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『防災白書』

内閣府 1974-

last update:20120127


■総理府 (1974:昭和49年版)→国土庁 (1975:昭和50年版)→内閣府 (2001:平成13年版-) 『防災白書』, d10
・防災白書は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第9条第2項の規定に基づき、 政府が毎年国会に対して「防災に関してとった措置の概況」及び「防災に関する計画」の報告を行うものです。
・この頁は福祉避難所に関する情報を収集・整理するうえで作られたもので、『防災白書』の全体像を反映するものではありません。


■防災施設設備の整備予算の推移

防災施設設備の整備予算の推移棒グラフ


■引用

【1976(昭和51)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1977(昭和52)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1978(昭和53)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1979(昭和54)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1980(昭和55)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1981(昭和56)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1982(昭和57)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1983(昭和58)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1984(昭和59)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1985(昭和60)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1986(昭和61)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1987(昭和62)年】
p27
  2-3 災害と弱者
 昭和60年7月26日置発生した長野市地附山地すべり災害によって,老人ホームに居た26人のお年寄りが生き埋めになったことや,昭和61年7月31日に神戸市の精神薄弱者養護施設「陽気寮」の火災で寮生8人が焼死したことは記憶に新しいが,近年の災害を振り返って見ると,老人,乳幼児,傷病者,身体障害者などの社会的弱者が災害の発生時において犠牲になるケースが多くなっている。

  (1)災害弱者の現状>28>
 地震,風水害,火山災害,火災等の災害が発生した場合には,人的な被害を最少限に抑えるために,必要な情報を迅速かつ的確に把握し,災害から自らを守るために安全な場所に避難するなどの行動をとる必要がある。こうした災害時の一連の行動に対してハンディを負う人々,すなわち,
 @自分の身に危険が差し迫った場合,それを察知する能力が無い,または困難
 A自分の身に危険が差し迫った場合,それを察知しても救助者に伝えることができない,または困難
 B危険を知らせる情報を受けることができない,または困難
 C危険を知らせる情報が送られても,それに対して行動することができない,または困難
といった問題を抱えている人々が「災害弱者」と考えられる。
 このような観点からは,傷病者,身体障害者,精神薄弱者をはじめ日常的には健常者であっても理解能力や判断力を持たない乳幼児,体力的な衰えのある老人などの社会的弱者や,我が国の地理や災害に対する知識が低く,日本語の理解も十分でない外国人なども,「災害弱者」としてとらえるべきであろう。
 こうした「災害弱者」は近年増加しつつあり,現在の我が国におけるその数はおよそ2,700万人と推計され,われわれの5人にひとりは「災>29>害弱者」であると言える(表1-4)。特に,今後国際化,高齢化が進むにつれて外国人や老人の数は増加し,「災害弱者」の数もますます増加していくものと思われる。[...]

  (2)災害弱者対策の現状と課題
 災害弱者対策は,災害が発生した場合の対応能力におけるハンディキャップ―すなわち,災害を自ら覚知し,自分のとるべき行動を判断する,身体の安全を守るための行動をとるといった一連の行動を行うことが困難であるという弱点―をカバーするための対策ということになる。
 災害弱者は,災害そのものについて知ろうとしたり,災害から身を守る方法を自分で学んだり,訓練しようとしても,その手段や方法が非常に限られている。
 災害の発生等に関する情報の形態や伝達方法も,現状では災害弱者に確実に伝達され,理解されるような形になっていない場合が多い。
 また,災害弱者自身及び弱者の保護者や防災関係者は,大災害の発生時において,弱者が一人では避難できないということと,一方で,健康な一般の人々の身にも危険が及ぶような状況において一般住民にふだん交流のない弱者への確実な救援を期待するのは困難であることを認識しておかなければならない。
 東京都の調査によると,大地震の際の隣近所での助け合いや協力についての都民の意識として,病人や高齢者,心身障害者の避難に対する力添えが期待できるとした者は約2割で,できそうだとする者を加えても 5〜6割であり,できない,できそうもないと考えている者が3割以上いる。しかも,このような悲観的な見方は増加傾向にある(図1-16)。

p31 災害弱者対策としては,@災害弱者自身が自ら対応能力を高めるための防災知識・訓練の普及・啓発や,A災害弱者の対応能力を考慮した緊急警報システム,避難誘導システム等の資機材の開発・普及などの対策を講ずるとともに,B弱者や非居住者等を考慮した避難地,避難路等の防災施設の整備,C地域全体で災害弱者をバックアップする情報伝達、救助等の体制づくりなど,地方自治体や町内会等の地域のレベルに応じたきめの細かい対策が必要である。


【1988(昭和63)年】
p5
  (5)災害弱者の増加
 生活水準が向上し,豊かで便利な社会になっても,社会的にはもとより日常生活においても様々なハンディキャップをもつ人々が多数いることを忘れてはならない。特に災害の発生など非常時には,健康な一般の人々も危険に身をさらし,日常には求められないような特に迅速な情報伝達,適切な判断と敏速な行動が必要となるが,傷病者,身体障害者,精神障害者をはじめ,乳幼児,老人など,平常時においても介護や特別の配慮が必要な人々については,特に防災対策や緊急時の対応に際してその保護のための特別の配慮が必要となる。
 我が国社会は高齢化が進みつつあり,老人問題は様々な部面で深刻化巌ヨしてきているが,災害時にもその被災が目立ってきている。また国際化>6>に伴い,在日外国人も増加し,さらに都市化の進展,交流の活発化等により,不慣れな空間において行動する人々等も含めると,いわゆる「災害弱者」は今後ますます増加していくものと思われる。


【1989(平成1)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1990(平成2)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1991(平成3)年】
p123
  1-3 災害弱者と防災
  (1)災害弱者の現状
 災害が発生した場合には,人的な被害を最小限に抑えるために各人は必要な情報を迅速かつ的確に把握し,災害から自らを守るために安全な場所に避難するなどの行動をとる必要がある。こうした一連の行動に関してハンディキャップを負う人々,すなわち,
@自分の身に危険が差し迫った場合,それを察知する能力が無い,又は困難
A自分の身に危険が差し迫った場合,それを察知しても適切な行動をとることが出来ない,又は困難
B危険を知らせる情報を受けることができない,又は困難
C危険を知らせる情報を受け取っても,それに対して適切な行動をとることができない,又は困難
といった問題を抱えている人々が「災害弱者」と考えられる。
 このような観点からは,傷病者,身体障害者,精神薄弱者をはじめ,日常的には健常者であっても理解能力や判断力を持たない乳幼児体力的な>124>衰えのある高齢者や,我が国の地理や災害に対する知識が乏しく,日本語の理解も十分でない外国人なども,災害弱者としてとらえることができる。
 最近の災害による犠牲者をみると,例えば,平成元年中の火災による死者のうち,放火自殺者を除く死者総数の約57%が高齢者,乳幼児,病気又は身体不自由の者で占められている。また,昭和60年7月に発生した長野市地附山地すべり,62年6月に発生した「松寿園」火災等では,社会福祉施設が被災し,多数の高齢者が死亡するなど,災害弱者の犠牲が目立っている。さらに,平成2年7月の梅雨前線豪雨による熊本県一の宮町における犠牲者のうち約6割が高齢者であり,12月の千葉県茂原市におけるたつ巻災害によって,病院が破損し,入院患者が多数負傷したところである。
 こうした災害弱者は近年増加しつつあり,現在の我が国における災害弱者の数は,約2,800万人と推計される(表6-1)。特に,今後,21世紀にむけて高齢化,国際化が一層進展するなかで,災害弱者の数もますます増加し,将来,全人口の3割を超えることが予想される。現在でも,過疎地>125>域では,既に高齢者世帯の占める比率が著しく高くなっており,また,大都市の一部の地域においても,特に昼間の時間帯には,高齢者と子供のみが居住地にいるといった現象も見られる。
 さらに,旅行地等地理に不慣れな土地においては,すべての人が災害弱者となりうる要素を持っている。平成元年における国民1人当たりの旅行に伴う平均宿泊数は4.97泊であり,交流の活発化に伴い,これが今後増加することが予想され,いわば潜在的な災害弱者も増加していくであろう。
  したがって,災害弱者が社会の中でのごく少数の存在ではないということを前提とした災害対策を推進する必要がある。特に,最近,在日外国人が急増しており,これに対応した防災対策が求められている。これについてはBで詳述する。

