『生をたたかう人と看護――ある病院のターミナルケア』
木下 安子 19850120 桐書房,266p.
■木下 安子 19850120 『生をたたかう人と看護――ある病院のターミナルケア』,桐書房,266p. ISBN:4876470146 ISBN-13:978-4876470143 [amazon][kinokuniya] ※ t02
■目次
第1章 看護の現場から
元気で家に戻れると信じていた小沢さん
二人の幼児を残し二十三歳で急逝した和子さん
酸素テントの中で怒りをぶつけた川田さん
仏さまになりたいと訴えた吉沢さん
命尽きるまでたたかいぬいた山口さん
ガンと知らされても望みをすてなかった安田さん
かたくなに治療を拒みつづけた洋子さん
再三の呼吸停止を乗りこえ生を全うした斉藤さん
有機溶剤中毒で命を奪われた加藤さん
第2章 座談会――死にゆく患者の看護を考える
第3章 私たちの歩みをふりかえって
終末期ケアの足どり
九つの事例から学んだこと
■引用
九つの事例から学んだこと
生命維持を助ける
看護婦の基本的使命は、いつ、いかなる場合も、その患者の生命維持にある。終末期にあっても例外ではない。いや生命の極限状態にあるからこそ、よりいっそう生命を守るためのきびしいたたかいがおこなわれる。(p243-244)
キュアとケアのちがい
日本は諸外国に比べキュア(治療)の位置づけが高く、ケア(看護、援助)が軽視されているという評価を聞く。イギリスやアメリカのホスピスでは終末期の耐えがたい苦痛に対し、麻薬や精神安定剤を積極的に用いている。ステロイドも使用されているがあくまでも保存用治療を目的としており、抗生物質や点滴、心電図モニター、人工呼吸器は原則的に用いない。(p245)
その人らしく生きることへの援助
終末期ケアは医療社による”死への誘い”ではない。その人らしい生き方が最後までつらぬきとおせるようにするための援助である。そのためには”同じように生を受け、いずれ死を迎える対等の人間として看護婦は人格的ふれあいを心して語りかけよ”と多くの終末期ケアの著者は述べている。しかしこの実現は容易なことではない。患者の経た人生もさまざまならば、看護婦も多くは若く限られていた人生経験しかない。(p254-255)
*作成:櫻井 浩子 追加者: