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『照る日かげる日――ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者たちの記録』

Oliver, Judy(ed.) [1986]2001 In Sunshine & in Shadow: Personal Portraits of Als, 2nd Printing ed., ALS Society, 168p.
  =199105** 日本ALS協会 訳 『照る日かげる日――ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者たちの記録』

last update: 20101027

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■Oliver, Judy(ed.) [1986]2001 In Sunshine & in Shadow: Personal Portraits of Als, 2nd Printing ed.,ALS Society, 168p. ASIN: B001I316D8
=199105** 日本ALS協会 訳 『照る日かげる日――ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者たちの記録』,サイマル出版会,212+13p. ISBN-10: 4377408933 ISBN-13: 978-4377408935 \1426 [amazon][kinokuniya] ※ als c07 n02 v03

■内容

・同書カバーにある日野原重明の推薦文
世界中のALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんの手記が,ALS患者を支援する日本のボランティアによって訳された.生きる意欲を一度は失った人が,このようにして生きていることを,一人でも多くの日本人に知ってもらい,この支援運動の推進に参加してほしいと思う.人間の生と死は,これらのストーリーのなかに集約されている

・同書カバーにある八瀬善郎の推薦文
ALSに苦しむ人たちが,ここまで浄化され,高められ得るのかと,深い感銘を受ける.ALSという重苦しい圧力に負けないで,人生を有意義に送るにはどうすればよいか.そういう手がかりが,この本にはある.
また本書は,専門家の貴重な体験と研究結果の記録でもある.多くの患者さんや家族に勇気を,専門家にも新たな決意を与えると思う.

■目次

けっして絶望しないこと――推奨(スティーヴン・W・ホーキング) 1
胸打つ体験の記録――まえがき(八瀬善郎) 3
ALSとたたかうホーキング(ジョン・ボスロー) 8
支援の輪を世界へ――編者まえがき(ジュディ・オリバー) 9

1 希望を胸に――ALSとたたかう 1
2 闘病の日々――ALSとともに 35
3 患者とともに生きる――家族・友人の声 67
4 残された者の思い――遺族の手記 99
5 ALS患者に勇気を教えられて 131

ALSの病状について(八瀬善郎/堀川楊) 197
感謝をこめて――あとがき(松本茂) 211

■引用

◆「編者まえがき」より
どうしても手記を送りたい,という強い意志がうかがわれるものもありました.字を書いたりタイプを打ったりできないため,テープに声を吹き込んで送ってくれた人もいます.メリーランド州ハガーズタウンの病院にいるリチャード・コーガンは呼吸装置をつけていますが,手を使わずに操作できるテープレコーダーの装置を自分で考えだし,長い時間をかけて手記を吹きこみました.また声が出ない人や手が使えない人も,文字盤を利用してだれかに書き取ってもらった手記を送ってくれました(12).

◆第1章 希望を胸に――ALSと戦う
「暗い考えが忍び込んできたら」 シャーリーン・モリソン
ある意味では私はALSを受け入れたと言ってもいいでしょう.(中略)激しい怒りを覚え,どうにもやり場のない気持ちになって,泣くときもあります.(中略)くらい考えが忍び込んできたら,こっちが主導権を握って,追い払ってやるのです.頭の中を前向きの考えでいっぱいにすれば,自分の過去,現在,未来をコントロールすることができます.(中略)『カップに半分しか入っていない』ではなく『まだ半分も入っている』と考えること(16-17).

◆第2章 闘病の日々――ALSとともに
「命の質を大切に」 アイリーン・コール
治療法も薬物投与の道もなく,一縷の望みもない,と私たちは告げられたのだ.(中略)その夜,私は一睡もできなかった. (中略)一日中,安楽イスカソファーベッドから離れられないのだから,彼の毎日は長く単調なものだ.(中略)私にも数々の変化が訪れた.日に十八時間も働きづめの毎日が続き,極度の疲労が重なって,残念ながらひどくいらいらしている.それでも,彼を入院させない理由は?それは,狭い病室で見知らぬ人々とじっと史を待つのではなく,自宅で家族の一員として生きる権利が彼にはあるからだ(57-59).

◆第3章 患者とともに生きる――家族・友人の声
「家族全員で戦うALS」 エブリン・K・ハーディー
あるとき息子が言った.『ALSにかかっているのはお父さんだけじゃない.家族みんながかかっているんだ』確かに,この病気は家族全員に深い影響を及ぼした.でも,家族同士の絆をいっそう強くし,互いを思いやるようになったことも事実である(87)

◆第4章 残された者の思い――遺族の手記
「病気から学んだこと」 ルイス・ボガート
私たちは,レスピレーターの使用の可能性について,何度も話し合ったのですが,レスピレーターを使わないという彼の意思は固かったのです.この問題を患者と家族がオープンに話し合うことは,大変重要だと思います.これからも,数多くの人々がいずれかの決断を迫られる問題だからです(123-124).

◆第5章 ALS患者に勇気を教えられて――医療関係者から
「ALS患者は私の師」 八瀬善郎
なぜこの30年もの間ALSの研究を続けてきたかと問われれば,それを断念することができなかったから,としか答えられないでしょう.おそらく,これが,私の生きがいなのでしょう.全てのALS患者は,過去において私の師であり,今でも毎日,単に医学的なことのみならず,人生について,多くの貴重なことを教えてくださっています(178-179).

■書評・紹介


■言及



*作成:鈴木 史織(応用人間科学研究科対人援助領域)
UP: 20070824 REV: 20101027(藤原信行)
ALS=筋萎縮性側索硬化症  ◇難病/神経難病/特定疾患  ◇異なる身体のもとでの交信――情報・コミュニケーションと障害者  ◇人工呼吸器(ベンチレーター)  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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