  (2)災害弱者対策の課題
 災害弱者対策は,災害が発生した場合の対応能力におけるハンディキャップ―すなわち,災害を自ら覚知し,自分のとるべき行動を判断し,身体の安全を守るために行動するといった一連の活動を自ら迅速に行うこと が困難であるという弱点をカバーするための対策ということになる。
 災害弱者は,災害そのものについて知ろうとしたり,災害から身を守る方法を自分で学んだり,訓練しようとしても,その手段や方法が非常に限られている。
 災害の発生等に関する情報の形態や伝達方法も,現状では災害弱者に確実に伝達され,理解されるような形になっていない場合が多い。
 また,災害弱者自身及び弱者の保護者や防災関係者は,大災害の発生時において,災害弱者が一人では避難できないということと,一方で,健康な一般の人々の身にも危険が及ぶような状況において一般住民にふだん交流のない弱者への確実な救援を期待するのは困難であることを認識しておかなければならない。例えば,東京都の世論調査によると,大地震の際に隣近所での助け合いや協力についての都民の意識として,病人やお年寄りが避難する際の力添えができそうもないと考えている者が3分の1以上, 児童や幼児の一時的な保護ができそうもないと考えている者が4分の1以>126>上あり,しかも,このような悲観的な見方をする者が増加傾向にある(図6-16)。
 このような現実を踏まえて,災害発生時に,まず弱者自らができる限り独力で避難すること,次にそれができない場合には速やかに援助を受けられる協力体制を確立することが災害弱者対策として必要である。具体的には,次のような対策を講じていくことが必要である。
@災害弱者の避難を容易にするため,災害弱者を考慮した避難地,避難路,建築物,防火安全施設等の防災施設を整備すること。これについては,徐々に整備が進められてきており,また,昭和62年10月には社会福祉施設に係るスプリンクラー設備の設置義務範囲の拡大などを内容とした消防法施行令の改正が行われるなどの措置が講じられている。高齢者の増加に対応した,ソフト・ハード両面にわたる総合的な住宅の防災対 策も推進されつつある。さらに,生活環境整備において災害弱者に配慮し,災害発生時に彼らの安全が図れるようなまちづくりを行っていくことも重要である。
A災害発生時に,独力で避難するなどできるかぎり災害弱者自身が的確な行動をとれるよう,自らの対応能力を高めること。このためには,災>127>害弱者自身の防災意識を高めさせ,防災訓練への積極的な参加を呼びかけること,施設等においては,「社会福祉施設及び病院における防火管理体制指導マニュアル」などに従い,発災時の行動についての計画を定め,これに基づく防災訓練を定期的に行うこと,災害情報を的確に災害弱者に伝達する態勢を整備すること。これについては,最近,聴覚障害者向けの手話通訳付き防災啓発ビデオが作成されている。また,災害発生時に健常者が視聴覚障害者等を容易に誘導できるような工夫を行い,その方法を一般に普及することも重要である。
B緊急事態が発生した場合において消防機関等外部の者に通報するための,災害弱者の対応能力を考慮したシステムの構築を図ること。これについては,災害弱者と消防機関との間の緊急通報システムを構築しているところも現れており,また,社会福祉施設に設置されている自動火災報知施設の火災情報を直接消防機関に送るシステムの構築も進められているところである。また,視聴覚障害者等に対して必要な情報を伝達し, 避難誘導を容易にする消防用機器の研究開発・普及等を行っていくことも重要である。
C災害発生時に消防防災関係機関が現場に到着するまでの間,初期消火や応急救助が行えるよう,地域住民の協力による隣保共助体制づくりを進めること。特に,災害弱者一人で,又は彼らを抱える家庭のみでは災害弱者を安全に避難させることができない場合に,地域全体で災害弱者をバックアップする情報伝達,救助等の体制をつくること。これについては,昭和63年度の総合防災訓練で,社会福祉施設の近隣高校の生徒が,施設の身体障害者の避難に協力する内容の訓練を実施したところであり,また,マンツーマンの体制でひとり暮しの老人が安心して暮らせるように救護活動を行ったり,福祉活動や防災活動に役立つよう地区単位で「福祉防災地図」を作成し,災害弱者の把握を行ったりしている自主防災組織の活動事例など,地域ぐるみで共助体制の確立を図っているところも みられる。このように,地域全体で災害弱者をバックアップすることの必要性も認識され始めており,今後,このような積極的な災害弱者対策>128>を広く普及させていくことが重要である。


【1992(平成4)年】

p192
  2-3 災害弱者と防災
  (1)災害弱者の現状
 災害が発生した場合には,人的な被害を最小限に抑えるために,各人は必要な情報を迅速かつ的確に把握し,災害から自らを守るための行動をとる必要がある。こうした一連の行動に関してハンディキャップを負う人々,すなわち,
@自分の身に危険が差し迫った場合,それを察知する能力が無い,又は困難
A自分の身に危険が差し迫った場合,それを察知しても適切な行動をとることが出来ない,又は困難
B危険を知らせる情報を受けることができない,又は困難
C危険を知らせる情報を受けとっても,それに対して適切な行動をとることができない,又は困難といった問題を抱えている人々が「災害弱者」と考えられる。
 このような観点からは,傷病者,身体障害者,精神薄弱者をはじめ,日常的には健常者であっても理解能力や判断力を持たない乳幼児,体力的な衰えのある高齢者や,我が国の地理や災害に関する知識が乏しく,日本語の理解も十分でない外国人なども,災害弱者としてとらえることができる。
 最近の災害による犠牲者を見ると,例えば,平成2年中の火災による死者のうち,放火自殺者を除く死者総数の約57%が高齢者,乳幼児,病気又は身体不自由の者で占められている。また,平成2年7月の梅雨前線豪雨 による熊本県一の宮町における犠牲者のうち約6割が高齢者であり,さら に,12月の千葉県茂原市におけるたつ巻災害によって,病院が破損し,入院患者が多数負傷するなど,災害弱者の被害が目立っている。

p193
 こうした災害弱者は近年増加しつつあり,現在の我が国における災害弱者の数は,約2,900万人と推計される(表6-3)。特に,今後,21世紀にむけて高齢化,国際化が一層進展するなかで,災害弱者の数もますます増加し,将来,全人口の3割を超えることが予想される。
 さらに,旅行地等地理に不慣れな土地においては,すべての人が災害弱 者となりうる要素を持っている。
 したがって,災害弱者が社会の中でのごく少数の存在ではないということを前提とした災害対策を推進する必要がある。

