◇1988年版への紹介
出版社/著者からの内容紹介
東大夜間自主講座において、著者10年の蓄積を傾けて展開された同名の講座講義録。流行の公害論議への鋭い根底的批判を熱気あふれる聴衆に訴え、討議した。講座開催の理由、公害の一般的状況、水俣病、新潟水俣病、足尾鉱毒事件の各章により構成する。
出版社からのコメント
公害に関する議論が激しかった1960年代から70年代、公害は日本だけで議論すれば良かった。しかし21世紀を迎える現在はもはや日本ばかりでなく世界的視点で考えなければならない状況となってきている。途上国がかつての日本のように経済成長をするのに伴って公害もまたかつての日本のように広がっているのである。こんな時期だからこそ、原点に立ち返って、公害とは何なのか、を考え直さなければならないのではあるまいか。
公害問題を知る上でこの本は不朽の名著と言える。
◇2006年版への紹介
出版社/著者からの内容紹介
1971年の初版刊行以来、版を重ねてきた名著がついに復刊! それまで企業寄りの技術論に終始していた風潮に警鐘を鳴らし、「公害」の社会的意味を初めて問い、現在の環境学の礎となった記念碑的作品。1970年10月から東大で始まった夜間自主講座の13回分を収載。
内容(「BOOK」データベースより)
1971年の初版刊行以来、版を重ね続けてきた名著がついに復刊!それまで企業寄りの技術論に終始していた風潮に警鐘を鳴らし、「公害」の社会的意味を初めて問い、現在の環境学の礎となった記念碑的作品。
水俣病の公式確認から50年――“環境問題”の原点がいま再び「新装版」となって登場!
1971年の初版刊行以来、版を重ねてきた名著がついに復刊! それまで企業寄りの技術論に終始していた風潮に警鐘を鳴らし、「公害」の社会的意味を初めて問い、現在の環境学の礎となった記念碑的作品。1970年10月から東大で始まった夜間自主講座の13回分を収載。
作家 柳田邦男氏推薦!
人間と社会を見るにあたって、いちばん大事なことは、「事象の重大性に気づく感性」であり、「本質を見抜く考える力」であり、「全容をとらえる思考の枠組み」である。本書は、戦後公害の原点である水俣病を出発点にして、国内と世界の重要な公害・環境破壊の具体的事件を語りつつ、同時にそれらに内在する本質的問題を解き明かしていく。国家権力の僕に堕した学問の洗脳の場である東京大学で、権力に倚りかからず、立身出世にも企業の利潤追求にも役立たない本質をとらえる学問を、時代状況と呼応させつつ“自主講座”という方法で、学生や研究者や一般市民に語り続けたこの分厚い記録は、30年以上経った今も、宇井氏の肉声が聞こえるような新鮮な響きを持っている。そこには、歳月を超えて普遍性のある、事象の本質をとらえる「感性」と「考える力」と「思考の枠組み」が語られているからだ。