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『地域医療の現場から――寝たきり老人・医療思想・医療費』

増子 忠道 19850525 勁草書房,265p.


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増子 忠道 19850525 『地域医療の現場から――寝たきり老人・医療思想・医療費』,勁草書房,265p. ISBN-13:9784326798568 ASIN:B000J6UHZ8 3500 [amazon][kinokuniya] ※ yt1968.

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東大医学部闘争を闘って医師になった著者が東京・下町の地域病院での診療を通して,これまでの生き方を総括。都市医療・医療費等の問題点を探り,地域医療の可能性を展望。

■目次

I 都市の医療問題
 1 地域医療の視角――医学部闘争から地域医療へ
  一 初参加のデモで受けた衝撃
  二 安保と思想遍歴
  三 私のなかのカミュの位置
  四 医者を志した理由
  五 学生運動の洗礼
  六 運動の挫折――ひたすら勉強の時期
  七 経済学に惹かれる
  八 大学の自治とは何か――寮闘争を通して
  九 東大闘争の経過
  一〇 再び医者を志す
  一一 地域医療を選択――医療民主化統一戦線を
  一二 理論的指針となった地域医療論
  一三 なぜ柳原病院に来たのか
  一四 柳原病院での研修
  一五 嬉しい若い世代の参加
  一六 積極的に取り組んだ寝たきり老人問題
  一七 今後の私の取り組むテーマ
  一八 医療危機の中で地域医療の展望を拓く
 2 都市の医療問題
  はじめに
  一 都市医療の諸課題
  二 都市の医療機関の特徴と矛盾
  三 都市住民の健康
  四 市民の運動――都市医療の将来
 3 病院で老人医療を考える
  はじめに
  一 地域医療のあり方問う老人医療
  二 老人病院の恐るべき実態
  三 老人病院乱立の社会的背景
  四 在宅医療の実践を通して
  五 大量のねたきり老人予備軍――外来通院の老人
  六 老人病の特徴
  七 医療費をめぐる問題
  八 明日の老人医療のために
II 現代の医療問題
 1 技術料問題と医療危機
  はじめに
  一 技術(料)評価と支払方式
  二 医療技術のとらえかた
  三 技術料のの考えかた
  四 現行の診療報酬点数と技術料評価
  五 支払方式の変遷と技術料評価
  六 低技術料政策は何を生みだしたか――低医療費政策貫徹の重要なテコ
  七 いくつかの結論
  補足 強まる医療危機
 2 老人保健法の問題点と展望
  一 登場の背景
  二 老人福祉法と老人保健法
  三 有料化のはらむ問題点
  四 別建て診療報酬と老人病院の規定
  おわりに
 3 現場からみた健保法改「正」問題――医療荒廃と総合医療問題は解決するか
  一 医療再編の時期
    二 医療の荒廃と総医療費の増大
  三 薬と検査に頼る医療構造
  四 疲弊する地域医療
  五 健保改悪の前に診療報酬制度の抜本的改善を
  六 医師の技術料の引き上げ巾
  七 出来高払いか、件数払いか
  八 健保改悪の日常診療に及ぼす影響
  九 中断患者の増加
  一〇 標準医療の弊害
  一一 差別医療の危機
  一二 老人医療のあり方
  一三 医療を受ける権利は基本的人権
  おわりに
 4 衆議院社労委(高齢者に関する基本問題小委員会)における参考人意見
  参考人意見
  質疑応答
III 臨床医の医学思想
 1 正常と異常
  一 正常・異常の混迷
  二 ”異常=死”からの脱出
  三 異常の原因を求めて――近代思想と近代医学の進歩
  四 異常の社会化と日常化の進行――現代医学の新しい壁
  五 診断・治療基準のあり方
  六 異常はどこまで測定できるのか
  七 異常をめぐる社会的判断と医学的判断の矛盾
  八 障害者の現実が意味するもの
  九 異常と差別――求められる人権の立場
 2 性
  はじめに
  一 性科学のあゆみとゆくえ――性のタブーから試験管ベビーまで
  二 社会のなかの性――もう一つの人間の歴史
  三 文化としての性――性をめぐる常識と思想
  四 性の解放とはなにか
  補足
あとがき

■目次

 都市の医療問題
 1 地域医療の視角――医学部闘争から地域医療へ
 2 都市の医療問題
 3 病院で老人医療を考える
  一 地域医療のあり方問う老人医療 〔初出は1982年5月1日「社会保険旬報」〕
  二 老人病院の恐るべき実態
 京都十全会病院の例
 「看護婦の水増し届出、無資格者の採用、でたらめな検査、リハビリ、そしてその結果あげた膨大な黒字を脱税、他社への投資」(75)
 ……
 「本来、公的責任で必要な場所に必要な医療機関とシステムを確立しなければならないのに、精神病にしても救急にしても私的病院が圧倒的に多いため、経済的法則(利益誘導型政策といった方がより正確か)に従って、土地の安いところに人手のかからない病院が乱立することになる。それは当然、医療システムの混乱につながり、医療と福祉の連携が断絶し、地域医療からの離脱となり、しかも医療内容の低下を生じているのである。老人病院も同様の歴史をくり返しつつある。その例がいみじくも京都十全会であり、他の老人病院ブームである。」(増子[1985:76])
 「こうした医療政策(無策という政策?)は、医療従事者の低賃金、重労働、両親をマヒさせるやり方を強い、国民の犠牲を強いてきたばかりでなく結局は医療費のムダをつくり出しているのである」(76)


*作成:三野 宏治 
UP:20090427 REV:20140509
増子 忠道  ◇医療経済(学)  ◇東大闘争:おもに医学部周辺  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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