  (2)災害弱者対策の課題
 災害の発生時においては,まず災害弱者自身が自らの身を守ることが必要であるが,弱者が一人で災害に対処することは多くの困難を伴うため, 地域住民や行政機関による支援も重要なものとなる。
 したがって,災害発生時に弱者自らが出来る限り独力で対処することが出来るよう条件整備を行うとともに,独力の対処が出来ない場合に速やか>194>に援助を受けられる協力体制を確立しておくことが求められる。このため には,地域住民や行政機関が災害弱者対策の重要性について十分な認識を持つことが必要である。
 具体的には,次のような対策を講じていくことが必要である。
@災害弱者の避難を容易にするため,災害弱者を考慮した避難地,避難路,建築物,防火安全施設等の防災施設を整備すること。これについては徐々に整備が進められてきており,また,昭和62年には社会福祉施設 に係るスプリンクラー設備の設置義務範囲の拡大などを内容とした消防 法施行令の改正などの措置が講じられている。高齢者の増加に対応した,ソフト・ハード両面にわたる総合的な住宅防災対策も推進されつつある。
 さらに,生活環境整備において,災害発生時に災害弱者の安全が図れるようなまちづくりを行っていくことも重要である。
A災害発生時に,独力で避難するなどできるかぎり災害弱者自身が的確な行動をとれるよう,自らの対応能力を高めること。このためには,災害弱者自身の防災意識を高めさせ,防災訓練への積極的な参加を呼びかけること,施設等においては,「社会福祉施設及び病院における夜間の防 火管理体制指導マニュアル」などに従い,発災時の行動計画を定め,防災訓練を定期的に行うこと,災害情報を的確に災害弱者に伝達する態勢を整備することなどが重要である。これについては,最近,聴覚障害者向けの手話通訳付き防災啓発ビデオや視覚障害者向けの防災点字読本及びテープが作成されている。また,災害発生時に健常者が視聴覚障害者等を容易に誘導できるような工夫を行い,その方法を一般に普及することも重要である。
B緊急事態が発生した場合において消防機関等外部の者に通報するための,災害弱者の対応能力を考慮したシステムの構築を図ること。これについては,災害弱者と消防機関との間の緊急通報システムを構築している例もあり,また,社会福祉施設に設置されている自動火災報知設備の火災情報を直接消防機関に送るシステムの構築も進められている。また,視聴覚障害者等に対して必要な情報を伝達し,避難誘導を容易にする消>195>防用機器の研究開発・普及等を行っていくことも重要である。
C災害発生時に防災関係機関の職員が現場に到着するまでの間,初期消火や応急救助が行えるよう,地域住民の協力により災害弱者をバックアップする隣保共助体制づくりを進めること。これについては,昭和63年度の総合防災訓練で,社会福祉施設の近隣高校の生徒が,施設の身体障害者の避難に協力する内容の訓練を実施したところであり,また,平成3年度には,防災機関とボランティアなどが一体となり,社会福祉施設避難誘導訓練が行われた。他方,福祉活動や防災活動に役立つよう地区単位で「福祉防災地図」を作成し,災害弱者の把握を行ったりしている自主防災組織の活動事例,事前に登録されたボランティアが災害時に弱者を救援するという仕組みを設けている事例など,地域ぐるみで共助体制の確立を図っているところもみられる。
さらに,
D災害弱者以外の人々に災害弱者対策の重要性に関する意識啓発を行うこと。まず,福祉関係者など,災害弱者と接する機会の多い人々の更なる防災意識の高i揚を図り,福祉業務に防災の視点を生かしていくことが重要である。これに関しては,複数の老人福祉施設で,災害発生時の施設相互間の職員派遣や被災者の一時収容,通常時に合同の防災訓練を行うことなどを内容とする応援協定を結ぶという事例も現れている。さらに一歩進めて,災害弱者対策について,一般の人々の意識高揚を図ることも重要である。これについては,地方公共団体において「高齢者防火推進週間」を設けている事例,また,「高齢化社会と防災」に関するシンポジウムを開催している事例などがあり,災害弱者や福祉関係者を対象とするのみならず,一般の人々へも啓発活動が行われている。
E行政機関においても効果的な対応を図ること。まず,個人のプライバシー保護には十分に配慮しつつ,災害弱者の情報を収集し,実態把握に努めることも必要であろう。これについては,災害弱者のうち希望者を,災害時における支援対象者名簿に登録し,これを基に災害時の支援体制を決めている事例が参考になろう。また,行政実務者向けの災害弱者指>196>導マニュアルを作成している事例もある。


【1993(平成5)年】
p200
  (2)高齢者及び身体障害者の増加
 平成2年,全国の65歳以上人口は1,489万人,同比率は12%となっている。昭和55年では9%であり,高齢化は着実に進行している。一方,人口集中地区の65歳以上人口比率は,昭和55年で8%,平成2年は10%となっており,都市的な地域においても高齢化は進行しているものの,現時点では,都市的ではない地域よりはその水準は低い。しかし,人口動態が現在のままと仮定して推定すると,近い将来都市の方が都市以外の地域よりも高齢化が進行するといわれている。
 また,近年は高齢者の生活も多様になり,65歳以上の就業者数は昭和55年の274万人から,平成2年には357万人へと増加している(総務庁「労働力調査」)。このような就業や社会参加等の活動の増大に伴い,高齢者の外出時間も昭和55年と平成2年を比較すると,平日で60分(60〜69歳)長く>201>なってきており(NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」),高齢者の絶対数の増加とともに,活動量も増加しているということができ,必ずしも高齢者=地域に残された在宅者という認識は正しくなくなってきている。
 東京消防庁の調査によると直下型地震の不安を感じている者は,20代男性で35.7%,女性で43.8%なのに対し,60代男性で51.8%,女性で63.6%70代以上では,男性で63.4%,女性で72.3%となっており,高齢者ほど直下型地震に対する不安が大きいのが特徴である(東京消防庁=「消防に関する世論調査」(平成4年))。また,高齢者の地震に対する備えの有無をみると(図6-17),高齢者ほど,地震に対する備えを行っているということがわかる。
 一方,総理府の世論調査によると,子供との住まい方について,子供とは離れて住むという意向をもつ者の割合は,大都市で15.5%なのに対し町村では9.6%,簡単に往来できるところに住むという意向をもつ者の割合は,大都市で36.8%なのに対し町村では20.0%,同居を望む者の割合は大都市で11.1%なのに対し町村では36.7%となっており(総理府「長寿社会に関する世論調査」(平成3年9月)),住宅事情の違いもあるが,今後,都市的地域ほど一人暮し高齢者あるいは高齢者のみの世帯が多くなることが予想される。また,東京都区部のある消防署のアンケート調査によると,一人暮しの高齢者の半数は,地震が起きた時一番頼りになるのは近所の人であると答えているが,4人に1人は,いざというときに果して助けてもらえないのではないかという不安をもっている。
 このように,都市的地域に居住する高齢者は災害に対する備えが高く,自立した生活を望むものが多いが,近隣扶助意識の低下も実感しており,いざというときに若年者のように行動できないことに対して不安を感じているといえる。
 高齢化の進展と医療の進歩による生存率の高まりの結果,身体障害者の数も大きく増加し,昭和35年には,83万人であったが,昭和55年には,198万人,平成3年には272万人となっている。また,「国連・障害者の十年」
などの諸活動に伴う,ノーマライゼーションの進行により,一般民間企業>202>による障害者の雇用数は,昭和56年の14万人から平成3年には21万人に増加しており(労働省調べ),高齢者同様に数の増加のみならず,活動量が増加しているといえる。

  (3)災害弱者と防災対策
 都市を構成する人間は多様になり,その中にはいわゆる「災害弱者」も多く含まれている。「災害弱者」とは,
 @自分の身に危険が差し迫った場合,それを察知する能力が無い,又は困難
 A自分の身に危険が差し迫った場合,それを察知しても適切な行動をとることが出来ない,又は困難
 B危険を知らせる情報を受けることができない,又は困難
 C危険を知らせる情報を受けとっても,それに対して適切な行動をとることができない,又は困難
といった問題を抱えている人々と考えられる。
 このような観点からは,傷病者,身体障害者,精神薄弱者をはじめ,日常的には健常者であっても理解能力や判断力を持たない乳幼児,体力的な衰えのある高齢者や,我が国の地理や災害に関する知識が乏しく,日本語の理解も十分でない外国人なども,いわゆる「災害弱者」としてとらえることができる。
 例えば,平成3年中の火災による死者のうち,放火自殺者を除く死者総数の約59%が高齢者,乳幼児,病気又は身体不自由の者で占められているように,近年は,災害弱者の被害が目立っている。
 これまでに述べてきたように,こうした災害弱者は近年増加しつつあり,現在の我が国における災害弱者の数は,約2,900万人と推計される(表6-3)。特に,今後,21世紀にむけて高齢化,国際化が一層進展するなかで,災害弱者の数もますます増加し,将来,全人口の3割を超えることが予想されるうえに,旅行地等地理に不慣れな土地においては,すべての人が災害弱者となりうる要素を持っており,災害弱者が社会の中での趣く少数の存在ではないということを前提とした災害対策を推進する必要がある。>204>
 ただし,高齢者の数及び行動量の増加や外国人の増加に伴う諸制度の整備によって,現在「災害弱者」としてとらえている者の性格が今後,時代とともに大きく変化し,必ずしも「弱者」という表現が適切とはいえない場合も有り得るということは,十分考慮する必要がある。
 災害弱者対策の課題としては,災害の発生時においては,まず災害弱者自身が自らの身を守ることが必要であるが,弱者が一人で災害に対処することは多くの困難を伴うため,地域住民や行政機関による支援も重要なものとなる。したがって,災害発生時に弱者自らが出来る限り独力で対処することが出来るよう条件整備を行うとともに,独力の対処が出来ない場合に速やかに援助を受けられる協力体制を確立しておくことが求められる。
このためには,地域住民や行政機関が災害弱者対策の重要性について十分な認識を持つことが必要である。
 具体的には,次のような対策を講じていくことが必要である。
@災害弱者の避難を容易にするため,災害弱者を考慮した避難地,避難路,建築物,防火安全施設等の防災施設を整備すること。
A災害発生時に,独力で避難するなどできるかぎり災害弱者自身が的確>205>な行動をとれるよう,自らの対応能力を高めること。
B緊急事態が発生した場合において消防機関等外部の者に通報するための,災害弱者の対応能力を考慮したシステムの構築を図ること。
C災害発生時に防災関織関の職員が現場に到着するまでの間,初期消火や応急救助が行えるよう,地域住民の協力により災害弱者をバックアップする隣保共助体制づくりを進めること。
D災害弱者以外の人々に災害弱者対策の重難に関する意識啓発を行うこと。
E行政機関においても災害弱者の実態把握こ努めるなど効果的な対応を図ること。


