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『思考の整理学』

外山 滋比古 19860424 筑摩書房,223p

last update:20130319

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■外山 滋比古 19860424 『思考の整理学』,筑摩書房(ちくま文庫),223p. ISBN-10: 4480020470 ISBN-13:9784480020475 \520+税 [amazon][kinokuniya]

■内容

内容(「BOOK」データベースより)
アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。

■目次

I
グライダー
不幸な逆説
朝飯前

II
醗酵
寝させる
カクテル
エディターシップ
触媒
アナロジー
セレンディピティ

III
情報の“メタ”化
スクラップ
カード・ノート
つんどく法
手帖とノート
メタ・ノート

IV
整理
忘却のさまざま
時の試錬
すてる
とにかく書いてみる
テーマと題名
ホメテヤラネバ

V
しゃべる
談笑の間
垣根を越えて
三上・三中
知恵
ことわざの世界

VI
第一次的表現
既知・未知
拡散と収斂
コンピューター
あとがき
文庫本のあとがきにかえて

■引用

◆ものを考えるのに、時間を選ぶことはないと思っている人がすくなくないけれども、ものを食べたあとがよろしくないのははっきりしている。体の疲れたときも適当ではない。/だとすると、寝て疲れをとったあと、腹になにも入っていない、朝のうちが最高の時間であることは容易に理解される。いかにして、朝食前の時間を長くするか。[1986:27]

◆ものを考え、新しい思考を生み出す第一の条件は、あくまで独創である。自分の頭で考え出した、他の追随を許さない(とすくなくとも本人の自負する)着想が必要である。ただ、それを振りまわしていては説得力はない。せっかくのアイディアも悪いドグマに見える。[1986:45]

◆同じ問題について、AからDまでの説があるとする。自分が新しくX説を得たとして、これだけを尊しとして、他をすべてなで切りにしてしまっては、蛮勇に堕しやすい。Xにもっとも近いBだけを肯定しようとするのも、なお我田引水のうらみなしとしない。AからDまでとXをすべて認めて、これを調和折衷させる。/こうしてできるのがカクテルもどきではない、本当のカクテル論文である。すぐれた学術論文の多くは、これである。人を酔わせながら、独断におちいらない手堅さをもっている。[1986:46-47]

◆編集者は自分では原稿を書かない。書いてもよいが、編集者は書けるかどうかで評価されるのではない。他人の書いたものをいかにまとめるか、また、そのために、だれに何を書かせるか、ということの創造性に命をかける。[1986:50]

◆“知のエディターシップ”、言いかえると、頭の中のカクテルを作るには、自分自身がどれくらい独創的であるかはさして問題ではない。もっている知識をいかなる組み合わせで、どういう順序に並べるかが緊要事となるのである。[1986:51]

◆次はある有名な詩人学者が洩らした創造の方法である。なにか考える。創り出そうとする。そして頭に浮かんでくることを片端から、ひとつひとつカードに書きとって行く。カードがたくさんできたら、これをカルタとりのように並べる。そしておもしろそうな順にとって行く。/こうして順序ができる。それを見直す。おもしろくないようだったら、また、カルタ取りをしなおす。気に入る順列ができるまで何回でもこれをくりかえす。いよいよ、これでよしとなったら、カードを綴じ合わせる。あるいは、その順序にノリで大きな台紙に貼ってしまう。/これが、着想のエディターシップである。人を酔わせる力をもった、おもしろいと思われる表現はこうして生れる、というのである。[1986:52-53]

◆新しいことを考えるのに、すべて自分の頭から絞り出せると思ってはならない。無から有を生ずるような思考などめったにおこるものではない。すでに存在するものを結びつけることによって、新しいものが生れる。/…さまざまな知識や経験や感情がすでに存在する。そこへひとりの人間の個性が入って行く。すると、知識と知識、あるいは、感情と感情とが結合して、新しい知識、新しい感情を生み出す。[1986:56-57]

◆寝させておく、忘れる時間をつくる、というのも、主観や個性を抑えて、頭の中で自由な化合がおこる状態を準備することにほかならない。[1986:59]

◆スクラップも時がたつとまったく不用なものが出てくる。なんでもすべてとって置くのがいいのではない。あまりたくさんたまると全体の利用価値がさがってしまう。慎重に、ときどきは、整理、つまり、廃棄にまわすものをつくらなくてはならない。[1986:84]

◆勉強し、知識を習得する一方で、不要になったものを、処分し、整理する必要がある。何が大切で、何がそうでないか。これがわからないと、古新聞一枚だって、整理できないが、いちいちそれを考えているひまはない。…/頭をよく働かせるには、この“忘れる”ことが、きわめて大切である。頭を高能率の工場にするためにも、どうしてもたえず忘れて行く必要がある。[1986:115]

◆思考の整理とは、いかにうまく忘れるか、である。[1986:127]

■書評・紹介

■言及



*作成:箱田徹片岡稔
UP: 20101029 REV: 20101206 20120925 20130319
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