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『ボケの周辺――老いを支える人間もよう』

早川 一光 編 19830415 現代出版,234p.


■早川 一光 編 19830415 『ボケの周辺――老いを支える人間もよう』,現代出版,234p. ISBN-10: 4875972105 ISBN-13: 978-4875972105 [amazon][kinokuniya] ※

■引用

◆三宅 貴夫 19830415 「呆け老人をかかえる家族の会ができるまで」,早川編[1983:10-12]
 →呆け老人をかかえる家族の会

 「一九七七年九月、京都新聞社会福祉事業田の主催で「高齢者なんでも相談」という当時ととしては変わった相談が始められました。健康、生きがい、暮らし、年金、法律、介護に加え、「ポケ相談」という全国ではじめてのユニークなコーナーが設けられ、京都・堀川病院副院長の早川一光先生が相談を担当していました。スタートしたころは、わらをもつかも気持ちて家族が殺到したものです。
 そのころ、医師として老人の問題、とりわけ精神障害にに関心があった私は、どんなことをやっているのだろうと、その相談をのぞきにいったのが、老人ボケにかかわったきっかけです。
 私も早川先生と相談を受けることになりました。「お金を嫁が盗んだ」と言いはる姑、夕方になると「家に帰る」と外に出ようとする夫、夜になると家の中をウロウロする老親、たれ流しで家の中で臭くて……と、相談に来られた家族はせきを切ったように日々の介護▽011 のつらさを話します。「そうですか。たいへんですね」「そこはこういうわけではないですか」「ちょっと世話のしかたを変えてみては」と、私の助言はたよりないものですが、家族は「話を聞いてくれた」と、何か心のわだかまりのようなものが軽くなってしたようです。
 老人本人を連れてこれない家族が大半で、「とにかく一度、訪問させてもらいましょう」と、家まで足を運んだことも何度かあります。
 相談をくり返しているうちに、個別的でその場限りの相談で家族はほんとうに救われているのだろうか、介護の失敗談、成功談を家族同士が語り合ったらと思いつ、家族に呼びかけ集まってもらったのが、一九七九年六月でした。
 家族からは、ボケ老人を世話した者でなければわからない苦労、悩み、不安がつぎつぎと語られ、たがいに納得し合い、笑い泣いて日頃うっ積していたものが軽くなったようです。この集まりを毎月開き、計四十家族が参加されました。
 その中で、より恒常的な集まりをもち、ボケについて続けて知識を得たいとの声がもちあがり、「家族の会」の結成に向けて準備会を数回開きました。
 この準備会で最後まで議論になったのは会の名称です。「ボケ老人」という言い方は、軽蔑や差別した用語ではないか。しかし痴呆老人では表現がきつすぎる、精神障害老人では漠然としているということでした。家族にしてみれば、ボケとよばさるをえない老人がい▽012 ること、孤立無援の家族がその現状を社会に訴え、援助を求めるためには、あえて「ボケ老人」と呼んだ方がよいのではないかとの結論で、「呆け老人をかかえる家族の会」というグループが生まれることになりました。
 もともと京都だけの団体としか考之ていませんでしたが、朝日新聞に会のことが報道されるや、全国からの問い合わせが相次ぎ、一九八〇年一月二十日の結成大会には、全国から九十余名の参加があり、その後、会貝、支部が増えていきました。」(全文)


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