【1994(平成6)年】
 ※災害弱者に関する記述は在日外国人のみで、障害者・高齢者に関する言及なし


【1995(平成7)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1996(平成8)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1997(平成9)年】
p240 
  (2)災害弱者へのきめ細かい防災広報
 阪神・淡路大震災では災害弱者が非常に厳しい状況に置かれたことから,応急対策における災害弱者への配慮が求められている。予防対策としての広報活動においても,高齢者,障害者,外国人等へのきめ細かい広報を行うことが必要である。
 「障害者向けに点字パンフレット,音声テープ,手話付きビデオ」「外国人向けに,言語への対応が可能なパンフレット・小冊子・マニュアルの利用」「児童生徒向けに,ビデオ・映画の利用」などが実際に実施され>241>るとともに,内容面でもそれぞれの対象に適切な内容にすることに留意されている。
 災害弱者と言ってもその状況はさまざまである。正しい防災知識を伝えるためには,対象者のセグメント化を行い,それぞれの対象毎にきめ細かい広報を実施することが求められている。例えば,高齢者など個々の状態に適した非常用食料の準備,視覚障害者や下肢不自由者にとって安全な避難路,視覚障害者や聴覚障害者のように情報入手が困難な場合における代替手段といった内容の検討とともに,テレビやビデオ広報の字幕化など普及手段についても配慮が必要である。


【1998(平成10)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【1999(平成11)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【2000(平成12)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【2001(平成13)年】
 ※障害者に関する主だった記述なし


【2002(平成14)年】
第1部 > 第3章 国民の防災活動
3−2自主防災組織の活動
 自主防災組織は,平常時においては防災訓練の実施,防災知識の啓発,防災巡視,資機材等の共同購入等を行い,災害時においては,初期消火,住民等の避難誘導,負傷者等の救出・救護,情報の収集・伝達,給食・給水,災害危険箇所等の巡視等を行うこととしている。
◎ 平常時の自主的な防災活動
 京都府京都市の「春日学区自主防災会」は,高齢者や障害者の防災対策をきめ細かく行うため各町の自主防災部ごとに「防災名簿の作成」,「福祉防災地図の作成」,「防火訪問」を行うとともに月一度「防災教室」を開催する等,地域の防災力の向上に向けた自発的な取り組みを行っている。
[...]
(1) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年5月8日 法律第57号)
[...]
 土砂災害は毎年各地で約1,000件発生しており,そのような災害の発生するおそれのある土砂災害危険箇所は,約18万件あり,全国約9割の市町村に存在する。また,近年の土砂災害の特徴として迅速な避難の困難な高齢者,障害者等いわゆる災害弱者が被災者に占める割合は増加傾向にあり,少子高齢社会を念頭においた施設整備やソフト対策が強く求められている。さらに,新たな宅地開発等に伴い,危険箇所は年々増加しており,その全ての危険箇所を対策工事によって安全にしていくには膨大な時間と費用が必要となる。このため,人命を守るためには土砂災害防止工事によるハード対策と併せて,土砂災害の危険性のある区域を明らかにし,その中で警戒避難体制の整備や危険な箇所への新規住宅等の立地規制等のソフト対策を充実させていくことが重要となっている。
 このことから,土砂災害のおそれのある区域についての危険の周知,警戒避難体制の整備,住宅等の新規立地の抑制,既存住宅の移転促進等のソフト対策に関する新たな法制度として「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」が成立し,既存の事業関連諸制度と相まって総合的な土砂災害対策を講じることになった(平成13年4月1日施行)。
[...]
第2部 > 第4章 災害予防
1−4 その他
(13) 災害の場合の放送についての要請
 総務省においては,放送事業者に対して,非常災害時において放送が果たすべき重要な役割を確保できるよう万全の措置を講じると共に,外国人,視聴覚障害者等に対する配慮を行うよう要請した。


【2003(平成15)年】
4 自然災害対策
4−1 災害対策
(e)防災上危険な密集市街地に存する住宅・建築物等の防災安全性に関する調査(緊急地域雇用創出特別交付金事業の活用による耐震診断の実施)
 防災上危険な密集市街地に存する住宅や学校・社会福祉施設等防災上重要な公共施設の耐震性を把握し,地域における避難,救援・救助活動等の計画に的確に反映させるため,地方公共団体が,緊急地域雇用創出特別交付金(基金)事業のひとつとして,民間事業者等に委託して技術員及び補助作業員を雇用し,建築物等の耐震診断等下記の事業を実施し,地域の防災安全性の向上を図っている。[...]
[3] 高齢者・障害者等が利用する医療施設,社会福祉施設等の耐震診断
[...]
第1部 > 第3章
3−2 住宅地
(2)「防災」を手がかりとした地域活動
a 自主防災組織等による活動
 東京都葛飾区堀切においては,阪神・淡路大震災における密集市街地(神戸市長田区等)における建物倒壊や火災を教訓として,自主防災組織が,「わが町の防災マニュアル」の作成,防災ニュースの定期刊行等を行っている(http://matsubara.com/bousai/menu.html)。
 また,東京都荒川区では,救助資機材を有するレスキュー隊が住民により組織されている。高齢者等が多い地区であることから,自力で避難が困難な高齢者や障害者等の要救護者の救護をレスキュー隊と地域住民が協力して行う避難体制(「おんぶ作戦」)が昭和59年頃から整備(平成15年4月現在,58隊)されている(http://www.jah.ne.jp/%7Ebousai-c/frame_c2.htm)。
[...]
第2部 > 第4章
1−4 その他
(18)災害弱者施設の防災対策強化のための検討
 消防庁においては,地方公共団体における高齢者や障害者等の災害弱者に配慮した防災対策について取組状況の調査を行った。 (国費 3,380千円)
[...]
3−3 その他
(13)災害弱者関連施設に係る防災対策の推進
 平成11年1月に都道府県知事等宛に発出した共同通達(文部省,厚生省,林野庁,建設省,消防庁)を受け,次の対策を行った。
a 農林水産省においては,災害弱者施設に係る農地の保全に係る地すべり危険箇所の周知等,地すべり対策事業等による防災対策を推進した。また,高齢者や障害者等の災害弱者の入居する災害弱者関連施設を保全するため,治山事業を重点的に実施した。
[...]
(3)災害弱者関連施設に係る防災対策の推進
 「災害弱者関連施設に係る複合的な土砂災害対策の実施について」(平成11年1月,文部省,厚生省,林野庁,建設省,消防庁 共同通達)等を受け,次の対策を図る。
a 農林水産省においては,災害弱者施設に係る農地の保全に係る地すべり危険箇所の周知等,地すべり対策事業等による防災対策を推進する。また,高齢者や障害者等の災害弱者の入居する災害弱者関連施設を保全するため,治山事業を重点的に実施する。
b 国土交通省においては,被害想定区域内にある災害弱者関連施設の管理者等に対して,市町村と協力して地域防災計画に基づき警戒避難体制の整備を行うよう指導するとともに,自力避難が困難な者が入所・入院している施設等を保全対策に含む緊急的に対応すべき箇所について警戒避難体制を確立する情報基盤の整備や砂防設備等の整備を実施する。


【2004(平成16)年】
第1部 > 第1章
3−6 台風第14号
(1)災害の状況
 社会福祉施設等では,児童福祉施設21か所,老人福祉施設11か所,障害者施設4か所に被害が発生した。
3−7 十勝沖地震
(1)災害の状況
 社会福祉施設等では,老人福祉施設10か所,児童福祉施設30か所,障害者施設10か所に被害が発生した。
★2004年以後、その年に会った災害による被災状況として障害者施設の被害が災害白書に掲載されるようになる(以後、抜書き省略)

第1部 > 第2章
4 自然災害対策
4−1 震災対策
c 住宅等の耐震性の向上
 阪神・淡路大震災においては犠牲者の8割以上が住宅等の倒壊によるものであったことから,現在震災対策を推進する上で住宅等の耐震性の向上が最重要課題の一つとなっている。このため,下記の施策等により,住宅等の耐震診断・耐震改修の推進を図っている。[...]
[3]高齢者・障害者等が利用する医療施設,社会福祉施設等の耐震診断

