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井上 達夫『共生の作法――会話としての正義』
『共生の作法――会話としての正義』
井上 達夫 19860630 創文社 ISBN-10: 4423730332
■井上 達夫 19860630 『共生の作法――会話としての正義』 創文社 284p ISBN-10: 4423730332 3800 [amazon]
■創文社のHP
http://www.sobunsha.co.jp/bookdates/ISBN4-423-73033-2.html
■目次
第一章 正義論は可能か
一 「セーギの味方《
ニ 「正義よりも平和《
三 階級利害還元論
四 相対主義
1 問題
2 分類と解明
3 確証上可能性
4 方法二元論
5 非認識説
五 「それで?」
第二章 エゴイズム――倫理における個と普遍――
一 正義と上正
1 非対称性
2 理念・原則・感覚
ニ 形式的正義の「内容」
1 権利と正義
2 匡正的正義
3 総合的当為
三 正義とエゴイズム
1 チョコレートの争い
2 エゴイズムの問題
(1) 正のエゴイズムと負のエゴイズム
(2) 「種」と「類」のエゴイズム
(3) 正義論におけるエゴイズムの位置
四 ディケーの弁明
1 「正義は最善の政策」か
2 普遍化可能性
3 本質主義の彼岸
第三章 現代正義論展望
一 問題状況
ニ 正義の概念
1 二重の懐疑
2 形式的正義理念
3 エゴイズムの問題
三 正義理論の諸類型
1 功利としての正義
2 権利としての正義
3 公正としての正義
四 論争への招待
付説一 内在的制約説について
付説二 規範経済学の新展開――塩野谷祐一氏の近著に寄せて
第四章 リベラリズムと国家――社会契約説の可能性と限界――
一 国家論と正義論の接点
ニ 自然状態モデルの構造
三 自然状態モデルと契約モデルとの関係
四 契約モデルは無用か
五 合意モデルの再構成――ロールズとノーズィックの場合――
六 自律と他律
第五章 会話としての正義――リベラリズム再考――
一 「正義嫌い」と「リベラル好き」
1 相対主義、再び
2 正義と善
ニ リベラリズムにおける正義の基底性
1 リベラリズムの同一性危機
2 正義の基底性
(1) 逞しき中立
(2) 功利主義はリベラルか
(3) 自我・善・共同体――リベラリズムを越えて?
三 社交体と会話――リベラリズムの社会像――
1 統一体と社交体
2 会話としての正義
索引
■引用
善から区別された社会構成原理としての正義への問いをリベラリズムの課題として捉えるとき、先ず明らかにされなければならないのは、この問いが前提する、あるいは要請する正義と善の区別の意味である。これは三つの命題によって定式化され得よう。
(1)正義は社会の構成原理であり、社会における公私の力の行使を規制するとともに、公権力によって強行され得るものである。
(2)正義の問題に関する決定は、「善き生」についてのいかなる特殊な解釈にも依存することなく正当化可能でなければならない。
(3)「善き生《についてのいかなる特殊な解釈に基づいた行動であっても、正義の要求に抵触することは許されない。
この三つの命題はリベラリズムの問いに対する解答そのものではなく、解答が満たすべき条件を示している。(p.216)
作成:篠木 涼