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『ア・ブ・ナ・イ生殖革命』

グループ・女の人権と性 19891030 有斐閣,241p.

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last update:20171018

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■グループ・女の人権と性 19891030 『ア・ブ・ナ・イ生殖革命』,有斐閣,241p. ISBN-10:4641181268 ISBN-13:978-4641181267 1650+ [amazon][kinokuniya] ※ ws, r01, be

■内容

[amazon]より

内容(「BOOK」データベースより)

ハイテク生殖技術・不妊治療は、本当に女性・男性にとっての“福音”であるのか。

■目次

1 座談会 生殖革命と女の選択
 @男女産み分けにみる生殖への技術介入
 A優生思想と自己決定権;働く女と生殖技術
 B代理母問題を考える

2 性と生殖のあいだ
 @“産めない女”の視座から
 A関係性がなくても産める時代
 B性と生殖をどこまで自立的にできるか


3 生殖技術と医療
 @女のからだにとって生殖とは
 A生殖を女性のからだから切り離す技術の登場
 B試験管ベビー、試験管としての女性
 C不妊女性にとって生殖技術とはなにか
 D私のからだは私のもの

4 “代理母”が問うもの
 @“代理母”とはなにか
 A事件の背景―アメリカ社会を見る
 B問われなければならないのは何か
 C代理母の問題点;生殖材料としての女

5 働くことと産むことと
 @二つの権利のはざまで
 A働く女性とこれからの生殖技術
 B追られる選択的中絶―自己決定権の重さ

6 産まない選択・いま世界では
 @産まない政策と生殖技術
 A避妊技術はどこまで開発されているか
 B基本的人権としての家族計画
 C家族計画単独予算ゼロの日本
 D避任の二重基準
 E人口政策と女のからだ
 F女のからだを女の手に取り戻そう
 G女の視点からのアプローチ

7 “少産優生”中国からの報告
 @なぜ中国なのか
 A“子だくさん”から“一人っ子”へ
 B一人っ子政策の実態
 C厚生政策の実態をみる

8 子産みの自己決定権
 @どこに問題はあるのか
 A子産みに関する女の自己決定権
 B胎児診断、胎児治療や選択的中絶について
 C生殖技術のめざすところ

9 治療のなか生殖工学のなのか
 @生殖技術の現状と予期せぬトラブル
 A不妊の背景と問題点
 B“合理点な生殖”とは何か
 C生殖工学は性差別の解消に役立つか
 Dバイオ・テクノロジーの時代をどう生きるか

■引用

■書評・紹介

■言及

青木 やよひ・芦野 由利子・金住 典子・草野 いづみ・駒野 陽子・田中 喜美子・堂本 暁子・丸本 百合子・宮 淑子・ヤンソン 由実子 19891030 「生殖革命と女の選択」(座談会)
 グループ・女の権利と性[1989:1-48]
宮 淑子 19891030 「性と生殖のあいだ」
 グループ・女の権利と性[1989:51-69]
丸本 百合子 19891030 「生殖技術と医療」
 グループ・女の権利と性[1989:72-93]
ヤンソン 由実子 19891030 「”代理母”が問うもの」
 グループ・女の権利と性[1989:96-111]◇
駒野 陽子 19891030 「働くことと産むこと」
 グループ・女の権利と性[1989:115-128]◇
芦野 由利子 19891030 「産まない選択・いま世界では」
 グループ・女の権利と性[1989:135-157]
堂本 暁子 19891030 「”少産優生”中国からの報告」
 グループ・女の権利と性[1989:161-181]◇
金住 典子 19891030 「子産みの自己決定権」
 グループ・女の権利と性[1989:185-205]◇
青木 やよひ 19891030 「治療なのか生殖工学なのか」
 グループ・女の権利と性[1989:209-229]◇
中村 佳子 19891030 「生命科学と生殖技術」
 グループ・女の権利と性[1989:49-50]
品川 信良 19891030 「生殖に干渉する技術とは」
 グループ・女の権利と性[1989:70-71]
米本 昌平 19891030 「出生前診断技術の進歩と人種差別」
 グループ・女の権利と性[1989:94-95]
米本 昌平 19891030 「選択的中絶と障害者差別」
 グループ・女の権利と性[1989:112-113]
野辺 明子 19891030 「インタヴュー・障害ってなに?」
 グループ・女の権利と性[1989:12-131]
野辺 明子 19891030 「インタヴュー・いのちの選別」
 グループ・女の権利と性[1989:132-134]
木村 利人 19891030 「バイオエシックスの考え方」
 グループ・女の権利と性[1989:158-159]
木村 利人 19891030 「女性差別と人種差別」
 グループ・女の権利と性[1989:182-183]
山田 卓生 19891030 「子を持つことの意味」
 グループ・女の権利と性[1989:206-207]
小原 秀雄 19891030 「動物であって動物でない人間」
 グループ・女の権利と性[1989:230-231]

◆16 グループ・女の人権と性[1989]は、この国でフェミニズムの立場から生殖技術について論じた先駆的な▽180 書物であり、基本的な情報と多くの論点を提示している点で貴重だが、こうした記述が多く見出される。金住典子[1989]は論点の並列と全般的な危機感の表出にとどまらず、比較的論点が絞られており、何がどこまで問題なのか自らの見解を示している文章だが、それだけにこのことははっきり浮き上がる。彼女は基本的に女性の自己決定権を擁護する立場で議論した後、「容認できる生殖技術についての医療の基準」として、1)情報の提供(この点に関しては私を含め全ての論者が一致している)とともに、2)「全人格的な子生みの倫理」を挙げている。これは@“生殖”を“性的人間関係”から分離させてはならないことと、A子どもの人権の保障を意味する。
 しかし、@の主張を維持できるだろうか。例えば、レズビアンの対や単独の女性が人工授精(身体に与える影響は少ない)によって子を持つことは何ゆえに否定されなくてはならないのか。多くの論者が「身体のパーツ化」、子産みの過程の「分断」を指摘する。多くの人が、この過程が一つの連続・全体としてあった方がよいと考えているのは確かだと思う。しかし、それはなぜか、またそのように考えない者、それでは子を持つことのできない者もそれに従わなくてはならないのか。ここに持ち出されるのはA、「子供」である。「親子関係」はよく考えるべき主題だと私も考える。しかし、これが単純に@と結びつけられると、異性の対の下でしか子供は子である満足を得られないことを認めることになる。どうしてこのように言い得るのか。宮淑子[1989a]にも見られる「科学的不倫」という主張には、永田えり子[1995a:149-150]、柘植あづみ[1996:226-229]の的を得た批判もある。」

 「Group for Women's Rights and Sexuality [1989] was a pioneering text in offering a feminist perspective on reproductive technologies in Japan and made an important contribution by presenting both basic information and many arguments surrounding these issues, but here too many of these sorts of violent claims can be found. Kanejuu [1989] does not stop at listing the arguments made regarding these issues and expressing a general sense of unease regarding these technologies but goes on to compare and contrast the different points which have been raised and offer her own opinions on the extent to which each is actually a problem, and here again these sorts of claims clearly emerge. After arguing for the fundamental protection of a woman's right to self-determination, she proposes the following "treatment standards regarding permissable reproductive technologies": 1) sufficient information must be provided (1) along with everyone else writing on this issue agree with her on this) and (2) a "whole-person ethics of childbirth". This means ①"reproduction" must not be separated from "human sexual relationships" and ② children's rights must be protected.
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*更新:岩ア 弘泰
UP: 20170719 REV: 20171018
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