第1部 > 第3章
5 防災まちづくりの推進
(2)防災まちづくりモデル調査事業
d 平塚地区
平塚における地域防災の多様な取り組み[...]
 ・障害者,在日外国人など災害時要援護者への支援検討

第2部 > 第4章
3−3 その他
(13)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進
 平成11年1月に都道府県知事等宛に発出した共同通達(文部省,厚生省,林野庁,建設省,消防庁)を受け,次の対策を行った。
a 農林水産省においては,災害時要援護者施設に係る農地の保全に係る地すべり危険箇所の周知等,地すべり対策事業等による防災対策を推進した。また,高齢者や障害者等の災害時要援護者の入居する災害時要援護者関連施設を保全するため,治山事業を重点的に実施した。


【2005(平成17)年】
第1部 > 序章
3−2 ハザードマップで災害リスクを知る[...]
 ハザードマップの成果については,印刷物,インターネット,ワークショップ等の多様な手段を用いて住民等への周知を行うことは当然であるが,その際には,身体障害者や高齢者,子供,外国人などや,観光客,ドライバー等の住民以外への周知方法についても適切な取組みを進める必要がある。

第1部 > 第1章
3−2 平成16年7月新潟・福島豪雨
(1)災害の状況
 社会福祉施設等では,老人福祉施設10か所,児童福祉施設18か所,障害者施設10か所に被害が発生した。
[...] ★災害ごとの被災状況の記述
3−12 平成16年(2004年)新潟県中越地震
(1)災害の状況
社会福祉施設等では,老人福祉施設63か所,児童福祉施設197か所,障害者施設46か所,その他福祉施設7か所に被害が発生した。
(2)国等の対応状況
厚生労働省は,10月23日19時05分,災害対策本部を設置し,国立病院機構災害医療センター,国立国際医療センターほか,各地の医療センター,病院より医療班を現地に派遣する等により医療支援活動を実施,また,被災者のPTSD対策を含むこころのケア対策を,専門家らを現地に派遣すること等により実施した。また,被災者に対する健康管理体制を支援するため,専門官を現地に派遣するとともに,県外の保健師派遣について調整した。高齢者,障害者等の要援護者への緊急的対応について,関係各機関に要請及び通知を行った。労働・雇用関係においては「新潟県中越地震特別労働相談窓口」を設置する等の対応を実施,労働保険,社会保険関係においても弾力的運用を指示した。

第1部 > 第2章 >
4−4 風水害対策
COLUMN  災害時要援護者の避難支援〜情報共有の取組み〜
  「集中豪雨時等における情報伝達及び高齢者等の避難支援に関する検討会(座長:廣井修東京大学大学院教授)」の検討成果においては,現在,市町村等では以下の三つのパターンにより災害時要援護者情報の共有に取り組んでいることを紹介している。
 例えば,愛知県豊田市は,介護保険の要介護3〜5の認定者のうち居宅介護の者,一人暮らし高齢者登録者等を対象に,要援護者本人又は家族から希望のあった者を登録するとともに(手上げ方式),一人暮らし高齢者に対しては民生・児童委員が戸別訪問を実施している(同意方式)。
 また,神奈川県横須賀市は,個人情報保護条例に基づき個人情報保護審議会に諮問し,了承を得た上で,福祉関係部局が保有する一人暮らし高齢者,重度障害者,要介護認定者情報等を防災関係部局と共有している(共有情報方式)。
 同報告では,避難支援プランを整備するため,市町村は,本人の同意を得て収集した情報を防災関係部局,福祉関係部局等で共有することを基本としながらも,早急な整備が不可能な場合や,同意が得られない要援護者への対策として,共有情報方式と併用することも必要であるとしている。
 また,要援護者の理解を深め,避難支援プランの策定や避難支援者間での情報共有についての同意を得るためには,平時から接している社会福祉協議会,民生委員,介護保険制度関係者,障害者団体等の福祉関係者の協力が重要であり,さらに,要援護者本人から同意を得た避難支援者間で平時から情報共有しておくことも重要であるとしている。
[...]
7−2 阪神・淡路大震災の経験と対応
(1)災害対策の基本的な法令・制度・体制の見直し
a 災害対策基本法の改正 
平成7年6月及び12月の2回にわたり大幅な改正が行われた。具体的には,政府の災害対策本部に関連して,内閣総理大臣が本部長となる「緊急災害対策本部」の設置要件の緩和や現地災害対策本部の法定化などの政府の災害対策本部の充実・強化,市町村長による都道府県知事に対する自衛隊の災害派遣要請の法定化などの地方公共団体の防災対策の強化,一定区域全域の道路に対し包括的に一般車両の通行を禁止することができるようにするなどの交通規制の強化,さらには自主防災組織やボランティアによる防災活動の環境整備や高齢者,障害者等への配慮事項の追加などに関する改正がなされた。
[...]
第3部 > 第3章
1−4 その他
(29)IT革命に対応した緊急通報等のあり方に関する検討
 消防庁においては,IP電話の普及や携帯電話の高機能化などの新しい通信手段の需要を踏まえ,IP電話や携帯電話等からの119番発信地表示システム,聴覚障害者などの災害時要援護者からのメール通報受信システムなど緊急通報のありかたについて検討し,実験システムの試作と稼働実験を行う。


【2006(平成18)年】
第1部 > 序章
2−2 地震から命と暮らしを守る
(3)命と暮らしを守る機能を確保する(官民の事業継続計画(Business Continuity Plan: BCP)は社会的責務)
 地震が発生した際には,自らの身は自ら守る,家族や周囲の高齢者や障害者等の災害時要援護者などを助ける,自助や共助の活動が命や暮らしを守る上での欠かせない大原則であるが,同時に,多くの命を守るための様々な公共的サービスが求められる。
[...]
2−4 高齢者等災害時要援護者の命と暮らしを守る
(災害時要援護者対策の課題と対策の進展)
 近年の災害において高齢者の被害が大きな割合を占めており,また,今後の急速な高齢化によりこうした傾向が拡大することが懸念される状況などにかんがみ,災害被害を軽減するために高齢者,障害者等の災害時要援護者対策を充実強化することは喫緊の課題である。特に,災害対策における防災関係部局と福祉関係部局その他の関係団体との連携を深め,要援護者の命を守るための情報(要援護者の所在,情報伝達体制,必要な支援内容等)について,予め適正に共有し,要援護者一人ひとりの避難支援プランを策定するなど,災害時の迅速かつ円滑な避難支援を確保する体制を整備する必要がある。
 このため,内閣府では,平成16年の新潟や福井等における一連の風水害における状況等を踏まえ,関係省庁と連携し,平成17年3月に「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」をとりまとめ,@情報伝達体制の整備,A災害時要援護者情報の共有,B災害時要援護者の避難支援計画の具体化について,地方公共団体,特に市町村の取組の促進に努めてきた。さらに,有識者からなる災害時要援護者の避難対策に関する検討会において,新潟県中越地震や昨年の台風第14号,平成18年豪雪等における状況等を踏まえつつ,上記3項目のさらなる充実とともに,C避難所における支援,D関係機関等の間の連携に関する検討も加え,本年3月に報告をとりまとめ,上記ガイドラインの改訂を行った。
  災害時要援護者の避難支援ガイドラインの概要
 今回のガイドラインの改訂では,具体的な対策として,避難所において要援護者用窓口を設置し,要援護者からの相談対応,確実な情報伝達と支援物資の提供等を実施すること,その際,女性や乳幼児のニーズを把握するため,窓口には女性も配置することを掲げている。また,発災による居住環境の急激な変化,孤立や孤独の不安が解消されるよう,災害時における福祉サービスの継続を確保する必要があり,要援護者避難支援連絡会議(仮称)等を通じ,市町村の災害時要援護者支援班,保健・医療機関,保健師,看護師,社会福祉協議会,介護保険制度関係者,自主防災組織,民生委員,障害者団体,関係企業,ボランティア,NPOなどの様々な関係機関等の間の連携を深めることとしている。さらに,要援護者情報の共有を図るため,関係機関共有方式(地方公共団体の個人情報保護条例において保有個人情報の目的外利用・第三者提供が可能とされている規定を活用し,要援護者本人から同意を得ずに平常時から関係機関等の間で共有する方式)の積極的活用などを呼びかけている。
  関係機関共有方式による情報共有の進め方例
 これらガイドラインに沿った取組の推進には,市町村の役割が重要であり,市町村長の指導力が求められるとともに,地域全体の理解と協力が不可欠であり,行政と地域コミュニティが一体となった支援活動がさらに進められることが期待される。
[...]
(災害時にもユニバーサル・デザインの発想を)
 このように,災害時に避難支援等が必要な高齢者,障害者,外国人,乳幼児,妊産婦等への対策は,安全な社会の基本である。高齢化の進展により災害犠牲者の多くが高齢者となっている現状にかんがみても,「どこでも,だれでも,自由に,使いやすく」というユニバーサル・デザインの考え方を,平常時の社会システムのみならず,災害時にも取り入れ,要援護者のニーズに配慮した対策を進めることが,災害被害を軽減する大きな要素となる。こうした視点を重視し,誰もが安心できる安全な国づくりに,社会の各界各層が一段の認識を深めなければならない。

