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『英語のソーシャルスキル』

鶴田 庸子・ロシター, ポール・クルトン, ティム 19880110 大修館書店,252p.
last update:20140612

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■鶴田 庸子・ロシター, ポール・クルトン, ティム 19880110 『英語のソーシャルスキル』,大修館書店,252p. ISBN-10:4469241008 ISBN-13:978-4621080504 \1400+税 [amazon][kinokuniya] ※

■内容

出版社からの内容紹
日本語では丁寧な表現なのに英語に訳すと無礼にきこえることがある。場面に応じた適切な表現とは何かを、文化・考え方の違いに照らして説く。

■目次

1 はじめまして、どうぞよろしく
2 紹介に続いて
3 パーティー
4 好みを言う
5 尋ねる
6 将来のことについて言う
7 人に何かやってもらう
8 「貸してくれる?」と“Could I borrow it?”
9 わたしでよかったら、お手伝いしますが
10 アドバイス
11 誘う/招待する
12 相談して決める
13 約束したことを変えてもらう

■引用

◆では、あらたまるべきかくだけるべきかはどのように判断するのだろうか。これを判断するときの基準は1つではなく、いろいろな要素が複雑にからまっているが、いくつかの原則をあげよう。
(1)日本語社会では初対面の場面であれば、それはあらたまるべき(あるいは、あらたまってもおかしくない)場面と考えてよいだろう。初対面で「はじめまして、どうぞよろしく」という表現を使っておかしい場面は、ほぼないと言える。しかし、英語社会では初対面だからあらたまるという原則はない。くだけるべき場面では初対面のときからくだけ、それにふさわしい表現を使う。
(2)仕事がからんでいる場面は原則としてあらたまった場面である。
(3)仕事のからまない場面は原則としてあらたまらない場面である。
(4)例えば結婚式のような形式ばった場面はあらたまった場面である。
(5)たった1年の違いでも先輩か後輩かが大きくものをいう日本語社会と違って、英語社会では年齢の差は原則として無視する。ただし、その差が非常に大きい(明らかに世代が違うと感じられる場合)には考慮する。その場合には仕事がからむとからまないとにかかわらず、年下のほうはあらたまった態度を示す。
(6)社会的な地位の差は原則として無視する。ただし、極端に大きな差がある場合…(5)と同様のことが起こる。しかし、社会的に大きな差がある場合というのは、年齢にも大きな差がある場合が多いので、(5)と(6)をはっきり分けて考えるのは難しい。
…英語では相手との差違に注目してそれを言葉づかいに表わそうとするのではなく、逆に差違はなるべく無視し、<わたしたちは対等なのだ>という態度を言葉づかいに表わすのである。/…Nice to meet you.、自己紹介ならI'm John Smith. Nice to meet you.が最も一般的なものなので、これらを選んでおけば間違いはない。[1988:7-8]

◆…ネイティブスピーカーに比べるとノンネイティブは常にいくらかあらたまった態度をとることを期待されていて、英語社会においてもやはり、ネイティブスピーカーと全く同じ程度までくだけた態度をとることは好ましくないのである。[1988:11]

◆ふだんはファーストネームで呼び合っている仲でも、公的な場に出たら、そこはあらたまるべき場面となり、互いに名字で呼び合う。…公的な場でファーストネームで呼び続けると、<自分は他の人々と違ってこの人をファーストネームで呼べるのだぞ>と、特権をひけらかしているような印象を与える。[1988:11-12]

◆人と人の間柄ということについて、英語社会と日本語社会では少々違っていることがある。日本語社会では教師と学生は、卒業後もその「教師と学生の間柄」を、上司と部下は、勤務時間外もその上下関係を保ち続けることが多い。そして、互いにいつも同じ呼び方で呼ぶ傾向がある。これに対し英語社会では、場面によって相手をどう呼ぶかを変える傾向がある。ということは、英語社会では、人と人との間柄は基本的には対等な「個人体個人」であり、仕事上の立場や社会的立場は固定的に不変のものではなく、場面に応じて使い分けられる役割に過ぎないという考え方が、日本社会に比べると強いと言える。[1988:12]

◆日本では名刺は自分の名前や身分を相手に強く印象づける身分証明書のような役割を果たすものだが、英語社会では初対面の場面で互いに相手についての必要な情報は、その人との会話を通してやりとりされるという前提があるので、名刺は会話のあとで渡される記憶の助けというごく軽い役割しか与えられていない。[1988:13]

◆日本語社会では、人に紹介されたあともう一度自分の名前を言うことがよく行われるが、英語ではしない。また、日本語では紹介の場面で名刺交換とお辞儀をするが、英語ではこのどちらもしない。代わりに握手する。握手は紹介・自己紹介のいずれの場面でも、How do you do?/Pleased to meet you./Nice to meet you.などをいう段階で行われる。Hi.が使われるようなきわめてくだけた場面では握手は行わないのが普通である。

