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『新「階層消費」の時代――消費市場をとらえるニューコンセプト』

小沢 雅子 19850715 日本経済新聞社,248p.

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last update:20171105

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■小沢 雅子 19850715 『新「階層消費」の時代――消費市場をとらえるニューコンセプト』,日本経済新聞社,248p. ISBN-10:4532085799 ISBN-13:978-4532085797 1200+ [amazon][kinokuniya] ※ e03 p0601 

■内容

■目次

プロローグ――消費主導型の経済成長は可能か
第1章 いま、消費をどう見るか
第2章 消費欲求の高度化は何をもたらしたか
第3章 消費の複合現象とは
第4章 購買力格差の再現
第5章 「中」意識は変わるか
第6章 「階層消費」の時代へ
エピローグ――「階層消費」社会の構図

■引用

「人々が農村から都市に出てきてサラリーマンになるのは、サラリーマンになった方が高い所得を得ることができると判断したからであった。一九六〇年代中頃までは、図表Pに見るとおり、農家や公務員よりも民間企業のサラリーマンの方が所得が高く、この判断は正しかったといえる。ところが、六〇年代後半以降、この関係は逆転している。」(p.164-165)

「所得格差、賃金格差が拡大した原因は、一九七〇年代後半になって経済成長率が低下して、労働需要が減少したことである。高度成長期には、労働需要が労働供給を上回っていたので、労働市場は、慢性的に人手不足な状態であった。それゆえ、必要な労働力を確保するためには、中小企業であろうと大企業なみの賃金を支払わねばならなくなった。こうして、新しい勤労者だけでなく、すでに働いている勤労者もまた、「転職」を武器にすることによって、高い賃金を要求することができるようになり、二重構造と言われたもろもろの賃金格差は縮小傾向にあった。
 ところが、低成長期には労働需要よりも労働供給の方が多く、勤労者に不利な状態になったため、再び賃金格差が発生した。そして、賃金の格差が発生しても、労働供給の方が多い状態では、勤労者は転職を武器にすることができないので、賃金格差は拡大していった。賃金は、労使の交渉によって決まるが、労働供給の方が労働需要より多い状態では、中小企業の勤労者や女性労働者のように、交渉力の弱い勤労者の賃金は、相対的に切り下げされる。しかし、彼らは、労働移動によってそれを平準化することができないでいる。
 このように、勤労者のなかでも、産業別、企業規模別、男女別、職種別に賃金格差は拡大している。一九七〇年代に入ってジニ係数の低下現象が止まり、横ばいあるいは微増傾向を示しているのは、七五年以降の上記の格差拡大の結果といえよう。」(p.170-171)

■書評・紹介

■言及

橋口 昌治 200908 「格差・貧困に関する本の紹介」, 立岩 真也編 『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社


*作成:橋口 昌治 *更新:岩ア 弘泰
UP:20090811 REV:20171105
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