HOME > BOOK

『ミシェル・フーコー入門』

Smart, Barry 1985 Michel Foucault
=19910730 山本 学 訳,新曜社,274p.

このHP経由で購入すると寄付されます

■Smart, Barry 1985 Michel Foucault =19910730 山本 学 訳 『ミシェル・フーコー入門』,新曜社,274p. ISBN: 4788503964 ISBN-13: 978-4788503960 ¥2625 [amazon][kinokuniya] ※ p

■内容(「BOOK」データベースより)
ひらかれたフーコー思想の全貌。

■内容(「MARC」データベースより)
監獄、監禁、セクシャリティといった問題をとりあげながら、権力、諸関係の網の目の内部での個人性の構成に強い関心を示したフーコー。キーポイントをはっきりさせながら、この20世紀の鬼才の全貌をわかりやすく解説した入門書。

■目次

第1章 主要なテーマと問題
第2章 方法と分析における諸問題
第3章 権力の主体、知の客体
第4章 国家、抵抗、合理性

■引用
 フーコーの権力概念は、質的に異なった水準に属しています。権力は関係的なものであり、「獲得されたり、奪い取られたり、共有されたり」するような何かではなく、むしろ、社会体の多様な点から行使されるものだ、ということです。権力関係は、その他の関係性「(経済諸過程、知の諸関係性、性的諸関係)」にたいして二次的なものと考えられるのではなく、「これらの関係性に内在するもの」です。さらに権力は、社会的ヒエラルギーの頂点から押しつけられるものでも、支配する階級と支配される階級との根本的な二次元対立に由来するものでもありません。権力はむしろ、下から来る毛細血管状の仕方で働くのです。したがって、巨大な二次元的分割というかたちでの対立は、社会体における複数の権力関係から生じるさまざまな裂け目や抵抗の多元性の蓄積かた生じた、たんに一時的で例外的な状態であるにすぎません。(p197-198)

 フーコーの仕事には、権力がつねに抵抗をともなうという事実にたいして、一連の謎めいた比較的不十分な言及がある、ということです。(p199)

 フーコーは国家の統治化の主題を、ひとつの鍵となる構成要素、すなわち、キリスト教の古代の牧人モデルに由来する権力技術、「牧人権力」を分析することによって探究しました。フーコーは、少なくとも十六世紀以来西洋諸社会において、国家の政治構造が発達してきたということを認めますが、それは、たんに全体化する権力形成の行使という視点から概念化されてきたにすぎない、と論じます。近代諸社会における権力行使を、国家の諸々の全体化する手続きという視点からだけで単純に理解してしまうことは、その同じ政治構造のなかにあるはずの個人化の諸技術の重要性を無視することになります。近代西欧国家の欠くべからざる個人化する権力は、その起源をキリスト教の牧人制度に持っています。キリスト教という宗教にみられるの牧人制の概念は、次のような四つの特徴を持つ権力形成を指示します。すなわち、
@ 来生における個人の救済を保証する。
A 命令はするが、同時に自分自身を自らの民のために犠牲にする覚悟がある(この点で、君主権力とは異なる)。
B 共同体全体だけでなく個人個人もまた面倒をみる。
C その行使の際に、人々の心や魂、秘密、行動の細部にかんする知、良心にかんする知、および良心を導く能力を要求する。(p212-213)
牧人権力の教会における制度化は、十八世紀以来その勢いをずいぶんと失ってきましたが、しかしフーコーは、牧人権力の機能はそうではなかった、つまり、牧人権力は拡がり多様化し、国家において世俗的な形式をとるようになったのであり、この世俗的な形式は結果的に、「個人化の近代的な母体、あるいは牧人権力の新しい形式」と考えることができる、と強く主張するのです。この新しい形式の牧人権力の特徴は、次のようなものです。
@ それは、この世で人々の健康、幸福、安全、保護を保証する――すなわち諸個人の世俗的救済。
A 牧人権力の執行者ないし当局者は、さまざまな公的な構造・制度と私的な構造・制度(たとえば、国家諸装置、警察、さまざまな慈善組織、病院施設)の数をともに増大させる。(p213-214)


作成:櫻井浩子
UP:20080905 REV:
哲学/政治哲学(political  philosophy)/倫理学  ◇身体×世界:関連書籍 1980'  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)