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『親守りのうた』

早川 一光 19830525 『親守りのうた』,合同出版,205p.


■早川 一光 19830525 『親守りのうた』,合同出版,205p. ASIN: B000J7EN1Q 900 [amazon] ※

■引用

よき別れのための介護をみんなで考えよう 153-195

よき別れのための介護をみんなで考えよう――「呆け老人をかかえる家族の会・千葉支部集会」(一九八ニ年一〇月一一日、千葉市にて)

 「雨の中をご苦労様でございます。京都から朝でてきまして、いま着きました。皆さんにとって貴重な時間ですので、さっそく話をはじめましょう。
 千葉家族の会には、木更津病院長の石川民雄先生がおられます。千葉大学看護学部の中島紀恵子先生もおられます。世話人の方々が本当に生き生きと、皆さんの悩みを取り上げながら活動なさっている。全国を回って見ておりますが、千葉が典型的な「家族の会」のように思います。本当に先進的な県になると考えております。」(早川[1983:155])

 「長続きのする制度づくリを

 千葉は、これから第三年度に人られるでしょう。千葉市または千葉県が、なんとかして、お年寄りを一週間でも一〇日でも頂かってあげてください、これショートステイ、こういう声をあげましょう。あるいは、日中だけ頂かってくれたら、夜は家族が見ます、とかのデイケア。昼は手がそろっているけど、夜はうろうろされて困るから夜間頂かってくださいといえば、これはナイトケア。いいでナか、デイナア、ナイトケア。半日だけ預けるというのはハーフデイケア。こういう制度づくりが必要ですね。そういう時に、今日い▽193 らしている千葉県の看護婦さんやボランティアの皆さんが、ぼけた方たちとつきおうて遊んでくださる。ぼけとの遊び方については、先生たちが見事な遊び方を教えていらっしゃる。
 歌を歌っていいし、カラオケしてもいいしね。私が一生懸命に歌を歌うのは、ぼけた人たちとのつきあい方を教えているんです。ぼくが歌を歌うと、皆さんふあーっとしてぼくの顔を見ますからね。
 そうですね。石川先生のところが、「じや、ぼくのところは一〇床はシヨートケアに使いましょう」とおっしやってくださるなら、あれはものすごく犠牲がいるんですよ。
 看護体制がいりますしね。看護婦が何をやっても、看護科というのは病棟にだけにちょこっとだけ。そんなね、片手落ちですよね。
 老人医療なんていうのは、もう医者ではあかんのや、医者の出番ではなくて、看護と介護の出番。介護と看護に金がでるんでしたら、石川先生のところが一〇床開放してくださ▽るのだったら、一日一万円、国や県や市が「ぺッド代として補成しましょう」というような制度をつくってくださったら、そりゃ、石川先生も喜んでぼけと遊ぶという看護をやつてくださるでしょう。
 補償[ママ]してくれなければ出来ませんよ。身をきるような、そんな仕事では長続きはしませんね。善意には限界がある。制度としてきちん、きちんと組み込まれなけれね長緩きするような医療と福祉にはなりません。
 そういう運動を、ぜひ千葉の皆さんが先手を取って始めていただきたい。
 全国の「呆け老人をかかえる家族の会」が、京都の方ではもう政府と折衝を始めています。しかし、政府の方は「そんなもん地方自治体がやってくれなきゃ、いま金がないんで、できません」と言うに決まってます。
 府や県に行けば、「そりゃ国の方針が決まっていませんからできません」と、お互いになすり合っていますからね。どこかがこれをふっきらなくてはなりません。
 やる気があったら出来るんです、在宅の医療は。
 これは確信を持ってください。皆さんを世論が必ず支持します。▽195
 国がまず在宅ケアを援助する。家で老人を看ていこうという時に、国が制度として援助をする。またそれが出来やすいような医療制度、福祉制度をつくってゆくということと、皆さんのような「家族の会」を取り囲む運動が並行して進んで行くことが大切です。
 二年間、千葉で皆さんは、血みどろでやってこられましたね。家族の皆さんを囲むいろいろな人たちの姿。これがこれからの日本の医療なり日本の福祉の姿であるような気がいたします。
 ありがとうございました。(拍手)」(早川[1983:192-195])


UP:20140807 REV:20140905  QLOOKアクセス解析
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