第1部 > 第2章
 2−4 災害時要援護者対策
(1)「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」に沿った取組の促進等
 平成16年の梅雨前線豪雨,一連の台風等における被災状況を踏まえると,近年の特徴として,高齢者等の災害時要援護者の被災が多いことが問題となっている。また,要援護者の避難支援については,@防災関係部局と福祉関係部局等の連携が不十分であるなど,要援護者や避難支援者への情報伝達体制が十分に整備されていないこと,A要援護者情報の共有・活用が進んでおらず,また,プライバシー保護の観点から共有者が限定されており,発災時の活用が困難なこと,B要援護者の避難支援者が定められていないなど,避難行動支援計画・体制が具体化していないこと,の3つが大きな問題点として挙げられた。
 このため,有識者からなる検討会において検討を進め,平成17年3月,@高齢者等の避難に時間がかかる方々が避難を開始するとともに,その他の方々は避難準備を開始することを求める「避難準備(要援護者避難)情報」の発令,A市町村に「災害時要援護者支援班」を設けることによる,情報伝達体制の整備,B同意方式,手挙げ方式,共有情報方式の3つの方式を併用することによる,平時から災害時要援護者情報の収集・共有を進めること,C一人ひとりの災害時要援護者に対して複数の避難支援者を定めるなど,具体的な避難支援計画(避難支援プラン)を策定することなどをとりまとめた「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」が策定され,同月,中央防災会議に報告された。
 同ガイドラインについては,策定後直ちに地方公共団体に通知した後,防災基本計画を修正し,検討成果が反映された。また,市町村等関係者に対する研修等を実施するとともに,モデル的な取組等も実施し,避難支援プラン作成のノウハウを整理して,地方公共団体に提供するなど,市町村を中心とした災害時要援護者の避難支援体制の整備に向けた取組の促進を図った。
(2)災害時要援護者の避難対策に関する検討会と「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」の改訂
 災害時要援護者の避難対策を更に進めていくためには,福祉避難所の設置・活用も含め,避難所での災害時要援護者の支援体制を整備・充実していくとともに,保健・医療機関,保健師,看護師,社会福祉協議会,介護保険制度関係者,自主防災組織,民生委員,障害者団体,関係企業,ボランティア,NPO等の様々な関係機関等の間の連携を強化し,避難支援ガイドラインに沿った取組を更に発展させていくことが重要となっている。
 そのため,有識者からなる検討会を新たに立ち上げ,学識経験者,関係省庁,地方公共団体,ライフライン事業者,障害者団体等の様々な関係者等とともに,平成16年10月に発生した新潟県中越地震や平成17年9月の台風第14号,さらには平成17年12月からの記録的な大雪等における状況も踏まえながら検討を進めた。そして,平成18年3月,@避難所における要援護者用窓口の設置,A災害時における介護保険関係業務等の福祉サービスの継続,B要援護者避難支援連絡会議(仮称)を通じた連携の構築,C災害時要援護者情報の収集・共有に関する関係機関共有方式(旧:共有情報方式)の積極的活用等などを盛り込んだ報告書をとりまとめた。併せて,平成17年3月にとりまとめた「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」も改訂し,これらの検討成果を盛り込むとともに先進的な取組事例の追加等が行われた。避難支援ガイドラインは,地方公共団体に通知するとともに,本年4月,中央防災会議にも報告されている。
 これらの検討成果と「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」については,策定後直ちに内閣府,消防庁,厚生労働省の連名で地方公共団体等へ通知し,各種会議・研修を通じて浸透を図るとともに,市町村を中心とした災害時要援護者の避難支援体制の整備に向けた取組を関係府省が連携して更に支援していくこととしている。
[...]
第2部 > 第4章 災害予防
3−3 その他
(13)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進
 平成11年1月に都道府県知事等宛に発出した共同通達(文部省,厚生省,林野庁,建設省,消防庁)を受け,次の対策を行った。
a 農林水産省においては,災害時要援護者関連施設に係る農地の保全に係る地すべり危険箇所の周知等,地すべり対策事業等による防災対策を推進した。また,高齢者や障害者等の自力避難が困難な者が入居する災害時要援護者関連施設を保全するため,治山事業を重点的に実施した。
b 国土交通省においては,被害想定区域内にある災害時要援護者関連施設の管理者等に対して,市町村と協力して地域防災計画に基づき警戒避難体制の整備を行うように指導するとともに,自力避難が困難な者が入所・入院している施設等を保全対策に含む緊急的に対応すべき箇所について警戒避難体制を確立する情報基盤の整備や砂防設備等の整備を実施した。
[...]
第3部 > 第3章 災害予防
1 災害一般共通事項
1−1 教育訓練
(14)災害支援ボランティアリーダー養成研修事業
 厚生労働省においては,災害発生時,障害者に対するきめ細やかな支援活動に資するよう,救助・支援活動をサポートするボランティアリーダーを養成する事業を実施する。(財団法人大阪府地域福祉推進財団に運営を委託している国際障害者交流センターにおいて実施。)
[...]
3−3 その他
(2)災害時要援護者の支援対策
 内閣府においては,平成17年度に行った「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」の改訂等を踏まえ,制度の普及・啓発を図るとともに,先進的・積極的な取組事例の収集を行うなど,国,都道府県,市町村をはじめとする関係機関等の避難支援体制の整備に向けた取組の促進を図る。


【2007(平成19)年】
第1部 > 序章
2 生活空間や社会構造の変化
2)世帯や家族行動の変化に伴う課題
@ 高齢者の増加などにみる災害時要援護者の課題
 高齢化がますます進展している。全人口に占める65歳以上の高齢者の比率は,平成17年には20%を超え,我が国は世界一の高齢国となった。その中でも,一人暮らしの高齢者は10年前の2倍近くに増加し,400万人を超え,高齢者男性の10人に1人,高齢者女性の5人に1人が一人暮らしとなっている(図表6参照)。さらに,高齢者で在宅の身体障害者の数は,昭和62年から平成13年の15年間で約2倍に増加している。
 高齢者は一般的に避難により多くの時間を要する場合や避難するために特別の支援を必要とする場合が多い。高齢者の被災を防ぐためには,災害発生時において高齢者が適切かつ迅速に避難できるよう,早期の情報提供や地域が高齢者を支える体制の整備などが必要である。

3−7 平成19年(2007年)能登半島地震
(1) 災害の状況
 社会福祉施設等では,高齢者関係施設32 施設,児童関係施設68 施設,障害者関係施設20 施設,その他社会福祉施設2 施設に被害が発生した。

