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『人が人を殺すとき――進化でその謎をとく』

Daly, Martin; Wilson, Margo 1988 Homicide, A. de Gruyter.
= 19991130 長谷川 真理子・長谷川 寿一訳 新思索社, 511p.


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■Daly, Martin; Wilson, Margo 1988 Homicide, A. de Gruyter. = 19991130 長谷川 真理子・長谷川 寿一訳 『人が人を殺すとき――進化でその謎をとく』, 新思索社, 511p.  ISBN-10: 4783502188 ISBN-13: 978-4783502180 \5040 [amazon]

■内容(「MARC」データベースより)
だれが、だれを、なぜ殺すのか。人間の心理特性とそれらが暴走することで起こる殺人を事例や統計をあげて詳細に分析し、人と人との究極的な葛藤の姿を明らかにする。進化心理学による初の殺人研究。

■目次
第1章  殺人と人間の本性
第2章  血縁者に対する殺人
第3章  嬰児殺し
第4章  親による現代の子殺し
第5章  親殺し
第6章  殺しの動機は口論と名誉
第7章  殺しはなぜ男で女ではないのか?
第8章  男どうしの対立の論理
第9章  夫婦間の殺し
第10章 殺しへの仕返しと復讐
第11章 殺人者の責任を問う
第12章 殺人をめぐる文化の違い

■参考までに
◆David M. Buss 2005 The Murderer Next Door: Why The Mind Is Designed To Kill, Penguin.
= 200702 荒木 文枝訳 『殺してやる――止められない本能』, 柏書房.
◆shorebird 書評「The Murderer Next Door」

■紹介・引用
 人間にとって最も罪深い行為だというのに、なぜ人は殺し続けるのか。人が人を殺すとき、その背景には何があるのか。 だれもが抱くこの問いに対して、進化理論に答えの鍵を探ろうという試みが本書である
 人間社会の問題に、どうしてわざわざ進化理論を持ちだす必要があるのだろうか。まさにそこに、本書を理解して いただくポイントがある。枝葉をとりはらって一言でいうならば、進化的な視点を導入することによって、殺人という異常行為の奥に 横たわる人間心理――人の本性――の理解が深まり、それによってなぜ殺人が起きるのかが逆照射できる、というのがその答えである。 人を殺すことは、もちろん倫理的な意味において許されないだけでなく、進化生物学的な意味においてもけっして適応的ではない (進化生物学用語で言えば、人を殺すことで殺害者の包括適応度が上昇するわけではない)。人を殺めることの代償は、一般に、 それによって得られる利益よりも大きすぎるからである。人が人を殺すのは本能であるなどという単純な説明は、本書からは 最も遠い見解である。著者たちの立場は、殺人は、進化によって作られた人の本性がいわば誤作動することで生じる副産物であろう というものである。となると殺人それ自体よりもその奥にある人の適応的な心理特性の探求がより重要な問題となる。
 そこで本書において著者らは、血縁淘汰理論から予測される血縁者びいき、親の投資や生活史理論から予測される家族内葛藤、 性淘汰理論から予測される男性間競争や男性による配偶者コントロール行動といった人間の心理特性をまず説明し、 ついでそれらが暴走するとどのような殺人が生じるかをさまざまな事例や統計資料をあげながら詳細に分析していく。 このようなアプローチをとることによって、人間社会であれば文化を越えてどこでも生じるであろう、人と人の究極的な葛藤の姿が くっきりと浮かび上がってくる。こうして進化理論は、従来の社会科学では扱いあぐねていた通文化的な人の普遍性を予測し、 説明する有効なツールであることが示されるのである。(訳者あとがき、p.507-508.)



*作成:坂本 徳仁
UP: 20080802
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