『リハビリテーションの思想――人間復権の医療を求めて』
上田 敏 19870615 医学書院,147p.
■上田 敏 19870615 『リハビリテーションの思想――人間復権の医療を求めて』,医学書院,147p. ISBN-10: 4260243187 ISBN-13: 978-4260243186 1400 [amazon]/[kinokuniya] ※/横浜494.7-19 r02.
■目次
序章 私はいかにしてリハビリテーション医となったか
第1章 リハビリテーションの理念
第2章 リハビリテーション医学とは何か
第3章 障害・障害者・リハビリテーション的アプローチ
第4章 リハビリテーション医療を考える
終章 「治ること」と「よくなること」
■関連
◆立岩 真也 編 2017/07/26 『リハビリテーション/批判――多田富雄/上田敏/…』,Kyoto Books
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■引用
「リハビリテーションという言葉は最近ははやりのようになっているが、その本質が本当に理解されての上のことかと考えると必ずしも安心でぎない。リハビスというラテン語は、「ふさわしい」「適した」ということであり、リハビリテーションとは「ある人を再びその人の真の価値・能力にふさわしい地位・環境に置くこと」、あるいは逆に「ある人を再び立派な人間にふさわしい価値・能力・資格をもつものに仕立てあげること」を意味している。
いずれにせよ、単に手足の麻痺や日常生活動作の能力などの局限されたことが問題なのではなく、その人間全体としての価値や尊厳の回復、高い意味での「人間らしく生きる権利の回復」が問題なのである。その<0030<意味で最近私には、にわかに「復権」という言葉が好ましく思われてきた。リハビリテーションの訳として、『社会復帰』などという限定的な訳よりも、『復権』というほうが、かえってその本質をついているような気がしてきたのである。それでもさすがにまだ「私は復権医学をやっています」とか、「復権センターで働いています」とか言うまでには到っていない。」(上田[1969]*→上田[1987:26] 第2版、第2版増補版でも文章は同じ、位置が異なる)
「何にもまして、私が価値があると思うのは、老人の人間としての『復権』のためには、「どうせ……なのだから」という投げてかかるアプローチそのものを否定して、老人の、そして大部分が農民で教育も高くない老人さえもの、胸の底のどこかにひそんでいる人間としての誇り、尊厳、より高いものを求める心に、直接訴えかけていくことが必要だということを、悠生園の経験がはっきり示してくれたことである。私にはここに老人リハビリテーションの基本精神が、いや、あらゆるリハビリテーションの、さらにはあらゆる福祉事業というものの基本精神があるように思えてならない。
私には、いまも眼に浮かぶようなのだが、運命交響曲に取り組んで緊張して指揮者を見つめていた老人たちの活気のある眼、それはふつうの福祉患者の家畜のような従順な眼ではなく、まさに人間の、『復権』された人間のまなざしであったと思うのである。」(上田[1969]*→上田[1987:28] 第2版、第2版増補版でも文章は同じ、位置が異なる)
「悠生園での老人の『復権』をみて」,田中多聞[1969]*(序文)
*田中多聞 196909 『新老人福祉論』,社会保険出版社
◆上田 敏 20010615 『リハビリテーションの思想――人間復権の医療を求めて 第2版』,医学書院,185p. ISBN-10: 4260243985 ISBN-13: 978-4260243988 [amazon]/[kinokuniya] ※ r02.
◆上田 敏 20040401
『リハビリテーションの思想――人間復権の医療を求めて 第2版増補版』
,医学書院,190p. 2100+ ISBN-10: 4260244264 ISBN-13: 978-4260244268 [amazon]/[kinokuniya] ※ r02.
■言及