2−4 災害時要援護者対策
(1) 「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」に沿った取組の促進等
 平成16年の梅雨前線豪雨,一連の台風害等における被災状況を踏まえると,近年の特徴として,高齢者等の災害時要援護者の被災が多いことが問題となっている。また,避難勧告等の情報伝達や高齢者等の避難支援についての課題が明らかになっている。
 このため,有識者からなる検討会において検討を進め,平成17年3月,@「避難準備(要援護者避難)情報」の発令や,「災害時要援護者支援班」の設置などの情報伝達体制の整備,A同意方式,手上げ方式,共有情報方式による平時から災害時要援護者情報の収集・共有,B一人ひとりの災害時要援護者についての避難支援計画(避難支援プラン)の具体化などを取りまとめた「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」が策定され,同月,中央防災会議に報告した。また,防災基本計画を修正し,検討結果が反映された。
 災害時要援護者の避難対策を更に進めていくためには,福祉避難所の設置・活用も含め,避難所での災害時要援護者の支援体制を整備・充実していくとともに,自主防災組織や福祉関係者等の様々な関係機関等の間の連携を強化し,避難支援ガイドラインに沿った取組を更に発展させていくことが重要となっている。
 そのため,有識者からなる検討会を新たに立ち上げ,平成16年10月に発生した新潟県中越地震や平成17年9月の台風第14号,さらには平成18年豪雪等における状況も踏まえながら検討を進めた。そして,上記3項目のさらなる充実を図るとともに,C避難所における支援,D関係機関等の間の連携に関する検討も加え,平成18年3月に避難支援ガイドラインを改訂した。具体的な対策として,避難所における要援護者用窓口の設置,災害時における福祉サービスの継続,要援護者避難支援連絡会議(仮称)を通じた連携の構築,災害時要援護者情報の収集・共有に関する関係機関共有方式(旧:共有情報方式)の積極的活用等を新たに盛り込んだ。
 避難支援ガイドラインは,策定後直ちに地方公共団体に通知するとともに,同年4月の中央防災会議にも報告した。また,市町村等関係者に対する研修等を実施するなど,市町村を中心とした災害時要援護者の避難支援体制の整備に向けた取組の促進を図った。
(2) 「災害時要援護者の避難支援における福祉と防災との連携に関する検討会」における取組
 各地域における取組の現状を見ると,多くの市町村において,関係者間での要援護者情報の共有や福祉関係者との連携など,様々な課題に直面している状況にある。このため,ガイドラインに沿った取組が円滑に進むよう,平成18年7月に「災害時要援護者の避難支援における福祉と防災との連携に関する検討会」を新たに立ち上げ,検討会委員が分担して先進的な事例等を調査するとともに,検討会における検討結果等を踏まえ,関係機関共有方式による要援護者情報の共有や福祉避難所の設置・活用など,要援護者対策の具体的な進め方や地域の取組にあたって有効と考えられる方策例を取りまとめた。また,個別課題とは別に,防災と福祉との連携を中心とした災害時要援護者の支援対策の時系列・系統的な流れを抽出し,全体的なフローチャートを作成した。
 これらの検討成果は,取りまとめ後直ちに関係府省の連名で地方公共団体に通知された。国においては,市町村を中心とした災害時要援護者の避難支援体制の整備に向けた取組を関係府省が連携して引き続き支援していくこととしている。

★コラム4 災害時要援護者対策
 災害時に要援護者の避難支援等を円滑に行うためには,日頃から防災関保部局と福祉圉係部局や自主 防災組織,民生委昌等が平常時から要援護者名簿を共有し,災害時に活用できるようにしておく必要がある。
 「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」(平成18年3月改訂)においては,市印村は関係機関共有方式※による情報共有に積極的に取り組むこととされているが,個人情報保護関係法令に対する理解の不足や個人情報保護審議会への諮固に関する事務手続の負担等があり,取組が進んでいない市印村も少なくない。
 北海道室蘭市では,高齢者や難病患者等の救護活動を的確に行うためには,実際の避難支援に携わ る印会や自主防災組織なと地域との情報共有が必要であると判断し,これを迅速かつ確実に進めるため の方法として,関係機関共有方式を採用することとした。このため,個人情報保護条例中の「審査会の意見を聴いた上で,公益上特に必要があると実施機関が認めるとき」(条例第9条第1項第8号)との規定を根拠として,平成18年10月,第三者提供の可否を市情報公開・個人情報保護審査会に諮問し,同年11月,了承を得た。
 審議会で認められた室蘭市の取組は,福祉関係部局から提供された要援護者情報を6項目(氏名,年 齡,性別,住所.電話番号,要援講者の種類)の第1次情報として整理し.個別の避難支撞プランを作成する意思のある自主防災組織や民生委員,町会等に提供するというものである。第1次情報を提供された自主防災組織等は,要援護者本人に対して避難支援プランの作成について意思確認を行い,同意した者について必要な情報を加えて避難支援プランを作成し,関係機関の間で共有することとなる。
 なお,審査衾の付帯意見を踏まえ,障害のある人については市が直接対応すること,情報漏えい対策として,誓約書の提出だけではなく.説明会の開催や取扱基準の明確化等の措置を講じることとした。また,同意が得られなかった人については別途名簿を作成し,災害時の避難支援にのみ活用することと している。
※「関係機関共有方式」とは,地方公共団体の個人情報保護条例において,保有個人情報の目的外利用・第三者提供が可能とされている規定を活用して,要援護者本人から同意を得ずに,平常時がら福祉関係部局等が保有している要援護者情報を防災関係部局,自主防災組織,民生委員等の閏係機関の間で共有する方式をいう。

第2部 > 第4章 災害予防
1 災害一般共通事項
1−1 教育訓練
(13)災害支援ボランティアリーダー養成研修事業
厚生労働省においては,災害発生時,障害者に対するきめ細やかな支援活動に資するよう,救助・支援活動をサポートするボランティアリーダーの養成研修事業の実施について,国際障害者交流センターへ委託を行った。

3−3 その他
(14)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進
平成11年1月に都道府県知事等宛に発出した共同通達(文部省,厚生省,林野庁,建設省,消防庁)を受け,次の対策を行った。
a 農林水産省においては,災害時要援護者関連施設に係る農地の保全に係る地すべり危険箇所の周知等,地すべり対策事業等による防災対策を推進した。また,高齢者や障害者等の自力避難が困難な者が入居する災害時要援護者関連施設を保全するため,治山事業を重点的に実施した。

第3部 > 第3章 災害予防
1 災害一般共通事項
1−1 教育訓練
(13)災害支援ボランティアリーダー養成研修事業
厚生労働省においては,災害発生時,障害者に対するきめ細やかな支援活動に資するよう,救助・支援活動をサポートするボランティアリーダーを養成する事業を実施する。(財団法人大阪府地域福祉推進財団に運営を委託している国際障害者交流センターにおいて実施。)

3−3 その他
(2)災害時要援護者の支援対策
内閣府においては,「災害時要援護者の支援に関するガイドライン」の周知徹底を図るとともに,要援護者避難支援対策の必要性等についての認識を深めるため,シンポジウムの開催と普及啓発ビデオの作成を行い,市町村を中心とした避難支援体制の整備促進を図る。


【2008(平成20)年】
第2部 > 第4章 災害予防
1 災害一般共通事項
1−1 教育訓練
(13)災害支援ボランティアリーダー養成研修事業
厚生労働省においては,災害発生時,障害者に対するきめ細やかな支援活動に資するよう,救助・支援活動をサポートするボランティアリーダーの養成研修事業の実施について,国際障害者交流センターへ委託を行った。

3−3 その他
(1)災害時要援護者の支援対策
内閣府においては,「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」(平成18年3月改訂)の普及・啓発を図るため,先進的な取組事例等を盛り込んだ「災害時要援護者対策の進め方について」(平成19年3月)を作成した。これはガイドラインの手引きとなるものであり,市町村をはじめとする関係機関等の避難支援体制の整備に向けた取組みの促進を図った。
(8)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進
平成11年1月に都道府県知事等宛に発出した共同通達(文部省,厚生省,林野庁,建設省,消防庁)を受け,次の対策を行った。
(9)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進
a 農林水産省においては,災害時要援護者関連施設に係る農地の保全に係る地すべり危険箇所の周知等,地すべり対策事業等による防災対策を推進した。また,高齢者や障害者等の自力避難が困難な者が入居する災害時要援護者関連施設を保全するため,治山事業を重点的に実施した。
b 国土交通省においては,被害想定区域内にある災害時要援護者関連施設の管理者等に対して,市町村と協力して地域防災計画に基づき警戒避難体制の整備を行うよう指導するとともに,自力避難が困難な者が入所・入院している施設等を保全対象に含む緊急的に対応すべき箇所について警戒避難体制を確立する情報基盤の整備や,砂防設備等の整備を推進した。

第3部 > 第2章 科学技術の研究
1 災害一般共通事項
(15)災害時要援護者向け緊急情報発信マルチプラットフォームの開発
 国土交通省国土技術政策総合研究所においては,震災や水害などの災害時に,老人や身体障害者等の要援護者に向け,災害情報を迅速・確実・的確に伝達するために,テレビ,携帯電話などの様々なプラットフォームを利用した複合的な情報伝達を実現するための共通仕様を,災害時の情報提供を想定した実証を基に提案する。
第3部 > 第3章 災害予防
1 災害一般共通事項
1−1 教育訓練
(14)災害支援ボランティアリーダー養成研修事業
 厚生労働省においては,災害発生時,障害者に対するきめ細やかな支援活動に資するよう,救助・支援活動をサポートするボランティアリーダーを養成する事業を実施する。(財団法人大阪府地域福祉推進財団に運営を委託している国際障害者交流センターにおいて実施。)
3−3 その他
(2)災害時要援護者の支援対策
 内閣府においては,災害時要援護者対策の促進を図るため,実務に携わる地方公共団体の職員等を対象に先進的な取組事例の発表,避難支援プランモデル計画の説明などを行う全国キャラバンを展開する。