握手についての注意
(1)相手が手を差し出したらすかさず握手をする。このタイミングがずれると、相手が差し出した手のやり場に困り、一瞬にしてぎこちない空気が漂う。
(2)強すぎず、弱すぎず、中庸の強さで握手する。…日本語人に少し強すぎるくらいで、英語人にとっての中庸の強さになると考えてよい。
(3)握手をしながらお辞儀をしない。これをすると、英語人には驚異である。相手が自分の手にキスをするのではないかという考えが一瞬頭をよぎるからである。
(4)始まりと同様アウンの呼吸で握手を終える。…握った手を1回または2回振って、さっと話すのが普通である 。[1988:13-14]

◆英語社会では、人を紹介しないのは失礼にあたる。連れのいるときに、連れの会ったことのない人に会ったら、必ず紹介する。/また紹介(自己紹介も含む)の表現は場面に応じて使い分けられるが、そのときに最も重要な点となるのは、それが仕事のからむ場面であるかそうでないかという点である。仕事がからむ場面では仕事上の役割を演じることになるが、そうでない場面では個人として振舞うという一種のけじめがある。[1988:14]

◆…日本式の自己紹介大会の場面を初めて見た英語人には、この習慣は子供のパーティーのゲームのように映る。英語社会では、一人一人個別に情報を得たり与えたりするのが大人のやり方であると考えられている。また、その個人的な情報のやりとりは、「発表」ではなく「会話」を通して行なわれるものである。名前、出身地、出身校、専門、職業、地位…と、とうとうと自分のことを発表するのは英語社会では自慢気で、嫌味なこととされる。…「発表」を通して一挙に大量の情報が与えられる日本語の場合と違って、英語では当然情報は徐々に獲得されていくことになる。最初はきわめて限られている共通の話題を、会話を通して次第に広げていくという、一種のゲームが行われるのである。[1988:16-18]

◆会話は情報を得るための単なる手段ではない。会話そのものが社交上の活動であり、ひとつの目的である。双方が協力して滑らかに発展させるゲームだと考えられる。このゲームには、
(1)相手の質問を文字通りに解釈しない
(2)話題の展開に積極的に参加する
という2つのルールがある。…理想的とされるやりとりを図示すると次のようになる。
A:質問
B:応答+会話を発展させるためのもう一言
A:応答+会話を発展させるためのもう一言[1988:21-22]

◆英語人に比べて日本人は相手の目を見ることが少ないと言われる。英語社会では視線を交わすのも重要な意思疎通の手段と考えられている。…一般に視線を交わすのは、
(1)話の途中で相手の反応を求めるとき
(2)自分の話を終わりにして、相手にバトンタッチすることを表わす時
(3)相手の話を関心をもって聞いていることを表すとき
行われるものと考えられる。したがって、自分が話している間より聞き手でいる間のほうが相手の目をよく見ていることになる。そして話し始めるといったん視線を落とし、あとは話の途中の確認の必要な要所と、話の終わりに相手の目を見るというのが一般的な英語人の視線の交わし方のパターンである。[1988:24-25]

◆日本の宴会と英語社会のパーティーには、いくつかの違いがある。まず、目的に違いがあるようだ。宴会は、あるグループのメンバーたちが親交を深めるため、場合によってはさらにその団結力を強めるために行うことが多い。一方パーティーのほうは友達との親交を深めることと同時に、新しい出会いを期待し、いろいろな人と知合いになることを目的として開くことが多い。そこで、宴会の場合は参加者はそのグループに属している人だけに限定されることがほとんどだが、パーティーでは友達の友達と知り合ったり、そのまた配偶者と友達になったりというように、知合いの輪はどんどん広がっていき、グループという意識はほとんどない。[1988:32]

◆…英語社会では、客に最大の決定権を与えるのが最良のもてなしだと考えられることが多い。…英語社会では相手の気分や好みを尊重しないほうが失礼なのである。…この、決めつけることを嫌い、相手に決定権を与える(GIVING DECISION CONTROL)という考え方は、「もてなし」の場面だけでなく、英語社会のさまざまな場面で現われるものである。[1988:34-35]

◆パーティーの主要な目的が会話を楽しむことである以上、また、…未知の相手と知り合うのが会話を通してなされることとされる以上、巧みな会話ができるかどうかが、partyを楽しめるかどうかのかなり重要なポイントとなる…巧みな会話というのは、相手を退屈させず、自分の参加度も高い会話のことで、
(1)内容のある会話
(2)自分がどういう人間か、どういう考えをもっているかを積極的に表現する会話
(3)できれば、自分の経験談や「ちょっといい話」的な面白い話がちりばめられている会話
(4)できれば、冗談、皮肉などが入り機知に富んだ会話
(5)一方的でなく、相手と協力して展開する創造的な会話…
である。[1988:36-37]

