『日本の税制――総点検と新時代への選択』
和田 八束 19881230 有斐閣選書,345p.
■和田 八束 19881230 『日本の税制――総点検と新時代への選択』,有斐閣選書,345p. ISBN-10: 4641181128 ISBN-13: 978-4641181120 1800 [amazon]/[kinokuniya] ※ t07.
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内容(「BOOK」データベースより)
さまざまな税制改革論議の中で最終的に提案された「消費税」(一般消費税)は、戦後わが国のシャウプ税制からの訣別を意味している。わが国の現行税制を総点検するなかから、「公平・公正な税制」のあり方を問う。
■目次
第1部 税制の現状
税金とは何か
直接税のしくみと現状
間接税のしくみと現状
地方税制度の現状
税制の国際比較
第2部 税制改革の動向と問題点
「税制改革」の経過と論議の内容
所得税改正のあらまし
所得税率の“フラット化”
年金課税のあり方
法人税制改革の方向と問題
地価上昇と土地税制
税制改革の新段階と間接税改革
諸外国の間接税制度
第2次税制改革の検討
税制改革における公平と公正
■引用
第6章 「税制改革」の経過と論議の内容
1986年10月の税制調査会答申の考え方は「所得税を中心として、垂直的公平を重視してきた「シャウプ以来の税制」に代って、新しい公平観念の導入と間接税重視への転換に他ならない。いわば、戦後税制とは別の新しい土俵の設定であるというべきである。したがって、税制改革にあたっては、この転換を明瞭かつ具体的に提案して、その価値判断を国民に求めるべきであった。この点を曖昧にして、たんに減税とその財源の問題として提出したところに、国民の理解がえられず、むしろ反撥を買った原因があるといえよう。」(和田[1988:186])
第7章 所得税改正のあらまし
1986年3月の税制調査会「累進構造に関する専門小委員会」の報告では、税率を高くすることの「「弊害」についての”指摘”はしていても”実証”はしていない。つまり、限界税率や累進構造が、どのようにして上記の弊害をもたらすか、ないしはもたらしているのかの事実の証明はない。
そもそも、この報告書ないし税調答申でもしばしば出てくる「限界税率が高すぎる」とはいかなることを指しているのか。[…]限界税率は、ある所得区分(ブラケット)の幅について、一定の率が定められるものであり、それが「高すぎる」とはどの部分についてのことかをいわないと無意味である。」(和田[1988:234])
■言及
◆立岩 真也 編 200908 『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社 ※