★附属資料7 公立小中学校施設の耐震化の状況 http://www.bousai.go.jp/hakusho/h20/bousai2008/html/honbun/3b_fuzoku_siryo_07.htm
★附属資料9 防災拠点となる公共施設等の耐震化の状況 http://www.bousai.go.jp/hakusho/h20/bousai2008/html/honbun/3b_fuzoku_siryo_09.htm


【2009(平成21)年】
第2部
第3章 第3章 科学技術の研究
1 災害一般共通事項
(14)災害時要援護者向け緊急情報発信マルチプラットフォームの開発
国土交通省国土技術政策総合研究所においては,震災や水害などの災害時に,老人や身体障害者等の要援護者に向け,災害情報を迅速・確実・的確に伝達するために,テレビ,携帯電話,情報家電などを複合的に利用し,画像・文字情報,音声によって,要援護者の特性に応じた適正でわかりやすい情報伝達を行うための共通仕様を提案した。
第4章 災害予防
1 災害一般共通事項
1−1 教育訓練
(14)災害支援ボランティアリーダー養成研修事業
厚生労働省においては,災害発生時,障害者に対するきめ細やかな支援活動に資するよう,救助・支援活動をサポートするボランティアリーダーを養成する事業を実施した。(財団法人大阪府地域福祉推進財団に運営を委託している国際障害者交流センターにおいて実施。)
第3部
第3章 災害予防
1 災害一般共通事項
1−1 教育訓練
(14)災害支援ボランティアリーダー養成研修事業
厚生労働省においては,災害発生時,障害者に対するきめ細やかな支援活動に資するよう,救助・支援活動をサポートするボランティアリーダーを養成する事業を実施する。(財団法人大阪府地域福祉推進財団に運営を委託している国際障害者交流センターにおいて実施。)


【2010(平成22)年】

第3部 > 平成20年度において防災に関してとった措置の概況 > 第3章 科学技術の研究
1 災害一般共通事項
(13)災害時要援護者向け緊急情報発信マルチプラットフォームの開発
国土交通省国土技術政策総合研究所においては,震災や水害などの災害時に老人や身体障害者等の災害時要援護者等に向け,要援護者の特性に応じたわかりやすい情報を,テレビや携帯電話などを複合的に利用して画像・文字情報・音声等を用い,災害情報を迅速・確実・的確に伝達するために必要な通信仕様を提案した。

第3部 > 平成20年度において防災に関してとった措置の概況 > 第4章 災害予防
1 災害一般共通事項
1−1 教育訓練
(15)災害支援ボランティアリーダー養成研修事業
厚生労働省においては,災害発生時,障害者に対するきめ細やかな支援活動に資するよう,救助・支援活動をサポートするボランティアリーダーを養成する事業を実施した。(財団法人大阪府地域福祉推進財団に運営を委託している国際障害者交流センターにおいて実施。)

第3部 > 平成22年度の防災に関する計画 > 第3章 > 2 > 2−2 防災施設設備の整備
(13)国立更生援護機関の施設整備事業
国立障害者リハビリテーションセンター病院等においては,建設から約30年が経過しており,耐震診断によると一番危険度が高い「地震(震度6強以上)の震動及び衝撃に対して倒壊し,又は崩壊する危険性が高い」という結果が出たことから,身体障害者等の社会的弱者の利用する施設として,災害時の対応を万全にするため,耐震化(改築)工事を行う。


【2011(平成23)年】
P41 被災地以外での要援護者の受入れ調整を行い,これまでに1,785名を受け入れたほか,医療・介護における利用者負担の減免等を実施した。
P63 特に,高齢者,障害者,外国人,乳幼児,妊婦等の災害時要援護者に対しては,要援護者に配慮した災害情報等の伝達,避難行動の支援,避難所での生活支援等を推進していく必要がある。
P73 避難区域内の障害者施設の入所者については,福島県の要請を踏まえ,他県で継続的な受入れを行える施設への避難を完了した。さらに,区域内の介護施設入所者についても,他県での受入れ可能状況を福島県へ提供するとともに,要援護者の受入れの仕組みを構築し,県外への避難を完了した。
P106 ? 災害時要援護者の避難支援対策に係る阻害要因及び解決方策に関する調査
全市町村を対象に,避難支援計画策定に係る阻害要因を調査した。また,先進市町村の状況をフォローアップして,阻害要因に即した解決方策とその長短所を整理し,各市町村に提示した。
P164 (2)公共施設等耐震化事業の推進総務省及び消防庁においては,地震等の大規模災害発生時の被害を軽減し,住民の安全を確保できるよう,公共施設等耐震化事業として地方財政措置を講じることにより,地方公共団体が行う災害対策拠点となる公共施設や地域防災計画上の避難所とされている公共施設等の耐震化を推進した。
P172 (2)災害時要援護者の支援対策内閣府及び消防庁においては,地方公共団体の災害時要援護者の避難対策を促進するため,「災害時要援護者の避難対策に関する検討会」を開催するなどして,全国の先進的な取組を課題別に示した「災害時要援護者の避難対策事例集」を作成・公表した。(平成21年度決算額9百万円)
(7)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進
「災害弱者関連施設に係る複合的な土砂災害対策の実施について」(平成11年1月,文部省,厚生省,林野庁,建設省,消防庁共同通達)等を受け,次の対策を実施した。
(8)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進
農林水産省においては,災害時要援護者関連施設に係る農地の保全に係る地すべり危険箇所の周知等,地すべり対策事業等による防災対策を推進した。また,高齢者や障害者等の自力避難が困難な者が入居する災害時要援>p173>護者関連施設を保全するため,治山事業を重点的に実施した。
(9)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進
国土交通省においては,被害想定区域内にある災害時要援護者関連施設の管理者等に対して,市町村と協力して地域防災計画に基づき警戒避難体制の整備を行うよう指導するとともに,自力避難が困難な者が入所・入院している施設等を保全対象に含む緊急的に対応すべき箇所について警戒避難体制を確立する情報基盤の整備や,砂防設備等の整備を実施した。
P188 (1)補助事業
土砂災害の犠牲者となりやすい高齢者,乳幼児などの災害時要援護者に関連した施設や市町村役場地域の防災拠点施設,避難地・避難路を保全対象に含む急傾斜地崩壊危険箇所,大規模地震の発生が懸念されている地域における対策を推進した。
P245 (28)災害時等における要援護者への瞬時の文字情報伝達手法の開発
消防庁においては,構築しているJALERTが,現在は音声のみの情報伝達となっていることから,高齢者,聴覚障害者等の災害時要援護者向けに,瞬時に文字情報で伝達できるような新たな試験装置を開発し,実証実験を行う。
P251 (5)公立学校施設等の整備
文部科学省においては,児童生徒等の学習・生活の場であるとともに,非常災害時には地域住民の応急避難所としての役割も果たす公立学校施設等について,防災機能の強化の観点から,校舎等の耐震化等を図る。
P259 わかりやすい防災・災害情報や災害時要援護者に対する防災・災害情報の伝達について,国民や災害時要援護者が求める情報に関するアンケート調査等を実施する。
(中略)
(5)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進
「災害弱者関連施設に係る総合的な土砂災害対策の実施について」(平成11年1月,文部省,厚生省,林野庁,建設省,消防庁共>p260>同通達)等を受け,次の対策を図る。
 農林水産省においては,災害時要援護者関連施設を保全するため,本施設に係る山地災害危険地区及び農地地すべり危険箇所等の周知を図るとともに,治山事業及び農地防災事業等による防災対策を推進する。
 国土交通省においては,自力避難が困難な者が入所・入院している施設等を保全対象に含む緊急的に対応すべき箇所について砂防設備等の整備を実施するとともに,被害想定区域内にある災害時要援護者関連施設の管理者
等に対して,市町村と協力して地域防災計画に基づき警戒避難体制の整備を行うよう指導する。

■書評・紹介

■言及



*作成:青木 千帆子
UP: 20120123 REV: 0127
災害と障害者・病者:東日本大震災  「福祉避難所」成立の経緯・関連資料 身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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