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『一大蔵官僚の眼』

福田 幸弘 19840105 東洋経済新報社,285p. 


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福田 幸弘 19840105 『一大蔵官僚の眼』,東洋経済新報社,285p. ASIN: B000J795LO 1400 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

■引用

第1部 この10年
 12 累進課税の意味 20-21
 「自由主義経済下における税制の歴史的な、そして基本的なモラルは累進課税の原則であり、特に「差別課税」の考え方であることを思い返す必要がある。(昭和49年8月)」(福田[1984:21])

 87 臨調への疑問 143-144
 「「安易な増税」という言葉は間違っている。今後の借金および高齢化負担の必然性と自主防衛の必要性を考えれば、国民の連帯感にもとづく「増税による国家再建」の重要性を率直に、勇気をもって訴えるべきであろう。「増税なき」が「企業増税なき」であってはならない。」(福田[1984:144])

 高齢化社会対応の処方箋
 「高齢化社会への対応の一つは雇用面の拡大であり、これが社会の活力維持と老人の生きがいからみて最も望ましい。[…]
 第二の対応策は、自己責任、自助努力を基本とした貯蓄と保険の活用である。[…]
 第三の対応策として、家族的な福祉を復活させることが基本的に重要である。この家族福祉は人類<0255<古来の在り方であって、三世代同居が老人の生きがいであるとともに、若い二世代に人生経験を伝えることになる。
 第四の、国による、やむをえない社会的な老人福祉は、以上のような自己努力や家族福祉を補完するものであるが、この国の援助は、働ける間は社会のために尽くして、納税のぎむも果たしてきた老人たちに対する、国家社会の当然のお返しとして理解すべきであろう。」(福田[1984:254-255])

 「アメリカでレーガン大統領が、イギリスでサッチャー政権が累進税率を緩和した理由は、自由社会<0259<における勤労意欲を重視したからである。わが国の場合、中堅層のところでの累進カーブの圧迫が大きく、しかもこの年代は子供の教育費と住宅ローンの圧迫を受けており(このことは教育費等の特殊控除の理由になるものではないが)、ことさらに税負担を重く感じている。この中堅層は、職場にあっては管理職としてワーカホリックといわれるまでに仕事に専念している社会的に貴重な人たちである。減税は、累進課税の過度の圧迫をうけている、このような社会の中堅層を対象とした税率の緩和に重点をおくべきであり、また異常に高い最高税率もこの際引き下げるべきである。そして、このような減税の理念を、活力ある社会の維持発展におくべきである。」(福田[1984:259-260])

■言及

◆立岩 真也 2008-2009 「税制について」,『現代思想』 資料

◆立岩 真也 編 2009 『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社 ※


UP:20081211 REV:20081212
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