における存続条件 四 対内的機能における存続条件 五 結論 第一〇章 少数派組合の昂揚過程――ゼネラル石油精製労働組合の事例 一 研究課題 二 研究対象 三 労働組合の結成 四 労働争議と組合分裂 五 少数派への転落 六 組合活動の再生 七 結論 第一一章 少数派組合から多数派組合への発展条件――私鉄総連中国地方労働組合・広島電鉄支部の事例 一 研究課題 二 研究対象 三 歴史 四 多数派への発展条件 五 結論 終章 新しい労働運動の課題 一 要約 二 結論 三 今後の労働運動の課題 あとがき 事項・人名・団体名索引 ■引用 「かつて高度経済成長期に、全従業員が株主であり経営者であるため、労働組合は必要としない、との社長の斬新な経営方法で驚異的な急成長を果たして話題を よんだIC機器製造業のサイバネット工業(従業員一二〇〇人)では、低経済成長期における不況の到来とともに、従業員の大量解雇をおこなった。そこで従業 員の有志が労働組合を結成し、解雇反対争議がはじまった。この間の事情について、サイバネット工業労組はつぎのように述べている。「利益率が低下するや、 社長は障害者雇用の美名のもとに雇用していた身障者をまっ先にクビにし、ついで女性パートを全員解雇し、さらには共働きの女性労働者を指名解雇した。わず か十ヶ月間に九百余名を整理したのである」。ここに、身体障害者、女性労働者、パートタイマーなど、〈辺境地帯〉の労働者が直面する差別的情況が示されて いる。 近年、これら、永年にわたって差別をうけつづけてきた労働者のあいだから、独自の労働組合を結成するうごきが強まっている。」(p.254-255) 「ここに示されたように、「組合をつくってから臨時労働者の待遇は少しずつ良くなった」という情報が、広く全国的にパート労働者のあいだに波及していけ ば、その運動も発展の可能性がでてくるであろう。」(p.259) 「また、青森、宮城、兵庫などで九つの離職者組合が出現し、失業者が自発的に組織化のうごきをみせて地域雇用闘争をおこなっていることも、解雇・雇用闘争 の新しい現象である。日本では、労働組合は雇用されている労働者によってつくられるものという常識が確固として確立していた。(…)これにたいして、解雇 された失業労働者が、元の企業の枠をこえて、同じ地域に住むという共通性によって、自分たちの手で労働組合をつくりはじめたのは、新しい傾向とみてよい。 これらの組合の目的は、その地域の行政側(県・市当局)や職業安定所と交渉して、雇用機会の拡大のための努力を求めること、地域ごとの最低賃金水準を決定 させること、などである。」(p.262-263) 「さらに、〈新型労働組合〉の例として近年、もっとも注目されるのは、女性労働者の運動の進展である。すでに述べた心身障害者、臨時工・パート労働者、倒 産企業の労働運動の多くが女性を中心としておこなわれているのだが、これにくわえて、女性を中心とする労働組合が、経営側の暴力行為をふくむはげしい弾圧 に抗して、工場占拠などの方法によって長期にわたる闘争をつづける例もめだってふえてきている(サイバネット工業労組、スタンダード・バキューム労組、東 京現像所労組、立川スプリングなど)。 女性労働運動の根底に共通して流れているものは、「反差別」の運動をとおして「女性の解放」をめざす志向である。その第一歩として賃金や定年差別の撤廃 闘争をおこなっているが、それらの闘争は、労働基準監督署や、裁判所を利用することによって、いちじるしい成果をあげている。近年では、賃金差別について は、秋田相互銀行、第一勧業銀行浜松支店、立川スプリングなどが、その例である。」(p.263) 「以上のように、労働運動における〈辺境者〉が、独自の労働組合の創造にむけて多様な努力をおこなっていることをみた。ところで、これらの労働者はこの模 索の結果、どのような回答をつかみとりつつあるのだろうか。それは日本の労働運動が高度経済成長期の過程で喪失してきた〈労働者文化〉にもとづく団結の重 要性の再認識ということができるように思う。この現象は、労働組合の〈原点〉の復権ともいえよう。 高度成長期とは、精神よりも物質、質よりも量、内実の充実よりも外面の華やかさ、そして上昇、拡大、目新しさ、流行などに価値がおかれた時代であった。 これを労働運動の面からみれば、仲間の平等と連帯を重視する「集団主義」にもとづく〈労働者文化〉によりも、競争と上昇志向を重視する「個人主義」にもと づく〈中流階級文化〉に価値がおかれた時代であった。 (…) だが、一九七三年の"オイル・ショック"以降、高度経済成長の夢が泡沫と消え、〈競争文化〉の空しさと悲惨さがさまざまの社会的場面において露わになっ た現在、ふたたび〈労働者文化〉の価値が労働者の心をとらえはじめているとみることができる。それが、まず最初に〈辺境型労働者〉を独自の組合の結成へと 誘っている根底的な理由であろう。では、この時代を先導する〈辺境型労働運動〉のなかにほのみえている〈労働者文化〉の露頭とはどのようなものだろう か。」(p.269-270) 「以上のように、〈辺境型労働運動〉は、@労働者に定着する思想、A労働者生活の思想、B自立の思想、C自治の思想、D連帯の思想、を志向しつつ、それを 団結の基盤にすえようとしていることをみた。いま、人間関係、生活習慣、行動様式、心性(意識)などにおいて、独特の〈労働者らしさ〉を自律的につくりだ しているとき、それを〈労働者文化〉とよぶとすれば、〈辺境型労働運動〉は、それを創造にむけて先陣をきっていることは疑いない。〈辺境型労働運動〉がや がては〈中枢地帯〉の労働運動を内と外から包囲し、その変革を迫る一つの勢力として結合していけるかどうか、それは日本の労働運動が生命力を復活していく ことができるかどうかの重要な課題であろう。」(p.282) UP:20070831 ◇日本の労働(組合)運動 ◇本 |