◆パーティーでは大勢の人に会うので、一度聞いただけですべての人の名前を間違いなく覚えるというのは至難の技である。したがって、話している相手の名前を忘れてしまってもそれほど脂汗をたらしてうろたえる必要はなく、次のように尋ねればよい。
A: Sorry, what did you say your name was?
B: George Scott. And you're...?
A: Jennifer Biggs.
B: Oh yes, of course, that's right.
…また、次のような表現も使われる。
A: Mr Black, isn't it?
B: No, John Hall, actually.
A: I'm sorry. I've got a terrible memory for names.
B: Oh, that's quite all right.
…次に、人の名前を忘れてしまって第三者に尋ねる場合には、
A: Bill, who's that man over there in the blue suit?
B: With the president?
A: Yes, that's right.
B: Oh, that's George Scott from the BBC.
のようになる。これは一度聞いた名前を忘れてしまった時だけに限らず、まだ話したことがない人物について第三者に尋ねるときにも使う。[1988:40-41]

◆例えば、次の休日に何をするか、すでに計画が立ててあり、予約や約束などがしてある場合は、
be -ing
が使われる。…近い将来か、遠い将来かということには関係なく、すでに確定した予定であって、いろいろな手はずが整っていればこの表現を使う。…自分以外の人や物の予定についても、すでに確定していて、そういう手はずになっていることにはこの表現が使われる。ただし、Be動詞の場合だけは*be beingとは言わず…'ll beが使われる。/さて、手はずの整った予定に対し、自分だけで決めて自分だけが知っている予定というものもある。…他の人と約束してあるわけでもなく、何か準備してあるわけでもないような予定である。そういう場合には、
be going to〜
を使う。…次は、決心と意思である。予定していなかったことを、今決心してその意思表明を行うことがある。そのときの表現は、
'll〜
である。[1988:76-78]

◆…英語社会では一定の社会的上下関係の間柄においても、頼む事柄の性質に応じて使われる表現が変わってくる…頼む相手が自分の秘書であっても、頼む権利のない事柄であれば、対等の人間に頼む時と同じように頼むということである。…
(1)いきなり頼むのではなく、まず相手についでがあるかどうか尋ねる。
…ついでがあるかどうか尋ねるのには理由が2つある。まず、<自分はこれをあなたに頼む権利はないことは十分承知している。だから、もし偶然についでがある場合に限って頼むのだ>と、強制力のない「依頼」だということを表現する必要があるからだ。…もう一点は、相手がこちらの「依頼」を断って気まずい思いをするのをあらかじめ防ぐためである。…
(2)頼む理由を言う。

(3)pleaseを添えない。
…pleaseの意味はあくまでも<わたしはこれを「指示」できる立場にいるのだけれど、恐縮している>のである。したがって、「依頼」では使わない。[1988:97-99]

◆では、Can you...?以下の各表現はどのように使い分けられるのだろうか。/使い分けの基準になるのは次の4点である。
(1)相手との親しさ
見ず知らずの相手に頼む場合は、親しい相手に頼む場合より遠慮した表現を使う。
(2)頼む事柄の難易度

(3)緊急度
相手に時間の余裕を与えないで頼む場合は、そうでない場合より遠慮した表現を使う。
(4)相手との上下関係
年齢や社会的地位が上の相手に頼む場合は、そうでない相手に頼む場合より遠慮した表現を使う。[1988:106]

◆…英語のYou had better....はずっと高圧的、ときには威嚇的な響きをもった表現である。…You'd better....が使われる場面は普通のアドバイスの場面ではなく、次の4つの場面である。
(1)脅し

(2)指図

(3)緊急時のアドバイス

(4)最終的な結論としてのアドバイス[1988:168-169]

◆断わる場合にはどのようにするのだろうか。相手の気分を害さないように断わるために、一般に、
(1)断わるということを露骨に言わない
(2)誘ってくれたことに対する礼を言い、応じたいのはやまやまであるということを表現する
(3)断わる理由を言い、残念だという気持ちを表現する
(4)相手が次の機会に言及したら、<ぜひ応じたい>という気持ちを強調する
の4点に注意が払われる。[1988:186-187]

◆変更しなければならないのが自分のせいである場合は相手に決定を委ね、許可を求める表現を使い、相手の都合や気分を十分に確認する。/相手に迷惑にならない場面では原則として謝らないというのが仕事のからまない関係での英語の予定変更のポイントである。何を迷惑と考えるかという点では日本語と違いがある。しかし、相手に与える不都合の度合いに応じて言葉を使い分けるという点では日本語と英語で違いはないと言える。[1988:248]

■書評・紹介

■言及



*作成:櫻井 浩子片岡 稔
UP:201000727 REV: 20101208 20131205 20140213 0310 0610 0612
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